やっぱり好きな世界観。
『シドニアの騎士 あいつむぐほし』
弐瓶勉の人気SFコミックを最先端のセルルックCGでアニメ化し、2014年にテレビシリーズ第1期、15年に第2期が放送された「シドニアの騎士」の完全新作劇場版。
謎の敵「ガウナ」と人類との激闘を描いたテレビシリーズから10年後を舞台に、原作者の弐瓶が総監修を務めたストーリーが展開。原作コミックとは異なる新たな内容が多数盛り込まれる。
巨大な宇宙船「シドニア」で旅を続ける人類の前に100年ぶりに出現した、未知の生命体「ガウナ」。人とガウナから生み出された白羽衣つむぎや人型戦闘兵器「衛人(モリト)」 のエースパイロットである谷風長道の活躍により、ガウナは一旦撃退され、人類はなんとか勝利を収めることができた。
それから10年。シドニアの人々は、つかの間の平和を楽しんでいた。しかし、 シドニアの艦長・小林は、ガウナがいる限りこの平穏は長く続かないと考えていた。そして、人類の存亡をかけた最終決戦を決断する。
テレビ第1期で副監督、第2期では監督を務めた瀬下寛之が総監督を担うほか、テレビシリーズのメインスタッフ&キャストが再結集。
アニメも良かったが映画も良い。伏線の回収であるとか映像の表現とか含め、観たかったと思う部分を良く網羅できていると思う。さすが総監修に原作者が関わっているだけのことはある。
観終わるとこのポスターが何を表しているのか良くわかるし、納得のワンシーンかと。
原作を読んでいないので変なことは言えないけど、アニメからの劇場版という流れで良く纏まっている作品だなという印象。
このアニメは終始作画の心地良さがあって、バトルシーンなんかはもろにその感じが出ている。
まあこれは完全に主観的な話なので、万人受けするとは思わないし、作品的にもそれは言えると思う。
こういうロボットSF系ってどの作品にも好きな人なりの楽しみ方があると思っていて、本作における『作画的気持ちよさ』っていうのがまさに自分のそれ。
プラスしてこの作品はアニメ時代からディティールの作り込みだったり、設定だったりというところにもグッときている。特に銃器の名称だとか、場所の名称、そういった個々の名称のわかりやすくも凝っているなと思わされるところにも惹かれるものがある。
シーンで言うと個人的に特に好きなのが重力祭の場面で、あの設定、雰囲気、SFなのにノスタルジーを感じるし、あの場に行ってみたいなと思わせられるワクワク感みたいなものが詰まっている。
実際、アニメでのヒロインであった星白との思い出深いシーンもそうだし、他のキャラクターとの交流だったりもそう。思い出としてうまく機能している場所だなとも思うとことさらに感慨深い。
若干疑問が残ったのがラストシーン。
長道が好きだったのは本当のところ誰だったのか、ジェンダーという問題の複雑さに触れながら物語が進んできた本作だけに、そこのところの解釈が判然としない印象を受けた気がする。
別にこの人だと決めてほしいわけでは無いし、そういう意味では結論は出ているんだけど、そういうことでない、腑に落ちるような展開だったらと思ってしまう。
ガウナの存在についてもこの劇場版で見事に納得感が持てる作りになっていて、今まで以上に知的生命体寄りな形状になっており、ストレートに戦いを仕掛けてくる。
今までもその目的は謎だったし、今回もそういった謎は残る。それでもガウナの進化と在り方を見ることで、鏡写しになった人間を見ている気がして、ある種の違和感と葛藤を感じた。
この違和感こそが人間自身に対するものなんだろうなと思いつつ、恋愛、戦闘、生活、人生、そういった営みを網羅し、ガウナという生命体と対峙していく。
自我とアイデンティティ、個人と社会、そういった一見相反するなにかというのはやはりわかるようでいてわからない。その何とも言えない歯痒さを内包した作品だったように思います。