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星を継ぐもの (創元SF文庫)

これがハードSFの傑作なのか。

『星を継ぐもの (創元SF文庫)』

正直こんな食らうとは思いませんでした。

名前や表紙は目にしたことがあったんですが、何となく読む機会がなく、手に取る機会がなかった一冊。

この小説そもそもジャンルとしてはハードSFというものになるんですが、意外にも通ってこなかった気がしていたジャンル。ちなみにそれが何かと言うとこんな感じ。

ハードSFは、科学的な正確さと現実的な技術や科学を扱ったサイエンスフィクションのジャンル。

物理学や天文学などの科学的な原理に基づき、現実世界の科学的な知識を忠実に反映させている。

テーマは宇宙探査や人工知能など多岐にわたり、読者に科学的な教育や倫理的な問題について考えさせます。

要するに知識が無いと敬遠してしまいそうなジャンルなんですよ。そう思っていたんですが、全くそういった知識が無くても、純粋に作品として楽しめちゃいました。

作品自体のあらすじとしてはこんな感じ。

「星を継ぐもの」は、ジェームズ・P・ホーガンによるSF小説であり、謎めいたメッセージを解読する宇宙船のクルーを描いた物語です。

メッセージ解読の過程で、彼らは人類の進化や宇宙の起源についての深い謎に迫っていきます。ホーガンの科学的な描写は魅力的で、宇宙探査や進化のメカニズムなどのテーマを通じて読者に興味深い洞察を与えます。

この本は、ハードSFのファンや科学に興味を持つ読者にとって、驚きと洞察に満ちた魅力的な読み物となっています。

ガンダムの元ネタになったような部分もあり、SFでありながら、原理的な問いが随所に含まれていてメチャクチャ面白い。ミステリー的な要素もあって、謎解きとSFが絶妙に融合している感じ。

自分の頭に浮かぶ仮定と進んでいく物語を照らし合わせながら、時にミスリードをしていたことに気付かされたり、何か見落としていることがあるんじゃないかと思わされたり。

読んでいない時にも考えさせられる部分が多く、とにかくワクワクさせられるんですよ。日常生活でさえも。

全ての小説や物語に言えることなのかも知れませんが、”想像”というものによって知的好奇心がくすぐられるから、読み物は面白い。映画やドラマなどとも違い、映像が無いからこそ、想像の余地が大きく、だからこそ自由にディティールや隙間を埋めていくことが出来る。

その感覚の余地がこの作品には多く、最後まで楽しめる。

出版されたのが80年代。それなのに全く古びないストーリー。出てくる技術や設定に関してもそうで、むしろ新しさすら感じてしまうほど。

前提を疑うということ、革新的なことを考えるという点において、その未来的創造力を存分に刺激してくれるのは間違いなくこうしたSF作品だよなと。

この作品の凄いところは大枠で見ても楽しめ、ディティールとして見ても楽しめるところだと思っていて、始まりから引きが強く、何が起こるんだとグイグイ引き込まれていく。

それがまさか最後の1ページにまで繋がっているとは思いませんでしたが。

その辺は是非最後まで読んでもらい味わって欲しいところですが、それ以外の二転三転する話も本当に面白い。

理にかなっているように感じるし、前提や仮設に説得力があるからこそ、イメージとしても認識しやすい。逆に言えば、作中でちょっと違いそうだなと思うようなことは、話の中で淘汰され、実際に否定されて物語が進んでいく。

この辺も潔いというか、変なモヤモヤが無いんですよね。好き嫌いもあるのかもしれないですが、やっぱり自分はこういった論理的で未来的な物語が好きなんですよね。

こう書くとやっぱり小難しいのかなと思われるかも知れないんですが、全然そんなこともなく、難しそうな理論が出てきて、多少分からなくても後々理解できるような部分が多いので全く問題なし。

そんなことよりも是非想像力をもろに刺激し、作品の中に入り込んじゃってください。

普段当たり前と思っていること、これから起きること、常に予測不可能なはずの世の中。想像力というのは力にもなり、楽しみになるというのはなんとも面白いものだなと思いつつ、久々に脳天を打たれた気がします。

古典の名作にはそれなりの理由がある。それは間違いないですね。

”人は本当に地球で生まれ、存続してきたのか?”問われているのは事実ではなく想像力です。

では。