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バンデットQ

子供時代に描いた夢が現在の自分に問うてくる気がする。

バンデットQ

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《予告編》 バンデットQ

イギリスの一少年が、突然、寝室に出現した小人六人とともに冒険の旅へ出るというSFファンタシー。

製作・監督は「モンティ・パイソンアンドホーリー・グレイル」のテリー・ギリアム。エキュゼクティヴ・プロデューサーはデニス・オブライエンとジョージ・ハリソン。脚本はマイケル・ペリンテリー・ギリアム、撮影はピーター・ビジウ、音楽はマイク・モランが担当。主題歌をジョージ・ハリソンが歌っている。出演はクレイグ・ワーノック、ショーン・コネリー、デイヴィッド・ワーナー、ラルフ・リチャードソン、イアン・ホルムなど。

なおオリジナルの上映時間は1時間56分で、日本版ではピーター・ヴォーンとキャサリン・ヘルモンドが扮する“悪鬼夫婦”と、ジョン・クリース扮する“ロビン・フッド”のエピソードがカットされている。 

正直映画のクオリティとしては荒唐無稽だし、物語の機微も在って無いような感じ。

それでも、子供が出てくる冒険ものといえばそれだけで、最高に夢の様な話だと思うし、現実じゃなく、夢に重きを置く、ギリアムの原点というのは良くわかる。

子供の頃に自分なりのゲームを考えていたり、物語を想像したり、テレビゲームにハマっていた感覚ってこういう事だったんだろうなと再認識させられところが本作の面白いところ。

大人になり現実を知り、現実に生きていくと忘れてくる、文字通り『夢』。その物語を皮肉たっぷりなギリアム節で解きほぐしていく感覚そのものが面白い。

何かを楽しむにはそれ相応の没頭が必要なわけで、それには制限された自由や制限された環境、鬱屈とした感情といった、一見すると負の側面が無いと想像は働かないんじゃないかと思っていて、そういった意味での大人の価値観をバッサバッサと切り刻んでいくカタルシスが本作にはある気がした。

本作に登場する魔王こそ大人であり、その権化が過去の自分から見た今の自分であったりするのかもしれない。そう考えると少年、ケヴィンが過去の自分であり、その過去と現在を繋ぐのがカルチャーや人、モノ。要はそれまでに自分が経験し体験し、出会ってきたこと。

それらを包括的に捉える社会こそが冒頭とラストで出てくる両親であり、消費社会を象徴するテレビ内での出来事なのかもしれないと思うと、ラストシーンでのあの展開は本当にスカッとする。

今自分が本当に考えなきゃいけないのは消費社会に埋没し、生きているんじゃなく、生かされているということを認識すべきなんじゃないか。その上で、活力の源である『想像性』を取り戻す必要があるんじゃないか。

そう考えると本当に身につまされる。

細かいことを抜きにして、映像としての生々しさや、それゆえの迫力を楽しみつつ、過去に夢見たファンタジックな世界観に浸るだけでも十分楽しめる作品じゃないでしょうか。

ちなみに今聴くと逆に新鮮味を覚えるようなサウンドも良いですし、エンディング曲にはビートルズのジョージハリスンが関わっており、その歌詞も今観ると不思議な感覚がします。

とにかくギリアムは不思議。その原点を知るという意味でも面白い作品かと思います。