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Diggin LIFE 掘って掘って掘りまくれ!

ちょっと思い出しただけ

それぞれの思い出、ちょっと立ち止まってみる瞬間があっても良いと思う。そんな夜もあったり。

『ちょっと思い出しただけ』

ちょっと思い出しただけ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画


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バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画をつくったら」「くれなずめ」など意欲的な作品を手がけ続けている松居大悟監督のオリジナル脚本を、池松壮亮伊藤沙莉の主演で映画化。

ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げる、ジム・ジャームッシュ監督の代表作のひとつ「ナイト・オン・ザ・プラネット」に着想を得て書き上げた新曲「Night on the Planet」に触発された松居監督が執筆した、初めてのオリジナルのラブストーリー。

怪我でダンサーの道を諦めた照生とタクシードライバーの葉を軸に、様々な登場人物たちとの会話を通じて都会の夜に無数に輝く人生の機微を、繊細かつユーモラスに描く。

2021年・第34回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、観客賞を受賞。

鑑賞後にタイトルを見た時、それこそ『ちょっと』という意味が何となく分かった気がした。

思い出って日々思い出すものでも無いし、意識して思い出すものでも無く、ふと思い出してしまうものだったりするわけで。

そんな本作を思い出すうえで重要なファクターになっているのがその物語の構成。

時系列がバラバラなようであって、かなり秀逸に練り込まれている印象があり、そのあべこべな時系列こそ、想い出にある様な雑多な記憶の集積に似ていると感じる。

映画を観終わった後に頭の中で徐々にほぐれていく感覚。

あの頃良かったよなとか、何であの時あんな対応しちゃったんだろうとか。そういった複雑な心情が、見事に表現されていてこれは凄いなと。

あと、冒頭からオマージュを超えたオマージュを感じさせるナイト・オン・ザ・プラネット感。感というよりそのものに近いような印象すらある。

ジム・ジャームッシュ作品の中でも好きな作品で、ウィノナ・ライダーがとにかく可愛く、あのバランス感覚がとにかくツボなんですよね。

恰好や仕草、ウィノナ・ライダーの可愛さの全てが詰め込まれたようなビジュアルと、あの物語設定。

夜も真夜中、あの時間帯の街ってどことなく好きで、なんというか普段と違う空気感があるというか、寂しさとは違った街独特の哀愁があるというか。とにかくセンチメンタルな気持ちにさせられるところがあって、今でも好きなんですよね。

そこに相性抜群なタクシーという展開もそうで、真夜中にタクシーに乗る人なんて絶対に普通の生活をしている人のわけがない。

その人自身が普通かどうかでは無く、あくまでもそのシチュエーションからそう思わされてしまうということ。

悩みだったり、葛藤だったり、願望だったり、色々なことを抱え、吐露したくなるのがその時間のタクシーなんじゃないですかね。

そんな作品がここまで露骨にオマージュされているとは。

部屋のポスターに始まり、日時を表す時計付きカレンダー、カットの割り方や設定に至るまで。細かいディティール表現やシチュエーションまでとにかくオマージュが尽きない。

それなのに映画全体としては日本らしさとオリジナリティある作りになっており、単なるオマージュに寄らないところもグッドセンス。

同一カットをタイム感ずらして見せる画作りはエモさをドライブさせる気がして、良い演出だったように思います。

見慣れた景色が徐々に変わっていく、日常って劇的に変わることはそう無くて、それこそ些細な変化の積み重ねによって感じ方が変わっていくんだと思うんですよね。その表現としての同一ショット。あれは誰しもがなにかしら似たような経験をしているんじゃないでしょうか。

結局物語って人と人がいて始まるものだし、それは偶然なわけで、そんな日々の積み重ねの中でこそ起きる一瞬の化学反応的な出来事こそが物語。

これって別にその物語性の大小は関係なくて、その時自分がどう感じ、どれだけの影響を受けたのかということだけ。

そんな誰にでもあるけど誰にも無い物語。

映画として見せられることで、各々の心当たりみたいなものに気付かせてくれるところもこういった作品の魅力なんじゃないでしょうか。

ちょっと思い出しただけ。今だから言えること、今はまだ言えないこともある中で、ゆっくり向き合うことも必要なのかもしれませんね。

では。


 

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格闘前線最高峰~那須川天心vs武尊・井上尚弥vsドネア編~

これは凄いよ。本当に。

『格闘前線最高峰~那須川天心vs武尊・井上尚弥vsドネア編~』

abema.tv

THE MATCH那須川天心vs武尊戦がABEMAにて無料放送をするということで観たんですが、これは絶対に観るべき試合でしたね。

直前で地上波が立ち消え、結局はABEMAのみで放送の形になりましたが、本当に観れて良かった。

格闘技の魅力って、息をのむ展開といいますか、一瞬で勝負が決まってしまうかもしれない緊張感と言いますか、とにかく他のスポーツには無いヒリヒリした感じと高揚感、これが一番の魅力だと思うんですよね。

そこから技術だったり、駆け引きだったり、戦術だったり、バックボーンだったりが気になってくるのかと。

そんな取っ掛かりとしては間違い無く格闘技初心者でも楽しめる試合でした。

序盤からジャブの精度が高く、距離感的にも天心のペースだなとは思っていたんですが、後半で武尊の追い込みも凄かった。

後半、オープンスタイルになってから打たれても打ち込む姿は迫力と気迫に満ちていましたし、あの場面で天心優勢だとわかっていたんでしょう。だからこその狙いも垣間見え、とにかく熱くなりました。

武尊は体重を落としたのが目に見えるほど痩せた感じでしたし、故にパンチの切れやパワーが目減りしていた気もします。

それでもあの終盤と結末を観てしまったら感動せずにはいられませんよね。

これで天心はキックボクシングを引退し、ボクシング界へと足を踏み入れるわけですが、それもまた楽しみな所ではあります。

そんなボクシングの井上、ドネア戦も観ていたんですが、これもまた良かった。

もはや今の井上に敵う相手はいないんじゃないかと思うくらいの勝ちっぷり。

ドネアも全然悪い動きじゃなかったにも関わらずのあの試合展開。

軸が全くブレないですし、フェイクの入れ方、打ち込みの速さが尋常じゃない。あの雰囲気であの落ち着きというのも恐ろしいものです。

バンタム級4団体王座統一なのか、一つ上の級に上げてくるのか、いずれにせよ今後も目が離せないカードになるのは間違いないでしょう。

ちなみに、こちらはアマゾンプライムで観れるので絶対に観た方が良いかと思います。

やっぱり格闘技は面白いですね。

では。

ブロウ

なんとなくジョニーデップ熱のあるわたしですが、今回はこちらの作品を。

『ブロウ』

グッバイ、リチャード!を観て以来、ジョニーデップ熱が高まり中。

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そして手始めに観たのがこちらの『ブロウ』。

彼の主演作品って年代で全然イメージが違うなと思っていて、個人的に好きなのは圧倒的に初期の作品群。

何が良いって、とにかく格好良くてぶっ飛んでる役が多いこと。

こういう変わった人物でぶっ飛んでる人は昔から好きで、憧れというか、なんとも言えない魅力があると思ってしまうんですよね。

そして何よりデップ自体のカメレオン性というか変人気質なところも魅力的。

本作での、年を重ねてく演技やビジュアルなんて見事としか言いようがないくらいリアリティがある老け方をしているし、序盤のウブな感じからの垢抜け具合もかなりハマってる。

この物語は、実在する麻薬ブローカーを元に作られてるんだけど、その構成も見事で、幼少期から青年期の話、隆盛期の話、衰退の話。いやぁ、序盤のジャブが伏線となってシンクロしていくところも非常に良い作りだし、年を重ねるからこそわかるあるあるが盛り沢山。

人の幸せの総量はあらかじめ決められていて、それをどう言った配分で使っていくかを決めていくのが人生なんじゃないかと思わされる物語の進行に、人生の無慈悲さと不可逆性を感じます。

若い頃ってどうしても血気盛んと言いますか、欲や野望に染まりがちだと思うんですよね。自分自身も心当たりがありますし、何者にもなれる気がしちゃう時期って絶対に誰しもあると思うんですよ。

ここまでいってしまうとそれは皮肉にしかならないけど、それがあることで得られることもあると思っていて、貴重な体験や手に入れた物、かけがえない人だったり、センスや感覚といった、それらがなければ今の自分は無かったなと思えるものの数々。

この映画にもその端々は含まれているものの、この主人公はその一つ一つを大事にしきれなかったんですよね。

気付いた時にはもう遅くて、ラストへの終盤にはその逆カタルシスが集約されている気がした。

ここで本題のこの映画の良さ、そう単純にカッコ良いというところです。

話の構成で言うと二つ目の隆盛期、ここでのファッションや髪型が最高にカッコ良いんですよね。

まぁ万人受けするかと言われるとそんなことは無いんでしょうけど、カリフォルニアでロングヘア、薬やってて少しエッジの効いたサイケ調のファッション、それを演じてるのが若き日のジョニーデップときたらカッコ良いに決まってます。

テンポ良く流れるサントラも相まって、この時期のイケイケな映像はただただ上がります。

適当に着てる感じなのに生活にハマってるようスタイリングも好きなんですよね。その人のバックボーンが出てると言うか。

あとはカットで使われる動画から静止画を挟むのも見せ方がカッコ良い。この手法自体は間々観るけど、本作でのそれは抜群にカッコ良い。それだけでも観る価値ありじゃないかと思ってしまうくらい。

まぁ人生の深みと悪いものへの格好良さ、非常にバランスの取れた形で纏まっており、良き作品でした。

ちなみに、途中から出てくるペネロペクルスの美貌もヤバいですし、それ以上に彼女の荒んでいく演技力は更にヤバいです。そのへんも楽しんでいただければ。

では。

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男ともだち

憧れる関係性と思いつつ、葛藤もあるのが異性間の友情なのか。

『男ともだち』

これも以前から気になっていたものの、積読状態になっていた一冊。

自分自身は男なので、タイトルに反して逆の立場になるというわけですが、それでも共感してしまうのがこの作品の共感力。

とにかく主人公である神名(女性)に共感できるところもあるといいますか、そんな神名を羨ましく思うところもあるいいますか、とにかくあるあるがある。

よく言う、『異性間の友情は成立するのか』という問いがテーマになっていて、だからこそ、色々と思い当たる節があって当然なのかもしれませんが。

正直これ自体、個々の関係性というか、個々の考え方如何で成立も不成立もすると思っているところで、非常に難しいところだなとも思っている微妙な問題の諸々。

互いに恋人がいたり、そういった関係性を望んでいない時は当然友達として認識できるし、それ以上のことを考えたりすらしないものなんですよね。

それが困っている時や寂しい時、虚しい時、ふとしたギリギリの線上にいる時には考えさせられることがある部分だと思うし、実際のところ恋人と友人の関係性の違いって性交渉以外に何があるんだろうと思うところは多々あったりもするわけでして。

まあそれは結婚と恋人にあるようなふわっとした疑問だと思ってはいるのですが。

本作ではそのギリギリのラインを境にして、女性目線からの葛藤を中心に描いていくところがとても面白い。

登場人物に男性も数人出てくるんだけど、背景にある考えやエピソードは極力抑えられており、あくまでも女性の側から見た男友達としての視点で物語が進んでいく。

あとがきにもあるように登場する人物は全員クズばかりという面白さ。

それでも実際に生きていると、大抵の人は何かしら欠けているわけだし、聖人君子の様な人なんて自分の周りに浮かばないことを考えても当たり前のこと。

ここに出てくるような内情を持っている人がほとんどだと思うからこそ、感情移入も出来るし、複雑だなとも思えてくる。

ようはどこかしら自分とシンクロする部分があるからこその感情が湧いてくる。

個人的に作中に出てくるハセオという男性キャラが好きで、同性から見ても憧れを抱いてしまう。

生きることに無頓着なようでいて、人間味はあって、周りからの人望もある。この『ラフに生きているようでいて人間味がある』というところが良くて、ハセオ自体、生きることに多くは期待していないようでいて、考え方や行動はしっかりしているように見えるし、執着がないからこそ、フラットに、偏見無しに様々な物事に対峙できているように見える。

神名への距離感や接し方も絶妙な塩梅で、特に会話部分の暖かさというか、人間性が表出していて、それを読んでいるだけで、凄く安心できてしまうんですよね。

その辺は本当にこういう関係性の異性がいればなと思わせてくれる。

裏を返せばそんな関係性は実世界に存在しないともいえるんだろうけど、それは冒頭に述べたように個々に依存するところが多いわけで、絶対ということは無いとも思っている。

とにかくずっとこの関係性を見ていたい、そう思わせてくれるような『何か』が二人の間にはあるわけです。

神名が不安に思ったり、モヤモヤしている感情もまさにそこが肝になっていると思っていて、男女の関係性で確かな特別感、拘束感を持つためには肉体的であったり、恋人的立場であったりといった友達とは別のそれを確立しないと安心できないと思ってしまうところに矛盾を感じてしまう。

その『何か』という曖昧なもので繋がっているからこそ出来ている関係性、だからこそ失うのも一瞬だと思ってしまう感覚。この両者が絶妙なバランスで存在しているからこその『何か』を確認したくなってしまう。

ああ、もう考えただけで何とも言えない気持ちが募ってきます。

自分自身もそれは同感だし、どれだけ良い関係性を築いてもその相手が結婚したり、恋人が出来れば、友達は友達止まり。

友達のままいつまでもいれると考えればそれはそれで良いのかもしれないけど、ライフスタイルが変わる中で、いつまでも関係性が変わらない保証は無い。

終盤で神名はこの葛藤を乗り越えていくわけだけど、その辺の描写も画一的になり過ぎず、良い落としどころで描かれていると思います。

同性の友達とは異なる関係性、これはこれでメチャクチャ良い友達関係があるなと改めて思い出させてくれた。この読後感は癖になりそうです。

他作も含めチェックしたくなるありふれた日常の切り取りに長けた作品でした。

では。

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伸びたら纏める、纏まるから使う~リアル化学 ルシケア スタイリングミルク6 135g編~

最近ちょっと髪が伸びてきたこともあり、改めてこのスタイリング剤良いなと思いまして。

『伸びたら纏める、纏まるから使う~リアル化学 ルシケア スタイリングミルク6 135g編~』

ルシケア スタイリング - 製品情報 - リアル化学

このスタイリング剤ベーシックなものとしては3,6,9とある商品。

これがホールド力を表していて、数字が大きくなるほどホールド力が強くなるんですよね。

ホールドと言ってもヘアミルクなのでガチっと固めるというよりはニュアンス残して束感出すみたいな感じ。

短めのスタイルだと9が丁度良い感じ。クリームと言っても9だと意外にホールド力があって、流す感じのスタイルなら問題無し。

3は結構長めの肩以上とかなら有りなんだろうけど個人的には少し物足りない感じ。

そこでこの6ですよ。ある程度ショートでも、少々長めでも束感が丁度良く出る。ベタっとし過ぎず、適度に纏まり、適度にホールドする。この束感が良い感じに出るのって中々無くて、自分にはかなりあってるなと。

あと、これは全部に共通するところではあるんですが、とにかく匂いが良い。1日つけてても継続しますし、多分誰が嗅いでもいい匂いだと感じるような香り。サロンにあるようなちょっと高級感ある香りで、マジでツボです。

時間が経って手櫛でざっくりととかすとこれまた良い感じにリセットされるんですよね。まあホールドしてるわけでは無いので、ナチュラルにセットされてる感じもホント丁度良いところ。

とにかくガチっと決めたいショート以外でしたら万能感あるオススメ商品かと。元々はパーマにニュアンスを出すようなスタイリング剤ですし、女性にも当然いいかと。

あぁ、これのせいで髪切ろうと思ってたのに悩んできたくらいです。

では。


 

人数の町

人間の営みって一体。

『人数の町』


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中村倫也の主演で、衣食住が保証され快楽をむさぼることができる謎の町を舞台に描くディストピアミステリー。

映画配給会社キノフィルムズを擁する木下グループが、映画業界の新たな才能発掘を目的に2017年に開催した第1回木下グループ新人監督賞の準グランプリ受賞作品を映画化した。

借金で首が回らなくなり、借金取りから暴行を受けていた蒼山は、黄色いツナギを着たヒゲ面の男に助けられる。蒼山のことを「デュード」と呼ぶその男は、蒼山に「居場所」を用意してやるという。蒼山が男に誘われ、たどり着いたのは、出入りは自由だがけっして離れることができない、ある奇妙な町だった。

蒼山役を中村が演じるほか、石橋静河、本作が映画初出演となる立花恵理、山中聡らが顔をそろえる。監督・脚本は、松本人志出演による「タウンワーク」のCMやMVなどを多数手がけ、本作が初長編監督作品となる荒木伸二。

この設定って改めて映像で観るとホント怖いなと思います。

人が人であることの意味というか、そもそも生きるということはというか、そういった人生の諸々を含んでいる気がするんですよね。

幸せの定義も人それぞれあるでしょうし、その人なりの悩みや葛藤も日々抱えている。それは分かった上で何のために日々生き、生活していくのか。

登場する小物や設定もいちいち気になるものが多くて、特にポスターにも書かれていたバイブルの存在が印象的。

宗教だとか法律だとか、社則、校則、それに近しいものは溢れているわけで、それも判断基準や拠り所として用意されているはずなんですが、その本質が形骸化するとこうなるんだろうなというか、表裏一体の怖さがあると言いますか。

チューターに言われる「疑問があればバイブルを読んでください、そこに全て書かれているので」は痺れるパンチラインでしたね。

人の行動は誰かに決められたレールを走っているわけじゃないと思いつつ、そうでは無いとも言い切れない絶妙な力加減のフレーズ。

現実世界と照らし合わせた時に出てくる矛盾を良く含んだ問いが度々登場しますが、それら一つ一つが地味に嫌で後々効いてくる。

冒頭からそうなんですけど、本作は終始淡々と進んでいくというか、画作りにしろ、サウンド、演出にしても、とにかくすーっと進んでいく。これがより怖さを助長させると言いますか、生きている感覚が無く、ただ動いているだけの印象を受けるんですよね。

その辺を最も感じるのが中村倫也演じる蒼山がバスで町へ行き、施設内に入っていくシーン。

電光掲示板で流れる殺伐とした情報に、殺風景な風景、流れる音声もシンプルな電子音声による指示のみ。

作業の様に流れていく様がフィックスのカメラで撮られ、誰もが既視感のあるような光景にハッとさせられる。

テーマパークの順番待ちや免許更新、今でいうとコロナのワクチン接種会場なんかもそう。

効率と秩序を考えるとそうなることは分かっているものの、それでもこうして映像で淡々と見せられると異質さを感じるというか、不気味というか。

そこから始まる奇妙な生活は、それこそ感情の機微が無い様な生活の連続、生きる為に生き、欲求は満たされるものの目先のことしか考えられない、今が全てで生活そのもの。

それはそれで幸せなのかと思ったりもしつつ、観ている中でやっぱり満足できないだろうなという感情も湧いてくる。

個人的に立花恵理演じる末永は良かったですね。

あの美貌と妖艶な感じというか、それまでの生活との対比、あの町での振舞い、狂ってしまった演技含め、とにかく見事にハマっている。

綺麗なんだけどそれ以上に底知れぬ怖さが勝ると言いますか、とにかく嫌だなと思う感覚と、そうでは無かったんだろうなと感じさせる雰囲気の線引きを絶妙に演じていて、凄く良かったと思う。

外出するシーンで起きることもそうで、考えないで行動すれば大したことでは無いものの、一つ一つの行動に『なぜ』という疑問符が付くと、事はややこしくなる。

作品内での蒼山も最初はその『なぜ』があったはずなのに徐々にそれも失われ、文字通り、いち人数として町に消化されていく。

結局大なり小なり、社会で生活していく上で多数派に淘汰されてしまう構造自体がおかしなもので、それが必要な場面もあることもわかりつつ、そうでは無い部分もそうなっていってしまうところに恐ろしさを感じてしまう。

いじめも戦争も差別も、問題の大半はこの多数派による淘汰で起きている気がすると考えると、社会の構造にウンザリもしてくる。

それらと同様に感情の有る無しも人として重要なんだなと思うのが、性交渉を申し込む紙を渡すシーン。

一見するとこんな簡単に誰とでもと思ってしまうけど、考えると人の欲に際限は無いわけで、ともすれば不毛な行動に成り下がってしまうのかもなとも思ってしまう。

バスの中で蒼山が石橋静河演じる木村紅子に告白する場面、一番怖いのが周りの無関心だと思わされる。

快楽しかない中では、他への興味も、自分の先行きへの疑問すら失い、ただ動いているだけに近い状態。

この映画では終始動いているだけに見える光景が出てくるし、そう思うことも、考えて観ているからこそ。

逆に映像として何も考えないで起きている光景だけ観ていればそうは思わないだろうし、別にそこまで嫌な気はしないんだと思うわけで、それが逆に怖くて吐き気がしてくる。

食事だってそうで、好きなものだけを食べ、人としての機能を失っても食べ続け、その後はどうなってしまうのか、とか。そんなシーンが度々出てくる。

木村紅子が出てきてからはその辺が一変するわけだけど、それも感情を起点とした作用によるものかと。

人を動かす原動力というか、根幹的なところにはこの感情が不可欠なんだろうなと思いつつ、画的にもその動きが見えてきて、その辺は中々面白い作りだと思う。

サウンド的に驚かされたのがエリア内から出ていこうとすると鳴り出す不快な電子音。

これは是非映画館で観たかったなと思うほど、良くできたサウンドだし、リアルに近い形で映像と共に再現されるその音響効果は映画自体の構造に素晴らしく寄与していたんじゃないでしょうか。

劇中でサントラが使われないというのもよりこの効果を引き立ててるんだと思うけど、何より不快感と嫌悪感を抱かせるあの感じは良いスパイスになっていると思う。

とにかくラストまで観た時のやるせなさは半端無く、ポジティブに考えられないこの設定にやられます。

これは考えれば考えるほど、今生きている自分そのものになりかねない、誰もがこの一端を担っているようなそんな物語な気がして、とにかく深すぎる闇を観た気がします。

完全に余談なんですが、タイトルである人数の町をずっと人形の町だと思っていて、今考えるとそれでも意味が通ってしまいそうなのは面白いミスリーディングだなと勝手に思っているところではあります。

人形としてでは無く、人として、個人として、自分として、どう振舞い、過ごすことが重要なのかを少し考えてみようかと思います。

では。

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トップガン マーヴェリック

映画的快楽、原点であり最上級。

トップガン マーヴェリック』

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トム・クルーズを一躍スターダムに押し上げた1986年公開の世界的ヒット作「トップガン」の続編。

アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校トップガンに、伝説のパイロット、マーヴェリックが教官として帰ってきた。

空の厳しさと美しさを誰よりも知る彼は、守ることの難しさと戦うことの厳しさを教えるが、訓練生たちはそんな彼の型破りな指導に戸惑い反発する。その中には、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子ルースターの姿もあった。ルースターはマーヴェリックを恨み、彼と対峙するが……。

主人公マーヴェリックをクルーズが再び演じ、「セッション」のマイルズ・テラー、「ビューティフル・マインド」のジェニファー・コネリー、「アポロ13」のエド・ハリスが共演。さらに前作でマーヴェリックのライバル、アイスマンを演じたバル・キルマーも再出演する。

オブリビオン」のジョセフ・コジンスキーが監督を務め、「ミッション:インポッシブル」シリーズの監督や「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家として知られるクリストファー・マッカリーが脚本に参加。

久々にこれぞ映画な作品を堪能した気がします。いやぁとにかく凄かった。凄すぎて時間の経過も一瞬過ぎて、幸せ過ぎました。

全作トップガンに関してはリアルタイム世代じゃなかったですし、そこまで思い入れがあった作品でも無かったんですよね。まあ観直してみると新しい良さにも気付いたわけですが。あくまでも今作込みでの再評価。

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漠然とカッコいいなと思う物やシーンは多かったわけですが、それをここまで見事に続編として成立させるとは思いもしませんでした。

基本的に続編ってそこまで好きじゃないんですが、本作はその構成含め、見事過ぎました。

何が良かったって挙げ出すとキリがないくらい、全てがクライマックス級。

鑑賞中ずっと思っていたのが本来の映画の在り方って、ということ。こういう有無を言わさない感動だとか驚きだとか、そうした凄さを感じるような、ただただ凄いと思う体験こそが醍醐味だったんじゃないだろうかと。そーいえば、映画を観に行きだした頃ってこうだったよなという気持ちの高まり。

個人的に映画を観ていて物語が好きなんだなと思う瞬間は多々あるわけですが、本作を観て感じたのが、『物語の究極系こそ映画なんだな』ということ。

描かれるそれらの整合性や前提条件、そういったディティールの詰めも、もちろん重要ではあるんですが、それを凌駕するくらいの映像的納得感があればそれはもう最高の映画体験になるんだということ。

それを地で行くのが本作だったような気がしております。

トム・クルーズを筆頭に俳優の演技然り、脚本然り、サウンド然り、映像然り、しっかりと積み上げ、押さえるところは押さえてくる、本当に良く出来た構成でしたし、マジで泣きまくりました。大人になってからここまで泣いた映画は久しぶりかと。

もう全てが本作の為に良く働き過ぎて、感動と驚きの連続。チープな言葉になりますけども、それくらい単純な感情の数々。そして何よりも迫力と映画館でしか体感出来ない幸福に満ちていた。

あの戦闘機のアクションは反則でしょ、と思いつつ、圧倒的迫力に満ちた映像と音声に、震えましたよ。手に汗握るとはこのことかと思うような時間が続き、体験していないのにクルーの一員になったような気すらしてきたほど。

まさに戦闘機アクションの最高峰なんじゃないかと思うほど、音と映像にぶっ飛びましたね。あれは絶対に大きいスクリーンで観た方が良いに決まっている。

そんな没入感ありありの映像体験ってのもブチ上げポイント。プレステ全盛の当時エースコンバットにハマった自分を思い出しましたね。まあ自分がやっていたのは所詮ゲームですが。

それから前作ファンへの目配せも実に丁度良かったんじゃないでしょうか。冒頭観た時はやり過ぎな位の再現に驚きましたが、これはこれで上がる。タイトルロゴからサントラ、カットの再現まで、技術的な向上がある分、細部のディティールが見えるようになっていたこと以外はほぼ一緒。他にも何ヵ所もそういったシーンがあるんですが、これらも不思議と納得感があるんですよね。

この話をする時にスターウォーズの話は切り離せないと思うんですが、スターウォーズでのそれはファンライクに寄せ過ぎたというか、脚本、構成上の作りが甘かったんじゃないかと。必然性に欠けていたというのが正直なところだと思うんですが、上がるけど、なんか違う感が終始あって、満足度として中途半端な印象で変なモヤモヤがあった気がします。

それとは別に、あのミッションもSWのあれですよね。やっぱりああいうミッションって興奮するものなのかなと思いつつ、あの年齢のトム・クルーズがやってるということも相まってぶち上げ。

それに比べてこの作品は何なんでしょう。ファンサービス的な所が多いにも関わらず、必然性があって、むしろそれを上回ってくる納得感すら感じてしまう。

それこそがこの映画の映画たる素晴らしさだとは思うんですが、昨今薄れてしまっていた、映画然とした映画そのもの。これを映画館で観ずして何を観るんだと。それくらい圧倒される映像体験でした。

間違いなく何度か映画館で観たい映画なので、観るたびに新しい発見もありそうです。

では。