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『灼熱の魂』:衝撃展開が止まらない、二度と観られない衝撃のラスト

これまた衝撃的。

「『灼熱の魂』:衝撃展開が止まらない、二度と観られない衝撃のラスト」

ポスター画像


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レバノン出身のカナダ人劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲をドゥニ・ビルヌーブ監督が映画化し、第83回米アカデミー外国語映画賞にノミネートされたヒューマンミステリー。

心を閉ざして生きてきた中東系カナダ人女性ナワルは、ある日、実の子で双子のジャンヌとシモンに謎めいた遺言と2通の手紙を残してこの世を去る。手紙はジャンヌとシモンが知らされていなかった兄と父に宛てたもので、まだ見ぬ家族を探すためナワルの母国を訪れたジャンヌとシモンは、母の痛切な過去と向き合うことになる。

後にハリウッドで「メッセージ」「ブレードランナー 2049」「DUNE デューン 砂の惑星」など話題作を次々に手がけ、高い評価を受けるビルヌーブ監督の出世作となった一作。2022年8月、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

まずこれ、戯曲だったんですね。何も知らずに観たんですが、相変わらずドゥニ作品はエグいことをするなと。

映像的なドライさは常にあるのに、かなり手の込んだ脚本。緻密に練られすぎていて、どういった話なのか終盤までまるで全くわからない構成。

冒頭で示されている目的地はわかっているのに、なんかしっくりこない感じ。それによりどこに着地するのかわからないんですよね。

”思っていた世界と違う方向に連れて行かれる”というのはドゥニ作品に共通するところなのかも知れないです。

とまあ、本作は先にも書いた通り、脚本の素晴らしさが際立つわけですが、このお題をここまで映像的に上手く見せれるところが驚きなんですよ。

戯曲が下敷きにあるとはいえ、ここまで完璧なロードマップを描けるもんじゃないですからね。構成も完璧ですし。

同時に、完璧過ぎるが故に初回の衝撃が強く、内容も激重なので、何度も見返そうとは思えないわけですが、完璧なのは間違いないかと。

作中、レディオヘッドの楽曲が使われていたのが印象的ですが、これはなんか狙いすぎている感ありありで、際立ち過ぎていたような気もします。

特に冒頭のそれがそうで。なんか映像的なPVっぽさも相まってなおさら。

それでも精神性というか、映像的なイメージややりたいことはわかるんですけどね。

撮影の部分で言うと、ヌルっとしたような、覗き見るようなショットは何か好きでしたね。

この作品、衝撃的な展開が度々訪れるので、ホントにそれを気にしながら手探りで進んでいくような感じもありで、独特なテンポ感を助長するのに効果的に寄与していたような気はします。

後はとにかく自然音が際立っている。

水の音であったり、風の音、木々がそよぐ音や、鳥のさえずり。

そうした環境音にフォーカスが置かれている気がして、あくまでも日常との地続きの中でああいった世界線があるということを自覚させられるんですよ。

それが絶妙に嫌なフックになっているというか。

とにかくこの結末は知らずに観たほうが楽しめるかと。

タイトルも秀逸で、現代の原題「Incendies」はフランス語で火事、火災、戦火、動乱、 真っ赤に燃える光、激情、激昂、といった意味らしいんですよね。

このどれもが当てはまるほど、言葉にならない抽象的な感情を抱くわけですが、そのどれにも燃えるような静かな炎を感じるような感覚。

ラストでこのタイトル出た時、「まさにそれ!」と思ったのは言うまでもないです。

とまぁ、何も知らずにとりあえず観てみてください。

では。

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