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リンチの真の意図を探りたくもなる!リンチ版『デューン 砂の惑星』

「リンチの真の意図を探りたくもなる!リンチ版『デューン 砂の惑星』」

カルトの帝王リンチでも大失敗した呪われた映画『デューン/砂の惑星』、リメイクの行方は? - ナゾロジー


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映像化不可能と言われたフランク・ハーバートによる大河SF小説を、「エレファント・マン」で成功をおさめたデビッド・リンチの監督・脚本で映画化。「デューン」と呼ばれる、砂に覆われた惑星アラキスを舞台に繰り広げられる勢力争いを、壮大なスケールで描く。

時は1万191年。宇宙を支配する皇帝シャッダム4世は、自身の地位を脅かす救世主の出現を恐れていた。宇宙移動に欠かせない貴重な資源である「メランジ」と呼ばれるスパイスが採取できる、砂の惑星アラキスには、皇帝のいとこであるアトレイデス公爵の一家が暮らしていたが、同家の息子ポールこそが救世主と判明し、皇帝は公爵の敵であるハルコネン男爵と手を組み、アトレイデスの失脚を図る。公爵は自害に追い込まれ、母ジェシカとともに砂漠に逃れたポールは、アラキスの原住民であるフレーメンと合流し、皇帝とハルコネン男爵の軍に挑んでいく。

「エル・トポ」のアレハンドロ・ホドロフスキーも映画化を進めていたが実現には至らなかった作品を、鬼才デビッド・リンチが独自の映像美学で映画化。しかし、最終的な編集権がスタジオ側にあり、意図しない編集などが施されたことから、リンチ監督にとっては不本意な作品になったという逸話でも知られる。主演は、本作の後にテレビシリーズ「ツイン・ピークス」でもリンチ監督とタッグを組み、同作のデイル・クーパー役でブレイクするカイル・マクラクラン。後にテレビ放映用にナレーションと未公開シーンを加えた長尺版「デューン スーパープレミアム 砂の惑星・特別篇」も発表された。1985年の日本初公開時の邦題は「砂の惑星」。2024年、4Kリマスター版でリバイバル公開。

触手が伸びなかったのもあるんですが、ようやく機は熟しました。

というのも絶賛DUNEにドはまり中でして、その流れで絶対に通りたいと思っていたのが本作、『リンチ版 デューン 砂の惑星』。

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ホドロフスキーのドキュメンタリー作は気になり、DUNE part1公開時に見ていたわけですがこちらはそこまで触手が伸びず。

ちなみにホドロフスキーの作品はおもろいです。

こんな愛嬌あるオヤジだったのかと思いますし、DUNE自体の構想もかなり興味深い限りで。

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話が逸れましたが、デヴィッド・リンチ自体は好きな監督ですし、リンチの世界観っていうのは唯一無二なわけで、そのリンチとDUNEとハーモニーが悪いわけはない。とも思うわけです。

ですが何分時代もそうですし、技術的な部分も考えると致し方ないところもあるのかなというのが正直な感想。

なんせ1984年制作ですから。

ということで予想通りというか、逆説的に、数十年で技術の進化がここまで進んだのかと驚かされました。

リンチ自身も言っているんですが、この作品、わりと失敗作として語られることが多いんですよ。

それもなんとなく言わんとしていることはわかります。でも、今にして思えばよくやったなというところもあるわけですよ。

全体を通しての詰め込み感、表現の上でのチープさなんかは当然ありますよ。ただ、リンチの作家性は存分に顔を出していて、DUNEの中でもグロテスクさでいうと確実にトップクラスでしょうね。カオスさもリンチらしい仕上がりなのかと。

特にハルコンネン家の気持ち悪さ、不気味さは秀逸で、見ているのが嫌になってくるほど禍々しい。

佇まいももちろんなんですが、話しているところや食べているところ、とにかく存在自体がマジで気持ち悪い。なんか常に濡れたような質感もありますし。こういう表現は当初から抜群だったんだなと。

あとはギルド航宙士ですよね。

登場したとき、どういうことになってるんだよ。と思いましたし。いちよは人が原型であって、そこからスパイスによる進化で異型のものになっているとは知っていましたが、それでも気持ち悪すぎる。

これも確実にリンチならではですよね。

あと、今だからですが、チープで面白く見れる部分もあるのかと。

最たるものがシールド表現。

急にあれ見せられたらバグったのかと思いますから。ほんとに。シールド使用者同士の戦闘なんて画面を占めるポリゴン表現が邪魔してよくわからないことになっていますし。

でもなんか微笑ましい。

それからモジュールですよね。

あの存在は何だったのか。

開発意図も使い方も、なんならあの掛け声的なのもなんなのか。

説明がなくともわかるものは数有れど、ものはわかるけど、本質的に理解できないという謎な存在感。無駄しか無いと思ってしまいますし、強さや重要性を微塵も感じさせないという極めてレアな産物かと。

この武器なくしてリンチ版DUNEでは勝利は無かったわけですが、全くもってダサすぎて謎。逆に今では忘れられない武器になっているわけですが。人の興味や記憶は一体どうなっているのかと自分でも思わさされます。

そして何と言っても、サンドワームが怖くないんですよ。

デカさだけは認めるものの、あれが登場しても不思議なほどに恐怖心が沸かない。CG効果やエフェクトが無かった時代というのもあるかとは思うんですが、それにしても造形含め怖さを感じないのが不思議なんですよね。

原作でのセリフも多々登場しますし、表現としてのそれも出てくるんですが、やはり全てを詰め込みすぎましたね。これは配給側であったりといった色々な背景があったんだと思いますが、それにしても。

詰め込みすぎた割にそこ削るのかといった部分も多かったのかなと。

スパイスに関してもあまりフォーカスはされませんでしたし、乗り物や機器のディティール、建物の印象も薄い。オタク的な作品なんですが、そうしたオタク心をくすぐるディティールの部分が物足りなかったかなと。

まぁ、リンチの作家性を考えると、そうしたことよりも人物や内面にフォーカスするというのはわからなくも無いので、そう考えると仕方が無い部分だったのかも知れませんが。

とはいえ、今の技術でリンチの好きな形でDUNEを作成したらどうなったのかというのは逆に興味深く思えるところではありましたね。

書き忘れましたがストーリー的な部分はDUNEの知識無しでは全く理解できないと言っても過言じゃないかと。

ただ、その他の作品や原作などで補完してから見るとまた違った楽しみ方ができる作品なのかなとは思います。

こんなこともあったというのを知るのはDUNE熱のある今だからこそ。

DUNEに興味を持った方は一見してみるのも良いかも知れません。

では。