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初期衝動における悪さへの憧れ『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』

「 初期衝動における悪さへの憧れ『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』」

Prime Video: Lock, Stock And Two Smoking Barrels


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イギリスの鬼才ガイ・リッチーが1998年に発表した長編デビュー作で、悪友4人組が一獲千金を狙って巻き起こす騒動を予測不能な展開とスタイリッシュな演出で描いたクライム映画。

ロンドンの下町で暮らすエディら4人の悪友たちは、持ち寄った10万ポンドでギャンブルに挑むが、賭博場の元締めであるハリーの罠にハマり50万ポンドもの借金を負ってしまう。返済期限はたったの1週間。絶体絶命に陥ったエディたちは、隣人のギャングがマリファナ工場の襲撃計画を立てていることを知り、彼らが奪った麻薬を横取りしようと画策する。

ジェイソン・ステイサムの俳優デビュー作。人気ミュージシャンのスティングも出演。

この映画は個人的な青春の1ページでして、当時映画を観始めたきっかけがこういった単館系のマフィア、クライム系作品だったんです。まあ当時はミニシアター系の映画も流行ってましたからね。

中でも「トレインスポッティング」と今作「ロックストック」に関しては特に好きで、この映画が無ければそこまで映画に興味を持つことも無かったかもしれない。そう思えるほど当時の自分には衝撃的な作品でした。

このビジュアルも最高にツボだったんですよね。配色、構図。

当時中学生だった自分からするととにかくカッコ良く映ったんですよ。ロンドンの街並み、悪いこと、音楽、ファッション。全てが新鮮で魅力的だった。

それから数十年経ち、まさか劇場で観れる日が来ようとは。

最初の驚きだったのが、思っていた以上にざらついた印象の画だったということ。

当時はそれこそVHSで観ていた気がしますし、TV自体もアナログ放送でした。なので全然気にならなかったといいますか。

劇場で観ていて、あのざらついた質感とテンポよく切られたカットはガイ・リッチーだよなと思うわけですが、ほんとクライムアクションと相性は抜群。レザボアとかとも違う子気味良い感じ。出てくるキャラも大物じゃなくて小物な感じも含めての設定が丁度良い。

脚本に関してもガイ・リッチー作の中でもピカ一な気持ち良さじゃないでしょうか。とはいえ「スナッチ」も好きですが。

展開としてはパズルを揃えてくような感覚で、それぞれの行動、つながり、バックボーン、場所、そういった全てが面白いように組み立てられていく。

その辺も緻密にというより、馬鹿馬鹿しい感じなんですが、この作品ではそれが許せちゃうんですよ。というかそれが良いというか。

「バカさへの賛辞」に溢れてるんですよね。それらをスタイリッシュかつなんか雰囲気あるように見せるというか。

画的なカットにもその雰囲気が出ていて、画面内に主人公たち4人を収める構図がなぜかカッコ良い。広角めで割と目いっぱい人物で埋めきっていたり、間抜けな構図をそのまま抜いていたりといった人物の配置、距離感からくるカッコ良さ。

正直この映画の肝は「心地良いカッコ良さ」にあると思っていて、映画として単純にカッコイイんですよ。

それはファッションかもしれないし、音楽かもしれないし、ライフスタイルかもしれないし、キャラクターかもしれないし。

今見てもファッションとかカッコ良いと思っちゃいますから。

ロンドンのスタイルが良く出ている、タイトなパンツにインナーはいなたいポロシャツやシャツ。それにジャケットやブルゾンを羽織ったようなシンプルなんだけど、どこか着崩した感じ。コーデとか気にせず合わせたんだけど、それが結局はオシャレみたいなスタイルに憧れたものです。

Lock, Stock and Two Smoking Barrels is Overrated - Cultured Vultures

音楽もロンドンの街並み、映像のカッティングに合ったUK然としたアップテンポでスタイリッシュな楽曲群。挿入の仕方も含め、ロンドンだなぁと、行ったことも無いのに思いだけが馳せていく。

若い頃ってなんで悪いことにカッコ良さを感じるんだろうと思っていたんですが、今見てもカッコ良いと思ってしまうのは初期衝動が大きかったからなのかただ単に好きなのか。

やっぱりいくつになっても思うのが「生かされている」という感覚以上に「仕方なく生きている」くらいに思っている方が性にあっているのかもしれません。

作中で出てくるキャラもその日暮らし的な印象を受けますし、それが人生なんだろうなとも。

とにかく劇場で観れるというのはまた違う映画体験なので、好きだった方も、興味ある方もこの機会に是非。

余談なんですが、劇場で案内の女の子がタイトル名をとまどいながら引っかかりつつ読んでいたのは時代を感じつつ印象的でした。

では。