「『出版禁止』の読後感: ミスリードと考察の楽しみ」
放送禁止といえばちょっとした話題になった深夜ドキュメンタリーだと思うんですが、これが当時なかなかに衝撃的だったんですよね。
一見すると普通のドキュメンタリーなのに、どこかしらに残る、視聴後のモヤモヤ。
散りばめられたギミックに気付いた時、それまでの認識が覆り、ぞっとさせられるような作り。
そんな映像作品の仕掛け人である長江俊和による著書が「出版禁止」なんです。
本作もテレビ番組同様、散りばめられた仕掛けが面白く、サクッと読めてしまう。
現状3冊出ているんですが、本作はその1冊目。ミステリー的な面白さもありつつ、ちょっとホラー味あるグロテスクなテイストもある。ただ、どこまでいってもホラー性を重視した作品というよりは、考察や気付きを愉しむといった部分に重きが置かれている気がしますね。
映像同様、読んでいく中で生じてくる若干の違和感が終始漂い、なんか変な引っ掛かりがあったりするんですよね。
丁寧に読み進めれば読み進めるだけ、ページを戻って違和感を確認する回数も増えそうな作品性。それでいて、最後にはそれらの予想を覆すような仕掛けもあって、だからこそ道中から最後まで楽しめる。
なにより読み終わってからも楽しめるというのが最大の面白さで、考察することで深まる謎が魅力的なんですよね。
人って何かを聞いたり話したりする時に、情報を補完しているというか、推測して話しているところがあると思うんですが、それを逆手にとってミスリードさせるといったような仕掛けが多分に仕組まれている。
正直、この辺を話してこそ本作の魅力が語れるとは思うんですが、盛大にバラしてもあれだなとも思うわけで。
まあ言えることとしてはとにかく注意深く読むこと、強いて言うと、記号、日時、人名、人間関係、索引。
こういったところに注目すると見えてくることがあるかもしれません。
では。