Blcrackreverse

Diggin LIFE 掘って掘って掘りまくれ!

Blcrackreverse

壮絶な年明け~アーセナルvsブライトン~

正直年明けからこんなことになるなんて。

『壮絶な年明け~アーセナルvsブライトン~』

Arsenal : transferts, joueurs, classement

前半の様子から、この後半は予想すらしていなかった。

確かに、前半もこのスタッツを見ると、決してアーセナルが押しまくっていたわけでは無く、前半10分を除いて、決めるところで決めきっていたという感じではありました。

【左ブライトン 右アーセナル

ですが、こんな打ち合いになるとは。到底思いもしなかった展開。

アーセナルも悪かったわけでは無く、ホームの力は怖いということ。三苫の1点目から空気が一気に変わりました。

そんな三苫得点のシーン、正直冨安が本調子じゃない気がしていて。その後にも何度か危なっかしいシーンがありましたし、普段なら付いていけるようなところも、ポジショニングでギリギリカバーして、というのが何度か目に付きまして。

ポジショニングが良いのは前からですが、なんか動きが気になると言いますか。これが気のせいならいいんですが。明らかにW杯前と違うような。これはもうちょっと見ないとわかりませんが。とにかく気のせいであってほしいところです。

逆にジンチェンコはメチャクチャ良かった。

前節も交代で入ってからの良さは実感していたんですが、この試合ではとにかく効いていた。

ポジション取り、内外の使い分け、周りの選手との連携も含め、やっぱり良い。特にジャカ、マルティネッリとのコンビネーションが絶妙で、どこを見ても常にジンチェンコがいる感じ。それが楔になって次のアクションに連動していけることで、攻撃のテンポがかなり上がっている印象。

こうなるとジンチェンコがファーストチョイスにならざるを得ないなと思ってしまう。

とはいえパーティがあの場所を制圧しているからというのも紛れもない事実ですが、パーティがいる前提としてはジンチェンコファーストチョイス、仕方ないかもしれません。

前にいるマルティネッリにしても、ジンチェンコが後ろにいるとかなりプレーしやすそうで、攻撃力が増しているような。

何と言っても彼は一人での打開力が桁違いに向上中。どんどんプレー精度も、アイデアも増している気がしますし、ゴール前でのテクニックも磨きがかかるのなんのって。

エンケティアもゴールで調子に弾みが付けばいいと思いますが、彼に関してはビック6相手にどれだけやれるかが気になるところ。

そして、やはり今回もウーデ。

ヒートマップを見ても、消えて現れてるのかと思う点在っぷり。

ビッグチャンス創出も2って。スタッツに表れない攻守での活躍っぷりは当然ですが、ワンプレーワンプレーの質が素晴らし過ぎる。

ゴールとはならなかったですが、ボックス内でのマルティネッリへの股抜きパスも異常ですし、4点目のマルティネッリへのアシストも異次元過ぎる。

もうあれって、もらう時点で蹴るの確定している人の受け方、出し方ですからね。それをあの精度でやれてしまうとは。

お見事としか言いようのないプレーを一試合に何回見せてくれることか。

この試合ではサリバがちょっと不安定なところもありましたが(前節も何度かあった)、まだまだ許容範囲。

何より勝っているという事実こそが全てなわけで、この時期にこの順位についているということを考えれば。

ただ、ここからが本番だと思う中で、誰か来るのか来ないのか。

とりあえず現有戦力でどこまで伸び代を出せるのか期待したいと思います。

では。

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

絶体変なのに愛おしさしかない。

『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』


www.youtube.com

マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレックと「キャロル」のルーニー・マーラの共演で、幽霊となった男が残された妻を見守る切ない姿を描いたファンタジードラマ。

田舎町の一軒家で若い夫婦が幸せに暮らしてたが、ある日夫が交通事故に遭い、突然の死を迎える。

病院で夫の死体を確認した妻は、遺体にシーツを被せて病院をあとにする。しかし、死んだはずの夫はシーツを被った状態の幽霊となり、妻が待つ自宅へと戻ってきてしまう。

アフレックがシーツ姿の幽霊となってさまよい続ける夫役を、マーラがその妻役を演じる。デビッド・ロウリー監督がメガホンを取り、「セインツ 約束の果て」の監督&主演コンビが再結集した。

冒頭からそうなんですが、とにかく異色過ぎる。

それでいて観なかったことを後悔するような完成度の高さ。なんか全てが刺さり過ぎて、なんというか。

死に向き合うということはそういうことなのか、五感に訴えてくる痛切な感覚は言葉無しでも語れてしまうほど、映像、音像的フォルムが素晴らしい作品。

SF的ともとれるような作品なんですが、スピリチュアルともとれるような、それでいて哲学的な問いもあるような部分もあって、とにかく体験した人にしかわからないような作品であることは間違い無い。

そんな本作に一貫してあるのは『静かなる眼差し』。

カメラワークやショットから感じられるのは主人公でもある幽霊の視点そのもの。まるで幽霊としてその場にいるような錯覚を起こしてしまうような生生しい視点の数々。目しか出ていないのにそれだけで感情を表現できているちょっとした変化も素晴らしいなと。

移動するさまや情景の変化は常に静かに行われていき、とにかく静かな画作りも印象的。

場面転換も、まるで瞬きでもしているかのようなスムーズさと自然さ。あくまでも幽霊視点での眼差しを感じさせるつつ、それだけに依らない絶妙さのさじ加減たるや。

そうかと思えば、あっ、と驚くような仕掛けもあるわけですが、その緩急も見事で、スパイス的バランスにハッとさせられる。

作りそのものにも面白い仕掛けがあるわけで、ループ的な展開と、物語的な展開、死についての考察的見解といった多重ループ構造の様な視点を持って観ると、全てが本当に綺麗に繋がって見えてくる。

それを顕著に表しているのが終盤のパーティーにおける駄話。

ちょっとインテリっぽい男が語る内容が、意外に的を得ているなと思っていて、ベートーヴェンがなぜ第九を作ったのかの話に始まり、人の消滅の話へと繋がっていく。その中で「人は遺産を残そうとする」という話が出るんですが、それ自体に目的は無くて、本能的にそういう行動を取ってしまうんだというもの。

この映画を観ながら、これを聞いた時、なるほどと思いました。

考えれば何かをしていることや、何かを残そうとしていることって、突き詰めれば、それが残る保証は無くて、全部が消滅したとして、何が残るんだろうと。誰のために、何のために何かをするんだろう。

作品自体の本筋はあらすじのとおりなんですが、要するに恋人が突然死んでさあどうする、というもの。

中盤で、幽霊になったケイシー・アフレックルーニー・マーラーが過ごした家も取り壊されることになるんですが、それ自体が先に書いた「人は遺産を残そうとする」という話と物語的な話がリンクしてきて、本質に迫ってくるといいますか。

一緒に過ごした家からルーニー・マーラーが出ていき、その家も取り壊され、そこに新たな高層ビルが立ち並ぶ。

じゃあそこでのことは二人にとって無かったことになるのかと言えば、それはNoなわけで、だとするなら人は『結果の為に何かをする』ように見えて、『過程の為に何かをしている』んじゃないか。

そう考えると、出来ない理由や、出来ない何かを考えるんじゃなく、あるもの、ある中で最善を尽くし、今を生きることこそ人生に重要なファクターなんじゃないか。

そこで作中の音楽も生きてくるわけですよ。

ケイシー・アフレックはおそらく音楽関係の仕事をしているんですが、彼女を想い、作った楽曲が出てくる。

その曲がちょいちょいカットバックされて出てくるんですが、終盤でそれが流れる頃には歌詞と共に、全てに意味があったことを肯定してくれるようになっていて、ホント沁みるんですよ。

それで十分だ、あの時間は間違っていなかった。喧嘩もしたし、セックスもした、楽しかった時間も辛かった時間も、全部無駄じゃなかったんだと。

先に出てきたインテリ男はこうも言っていて、「いずれは全て無に帰す、歴史は繰り返し、指で穴をあけ、柵を建てることと女とヤルことは同じこと」こんな感じの言い回しがあるんですが、それも聞いた時とニュアンスが違って聞こえてくる。頭で論理的に考える結果は一緒かもしれないけれど、その過程は絶対に違うんじゃないかと。

この柵を建てるというくだりも、過去の営みとしてある家族を描くことで表現されるわけですが、それによる結果との対比も含めてお見事。

冒頭の不穏な音や、手紙のくだり、隣の家にいた幽霊なんかも含め、全ての歴史は繰り返されるかもしれないし、ただ形を変えただけなのかもしれない。

それでも自分と誰かが築いた関係性や物語だけは絶対に繰り返すことが出来ないんじゃないかと思った時、ただただ泣けてくるわけですよ。

脚本上の構成、映像の音楽のフォルム、映画である必要を感じさせる説得力と問いかけの畳み方。

良い年末を過ごせそうです。

では。

アフター・ヤン

人間は如何に傲慢で捻くれているかを教えてくれる。

『アフター・ヤン』

ポスター画像


www.youtube.com

「コロンバス」のコゴナダが監督・脚本を手がけ、アレクサンダー・ワインスタインの短編小説「Saying Goodbye to Yang」を独創的な映像表現で映画化したSFドラマ。

人型ロボットが一般家庭にまで普及した近未来。茶葉の販売店を営むジェイクと妻カイラ、幼い養女ミカは慎ましくも幸せな毎日を過ごしていたが、ロボットのヤンが故障で動かなくなり、ヤンを兄のように慕っていたミカは落ち込んでしまう。ジェイクは修理の方法を模索する中で、ヤンの体内に毎日数秒間の動画を撮影できる装置が組み込まれていることに気付く。そこには家族に向けられたヤンの温かいまなざしと、ヤンが巡り合った謎の若い女性の姿が記録されていた。

コリン・ファレルが主演を務め、「ウィズアウト・リモース」のジョディ・ターナー=スミス、ドラマ「アンブレラ・アカデミー」のジャスティン・H・ミンが共演。「コロンバス」で主演を務めたヘイリー・ルー・リチャードソンが物語の鍵を握る謎の女性を演じる。

正直なところ映画を観ていると、誰かの感想とかをあまり聞きたくないような作品もあるわけで、本作はまさにそんな作品。

自分でこんなことを書いていて言うのもなんですが、そういう作品って確かに存在していて、逆に言えば人と話したくなるような作品もあるとは思う。

この作品自体も感想を聞きたくないというより、自分の中でじっくり咀嚼してから話したいというか、他の人の意見を聞きたいような作品。

まあそれも自分にとってはというだけのはなしですが。

年齢的なこともあるのか、最近哲学的な問いというか、以前なら全く疑問に思わなかったようなことについて本気で考えてしまうことが増えた気がします。

そんな本作ので描かれている『死』というものの存在。

これも当然疑問に思う所で、ひいては生きること、人生、自分、他者、そういったものへの問いも内包されたような本作はまさに好物そのもの。

それ以前に作品の緻密に構成されたような構図、美しさ、そういった部分での映像的テイストも抜群に合っている。

冒頭からバチバチに決まった構図で撮られていて、写実的と言うか、美しい絵画やファンタジーの世界を見せられているような心地良さ。

監督自身が小津安二郎にかなりの影響を受けているらしく、その右手であった脚本家、野田高梧の名前を取ってコゴナダという監督名にしたほど強く影響を受けているのは間違いないでしょう。

それもあってか、映像的な美しさは圧倒的で、そこにストーリー上の不自然さや不必要さを感じさせないからこそ一層生きてくるともいえる。

さらにそれを支えているサウンド

日本にルーツがある監督を尊敬しているだけに、使われている楽曲もそういった日本人が多く、Aska Matsumiya(最近だと映画、37セカンズ)だったり、坂本龍一小林武史リリィ・シュシュのすべてで使われたGlideをなんとMitskiがカバー)といった面々が揃う。

とにかく映像とかなり調和しているし、サントラだけでも永遠に聴いていられそうな心地良さと存在感。映画そのものの深みと音楽的深さがマッチして、この世界観にずっといたいとすら思ってしまう。

美術的な美しさもそうで、どこかモダンでありつつ、和洋折衷、近未来を感じさせるような、ぬくもりもあるような。

乗っている乗り物もそうで、撮られているカットが実に近未来的。ガラスの様な反射がある乗り物を外側から撮っているだけなんですが、これも映り込み、反射そういった細部に至るまでかなり気を使って撮影されており、美しいとしか言いようがない近未来感。こういった見せ方で未来感を演出するというのは意外に珍しいものの、ホント良く出来た映像だなと思える。

そんな出てくるシーンは基本的に建物内でのものがほとんどで、町の全景が見えるシーンは確かワンカットだけだったような、そんなレベル。その町自体もかなり引きで撮られているんですが、それまでの積み上げの効果なのか、それだけで近未来を感じてしまうような圧倒的撮影力もさすがと思ってしまう。

その他に出てくるサングラス型の映像を観る装置だったり、博物館などの備品もそう。

見せ方の美しさと言う意味では脳内の記憶の見せ方が圧倒的で、映画館の暗い中に浮かび上がる散りばめられた星の様な光。

これを寄りから引きにかけて撮られているんですが、その広がりを観た時、そこからフォーカスされ、詳細な映像を観た時、脳内に広がる世界の広さを知ったようで、記憶の繋がりと断片、そのかけがえのない空間的広がりに驚かされる。

この演出により、その脳内空間というものが人間だけで無く、人型ロボットにも存在し、もしかしたら他の生物にも存在するのかもしれないと思わせてくれる無限の広がりを想像させる。

知らず知らずのうちに唯一無二なものを皆が持っているにも拘らず、何に憧れ、何を目指しているのか。そこにある『それ』すら意識せず、得ようとしてる見えない『それ』ばかりにとらわれているんじゃないかということに気付かされる。

この感覚は映画館の真っ暗な中で観ないと得られないかもしれないですね。でもそれだけでも行く価値のある映画だと思いますが、本当にそういった細部の見せ方、演出が巧妙で巧い。

そんな全てが計算されていて、一見するとそれが狙い過ぎになってしまいそうなところも見事に調和させているという素晴らしさ。

人物的な役者の配置もそうで、そういった意図を感じずにいられないような巧妙さ。黒人女性の妻、白人の夫、中国系の子供にテクノと呼ばれる人型ロボット。これも差別の無い、全てが調和されたような未来を想像するかもしれないし、実際にそうなのかもしれないと思えるような作り。

でも、それすらも凌駕するような感覚を得られるし、それ以上に考えるべく疑問が浮かんできた気もする。

それこそが、『生』であったり『人』であったり。

枠組みとしてのほぼ最上位にあるであろうこの部分に関して、本当に繊細な余白を残してくれている気がする。それにより人物配置だとかそうした部分に頼らずとも、圧倒的な興味、関心を抱けるんだと思う。

タイトルと言うか作品の切り取り方も見事で、この原作はアレクサンダー・ワインスタインが2016年に発表した短編小説『Saying Goodbye to Yang』をもとにしているそうなんですが、それ自体もこの映画の前半部だけとのこと。なので作品の後半部はコゴナダ監督による脚色なわけですが、それもまた良い塩梅でして。

人と認知していなかった人の様なものを、人と比較してどう捉えるのか。今後考えるべき課題としての事柄に対し、映像的心地良さを担保した映画として、ならではの気付きを与えてくれる良作じゃないでしょうか。

では。

そのままに帰ってきた喜び~アーセナルvsウエストハム~

これは嬉しき誤算でした。

『そのままに帰ってきた喜び~アーセナルvsウエストハム~』

Just Arsenal News - Arsenal Transfer News & Rumours | Arsenal FC Team news

いつもこの時期になると失速してくるのが常なアーセナル。今回もそうなるのかと思ってしまったのも前半まで。

前半にしてもほぼほぼ全てのスタッツで相手を上回っていたわけですし、展開自体も悪いものではありませんでした。

それでも決められ無ければ意味は無く、全ては無に帰すのがスポーツの習わし。

ですが、やはりというか、今季のアーセナルは一味も二味も違う所を見せてくれました。

まず、ジェズスがいないのに奮闘していたエンケティアの存在。

正直W杯前であれば物足りなさやジェズスなら出来ていたプレーを嘆いていたかもしれません。

特に、その一要素としての献身性や足で稼ぐような努力に纏わるプレーの部分。

これを意識的にやるようになったというのが何よりじゃないでしょうか。これに関しては出来る出来ないという事よりも、やるのかやらないのかという側面が多い話。この意識を感じさせるようなプレーを見ることが出来たのが何よりの収穫でしたし、それに加えての得点まで決めてしまうという。

その得点にしても見事なターンからの完璧なゴールと言う成長しか感じさせないゴール前での振舞い。まだまだ足りない部分はあるものの、ジェズス無き今の状況で更なる躍進を感じさせるところには期待の二文字がよぎるばかり。

その意味で言うとマルティネッリとサカ、この二人はW杯を経て、一層大きくなって帰ってきましたね。

マルティネッリはボールキャリーとキープ力が更に進化。得点に関しても、あのモーションでニアローに蹴り込むスキルと心意気、感服です。

サカに関しては相変わらずの無双ぶりなんですが、スタッツ上もそれは顕著に。キーパス4/4ですし、ロングパス成功率3/3、地上戦4/4といかに無双か。

囲まれても奪われず、逆にそこからチャンスメイクしてしまうところは好調の証かと。

好調という意味では我らがキャプテン、ウーデ先輩。

この試合の存在感は異常でしたよ。

攻撃に守備にと機転しか効かないプレーの数々。

このスタッツだけ見てもそうですが、これに加えて守備面での貢献もエグいのなんの。

ボールを奪うタイミングにしても、狙いにしてもとにかく全方位での意識が高過ぎる。

前半10分くらいに見せたボックス内へのキラー過ぎるミドルパス。あれは痺れました。あれでこそアーセナル。それでこそアーセナルのキャプテン。

これが90分通して切れないというところこそ称賛のポイントで、伊達にこの年でキャプテンとしてやってないなと。

それからジャカ。

ボックスtoボックスの選手としてアルテタからアドバイスを貰っているようですが、その立ち位置になってから、格段にパフォーマンスが上がっている印象。

この試合でも飛び出しや、ポジションの取り方が良いですし、元からあるボール奪取力も相まって、プレスも前線から良く効いている。カバーリングなど、以前からの能力と合わさることでよりハイブリッドなプレーを見せているところをみると、改めて基本能力の高さを感じます。

ラムちゃんも久々観たけどやっぱり良かったですね。W杯を観ていても思いましたけど、セーブやポジショニングなんかは今のキーパーの標準装備なんですよね。そこからどれだけオプションを付けられるかが一流かどうかの鍵になるかと。

その意味でラムちゃんは攻撃参加へのトランジションの速さと判断の良さが際立ちますし、キャプテンシーもあって。これに経験が組み合わされば。この試合だとシュートストップからジャカへのフィードは痺れましたね。ロングカウンターの起点としては申し分ない、これ以上無いようなフィード。あれが今の時点で出来るのは、そりゃ一流ですよ、もう。

正直他の選手もかなりのパフォーマンスで。強いて言うならサリバのパフォーマンスがもうちょい上がってもいいのかなと思いましたが、フランス代表で試合に出れていなかったことを考えると、試合勘と言うところもあったんでしょう。

ティアニー、ジンチェンコのところもホント二人とも良さが違うんだけど、二人とも良いだけに悩ましいなと。

とにかく勝ち点40一番乗りで年越しできるのは嬉しい限り。

次は元旦、ブライトン戦。三苫も楽しみですが、こちらの冨安は出るのか出ないのか。

では。

そして神になった~ワールドカップ2022 決勝戦 フランスvsアルゼンチン編~

これは凄い試合になりました。

『そして神になった~ワールドカップ2022 決勝戦 フランスvsアルゼンチン編~』

ワールドカップ:アルゼンチンがPK戦制し36年ぶり3度目V、メッシ2ゴール…フランス連覇ならず : 読売新聞オンライン

自分が今まで観てきた中でもベストバウトだったんじゃないかと思うほど息を呑む試合展開。

時間の経過が本当にあっという間で、ある意味フットボールの重要な歴史に立ち会った気すらしております。

そんなカタールワールドカップ決勝、まずはフランス。

まさかのシュート数0で終わった前半というスタッツが示す通り、何も出来ていないというのが本音になってしまった前半。

今までの試合のキーマンとなっていたグリーズマンがアルゼンチンのマクアリスタに徹底マークされ撃沈。頼みのジルーへも惜しいチャンスはあったもののこれは決めれず。

ムバッペに関しても全くと言っていいほど姿を見せず、中盤2枚もほぼ機能せず。

デンベレに至っては機能しないどころか悪い方悪い方へいってしまうような調子の乗らなさ。以前から乗っている時とそうじゃない時の差が激しい選手だと思っていましたがその負の面がこの決勝で出るとは。

前半終盤に得点を奪われてから、デシャン監督の采配で交代もあったものの、後半も立ち上がりから全然エンジンはかからず。

これがワールドカップ決勝、アルゼンチンの躍動に打ちのめされて終わるのか・・・と思った後半終盤、ムバッペの仕掛けからPK獲得、からのゴール。これでまだやれるかもと思ったさらに数十秒後、まさかの逆転弾、これまたムバッペ。

アルゼンチンの2点目がエゲつなかっただけに意気消沈かと思ったところからのこの同点劇。そしてこの2点目は逆にエゲつなくボレーをかます

そこから延長戦でもまさかのハンド誘発による同点弾と喜怒哀楽がおかしくなるような試合展開。

しかもPK含めハットトリックとは。決定力よ、決定力。

やっぱりムバッペは怪物だなと思いつつ、23歳でこのメンタルと存在感。ロナウドやメッシが出てきた時に感じたようなザワつきは継承され、新しい時代が始まるのかと。改めてそんなことを思わされたり。

それにしてもこのスタッツ、左がアルゼンチンで、右がフランスなんですが、チームとしてこんな圧倒的なことありますか。

ゴールキーパーセーブ以外はほぼ上回っているような状況。ようするにそれだけアルゼンチンが攻撃的だったということですよ。

そしてアルゼンチン。

フランスが前半消えていたのもありますが、アルゼンチンはかなり素晴らしいパフォーマンスで。後半終盤のムバッペに決められるまで、この大会ベストだったんじゃないかと思うほど。

基本的に4ブロックだったものの、後方4枚は守備に徹するようなスタイル。タイミングをみて両SB上がってくる動きもあったんですが、そこまで多く無く、タスクとしては後ろ4枚守りの前6枚で攻撃を畳みかける感じ。

とはいえ前線の選手の守備意識とプレスあってのことは間違いありませんし、メッシの運動量を考えると他の選手の運動量は相対的にかなり高かったんじゃないでしょうか。

最前線のアルバレスなんて鬼プレスに執拗な抜け出し、重要な場面での仕掛けを始め、起点としてもストッパーとしてもかなりの運動量だったことでしょう。

中盤3枚のマクアリスタ、エンソフェルナンデス、デパウルはとにかく高フォーマンス。

マクアリスタはボールに絡む動きや顔の出し方が抜群、デパウルは実況で本田圭佑が言っていたように上手さが光ってましたし、ボール際の判断が非常に良かった。

そしてエンソフェルナンデス。結局最優秀若手にも選ばれましたが、この試合はホント効いていた。

このヒートが物語っているような滾りっぷりで、かつスタッツを見てもそう。地上戦11/21と数値としてはそこまで高く無いものの、21回の地上戦て。タックル数10というのも驚異で、とにかく守備での貢献が半端無い。

守備で言えばGK元アーセナル、エミマル先輩。

序盤のシュートストップであるとか、PKでの予測であるとか、最後にPK戦での勝利を想像させるパフォーマンスを発揮していた働きっぷり。

アーセナルでもそうでしたが、更なる経験を積んで成長した彼の姿を見た時、単純に嬉しく、単純に凄かった。コロムアニのシュートストップのシーンなんて良くぞ止めたと興奮しまくりでしたし。

そしてディマリア。怪我明けにも関わらずメチャクチャ頼りになる参謀。メッシと共に苦楽を共にしてきた経験、スキルは伊達じゃない。

2点目のゴールは完璧過ぎて、どこかがズレても入っていなかったようなスーパーゴール。そのフィニッシュを狂いなく冷静に決め切るところも納得しかないスーパープレー。

こういう名参謀的な選手ってそういるわけではないですけど、ディマリアとメッシの関係性を見ているとその信頼感なんか含め、なんか良いなと思ってしまうんですよね。

そしてこの試合の主役は何といってもメッシ。

彼がサッカー界に出てきたのが2004年、自分がサッカーを見だす頃には一躍スターになっていましたし、誰でも名前くらいは聞いたことがあるくらいに有名過ぎる選手でした。

それから20年弱の年月を経て、残すタイトルはこのワールドカップのみ。それをまさかこんな劇的な形で締めくくるとは。

sofascore驚愕の9.2というスコア。自分は今まで見たこと無いスコアですよ。

ゴール期待値1.88というのも驚きですがメッシに関してはスタッツに現れないプレーが多すぎる。

独特のボールを持った間合いやテンポ感、見えてる視野もそうですし、そこから出されるパスの正確さも恐ろしく精密。動き出しも緩急が激しく、予想不可能な初動と急加速はメッシのオリジナリティでしかない。

それに加えてこの大会では非常に運動量もありましたし、何よりコンディションが凄く良かった気がするんですよね。

まあ個人的に一番痺れたシーンは後半26分。

マクアリスターとアクーニャで突破し、囲まれてからのメッシ。その受け方と受けてからの王様感が尋常じゃなくて、そこまでの試合運び、アルゼンチン代表としての歴史も感じつつなんか一番グッと来たんですよね。

そこからのフェルナンデスのパスへの流れも完璧で、そのシュートは外れてしまったものの、あそこがハイライト過ぎて。

俺が全て背負って捌き切るという姿勢を背中とプレーに感じてしまって。

そして自ら決勝点かと思われた3点目を決め、このまま勝つのか。そう思ってしまったのは私だけでは無いはずです。

それをフランスの怪物が覆し、二転三転でのPK戦へ。

そこでも両エース共に決めきり、結局はアルゼンチン勝利へ。

はっきり言ってPKは運によるところも大きいと思いますし、実際に試合の中で終えるのが真だと思っているわけですが、この試合に関してはエミマルの勝利ですよ。

先ほども書いた通り、それまでの予測の良さ、気合、キーパーの質としての違いが明らかに見えていました。

そんなエミマルが止めてのこの結果はもう最後の最後までパーフェクトゲーム。いやぁ、メチャクチャ楽しませてもらいました。

また4年後、次はどういった戦いが待っているのか、楽しみに待ちたいと思います。

では。

あっ、ちなみに余談ですが本田圭佑の解説は個人的に非常に楽しめましたね。本田史上ベスト解説(暫定)もこの試合だったことは間違いないでしょう。

底力vs底力~ワールドカップ2022 3位決定戦 クロアチアvsモロッコ編~

ここまで来たら総力戦。

『底力vs底力~ワールドカップ2022 3位決定戦 クロアチアvsモロッコ編~』

クロアチアが有終の美!オルシッチの決勝弾でモロッコを2-1撃破!3位で大会を終える【W杯3位決定戦】|ニフティニュース

両者共に死力を尽くしてきたわけで、そんな両者が当たるのも運命なのかどうなのか。

そんなカードとなりましたが、序盤からやはりかなりの攻防戦。

両チームとも選手を欠いている状況だったので陣形は同じながらも、いつもとは違った感じ。

こういう時って意外な若手が出てきたりするんですが、そういった際立ったような若手はいなかったような。

やっぱり主力でやっていた選手たちが良かったんだなと思う試合ではありましたが、自力と経験の差でクロアチアが勝利したといったところでしょうか。

目立ったところで言うとクロアチアはオルシッチとグヴァルディオル。

オルシッチはチャンスメイクもそうですし、思い切りが良かったなと。ペリシッチを低い位置に置いてのスタイルも合っていたように思いますし、得点のにおいを一番感じました。

グヴァルディオルは相変わらず良くて、タイミングとボールを前進させる判断が潔い。タイミングは天性のものだと思うんですけど、視野が広いからこそ見れる部分もあるんだろうなと。

ゴールもその賜物でしょうし、後半に見せたあのボール運びはなんですか。

CBがボックス内に侵入し、あわやファールorゴールって。しかもその侵入の仕方もオフザボールでの動き出しもCBのそれじゃない。あのタイミング自体も飛び出して平気だという判断のもと行ったことを考えると、やっぱり将来が楽しみなところ。この試合と前の試合に関しては少しミスが増えたようには見えましたが、ここまで短期間での連戦を考えると疲れもあったことでしょう。

そしてやっぱりモドリッチは凄かった。

パス成功率も62/67と93%ですし、ロングボール成功率4/4で100%。地上戦5/7。この連戦の最終戦でこのスタッツはヤバすぎる。37歳ですよ。彼無くして3位という結果はあり得なかった。

まずもってお疲れ様です。そして終了早々次はレアルでの活躍を期待します。

一方のモロッコも想像以上の健闘っぷり。アムラバト、ブファルをはじめ、個々の強度の強さ、そして粘り強さ。

アムラバトは是非アーセナルにも欲しいなと思うようなタフさとスタミナ。中盤底でああいう動きが出来る選手が欲しいんですよね。球際での判断や厳しいところでも冷静に捌けるというのもメチャメチャ魅力的。フィオレンティーナでどういった立ち位置なのかわからないんですが、年齢的にも26歳と良い気しかしない。

ブファルも思った以上の働きで、今までも良かったんですが、右サイドでのツィエク、ハキミ、ウナイが良過ぎたんですよ。

それが今回はかなり奮闘していました。突破力であったり献身性、攻守に労を厭わないところも含めて、かなり効いていました。

こういう粒揃いな選手が多いというところもモロッコの強さだったんだろうなと改めて思いつつ、初出場ベスト4はそれだけでも快挙だと思いますので。

では。

異次元過ぎる個人の力~ワールドカップ2022準決勝 フランスvsモロッコ編~

これ見せられたら、もう何と言っていいのやら。

『異次元過ぎる個人の力~ワールドカップ2022準決勝 フランスvsモロッコ編~』

W杯準決勝でフランスがモロッコに勝利! アルゼンチンの待つ決勝へ|最終結果・試合経過・ハイライト - スポーティングニュース

これまでの戦いでも見せてきましたけど、ムバッペの身体能力が異次元過ぎませんか。

疲労も溜まっているはずだし、強度が高い試合の連続のはず。それなのにあのスピード。

ハキミ相手にあれが出来るというのも恐るべしですが、そのぶっちぎりっぷりが半端無い。

陸上選手、ボルトの100m平均は37.58kmらしいんですが、それを上回るとか上回らないとか。

いずれにせよ誰が観てもわかるくらいに速過ぎる。しかもただ速いだけじゃなく、スキルもあるし、コンタクトも強い。

タッチ数37で、あの存在感はヤバ過ぎる。見せるところで見せているというのがわかるスタッツで、これぞスーパー。

決勝でメッシ率いるアルゼンチンと当たるわけですが、新旧エース対決のようで、メチャクチャ楽しみ。

それにしてもこの試合は凄かった。

ロッコも立ち上がりから全く強度が落ちなかったですし、ホントに選手同士の距離感が抜群。

CBのサイスが序盤で交代になってしまったのは残念でしたが、それでも良くやってましたよ。あれだけフル稼働で。

今回は最初から5バックでの戦い方と、引いて守ってのカウンター狙いだったんだとは思いますが、フランスの決定力がそれを上回りました。

フランスはとにかくグリーズマンのポジションの掴みづらさ、仕事っぷり。サッカーIQが高いとはこのことを言うんだろうなと思いつつ、守備に攻撃に良く動いていました。

攻撃に絡んだ時のアイデアみたいなものや視野に関しては抜群のものを持っているわけで、決定的なシーンにも必ず絡んでいたような。

ロッコは全体的に見てもヒートが激熱で、かなりの選手が躍動していた感じ。まあ、あの試合を観ればそれも一目瞭然ですが。

あれだけ躍動出来て、選手間の距離も良い感じで保てるというのは個の選手のスキルが高い証拠ですね。

8番、ウナイに関してはやっぱりこの試合でも素晴らしく、中盤で何でも出来てしまう。推進力、突破力共に申し分なく、前にも言いましたが、なぜあの細い体であれだけのコンタクトに耐えれるのか。

そして上手い選手はアウトを使う。

グリーズマンモドリッチ、メッシ、ウナイなんかもそうで、とにかくアウトキックの使い方が上手いんですよ。もはや使いたくて使ってるんじゃないかと思うくらい、不必要でもとにかくアウト。見てる側もちょっと期待しちゃってる感はありますが、やっぱり上手いアウト使いは上手いんですよ。

そしてついに決勝はアルゼンチンvsフランス。新旧対決も然ることながら、どういった戦いになるのか。楽しみ過ぎます。

では。