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オアシス ネブワース1996

その時その場にいなきゃ始まらない。

『オアシス ネブワース1996』


www.youtube.com

ポスター画像

ブリットポップムーブメントを牽引したバンド「オアシス」がキャリア絶頂期の1996年におこなった伝説のライブをドキュメンタリー映画化。

1996年8月10日と11日にハートフォードシャー州ネブワースで開催された同ライブは2日間で25万人以上の観客を動員し、当時の野外コンサートの動員記録を塗り替えた。

ライブ会場やバックステージの膨大な未公開映像を中心に、バンドやライブ主催者へのインタビューを加えて構成。

オアシスが奏でた音楽も集約され、同ライブがオアシスとファンが共に創り上げた奇跡的なイベントであったことを明かす。

ノエル&リアム・ギャラガー兄弟が自ら製作総指揮、オアシスを含む数々のバンドのミュージックビデオを手がけた映像ディレクターのジェイク・スコットが監督を務めた。

オアシスといえば自分が洋楽を聴き始めたきっかけになったアーティストの一つであり、アイコンとして、バンドというもののカッコ良さを知ったきっかけでもあった。

今でこそここまでシーンを賑わしているロックバンドはいないし、今後出てくるのかと思うくらいロックの影響力が落ちていると思う。そう思うほどに、当時はロックバンドというものが熱を帯びていた気がする。

それ以前に遡れば様々なビッグアーティストもいたわけだけど、直近だと90年代から00年代初期に起きていたムーブメントは凄かったんだと思える。

そんなオアシスのネブワース公演がドキュメンタリーとして映画化となれば行くしかありません。

コロナ禍でライブにいけない状況ということもあり、やはりこういった映画は沁みる。今となってはバンドも解散してしまい、兄弟のいざこざも一層こじれていきている中、再結成に関して望み薄な状況を考えると、さらに感慨深い所があった。

チケット販売に始まり、当日を迎えるまで、さらにライブ時の状況とシームレスにオアシスというバンドだけを介して過ぎていく時間というのは本当に心地良い時間だった。

視点の切り取り方も素晴らしく、ファンとバンド、という双方の視点を絶妙に織り交ぜることでエモーショナルに繋げていく。この映画を観ていると今までの自分が通っていないムーブメントとは違う、圧倒的リアリティと興奮を持って観られたのが大きかった。

歴史じゃないけど、本当にカルチャーショックを受けるにはその時、その場にいることがどれだけ大事でかけがえの無いものになるのか。そういう時に生まれる感動って本当に何物にも代えがたいし、一生自分に刻まれるんだと思い泣きそうにすらなった。

当時自分は中学生くらいでネブワースにも行けなかったし、ライブにすら行けていなかった。それでもその時聴き、憧れ、洋楽を好きになったのは紛れも無いし、その時の経験があるから今がある。そう思うと本当に音楽が好きで良かったと思わされる。

ファンのコメントで言っていた「今のようにスマホSNSも無かった時代、投稿するためにでは無く、そこにいてただ音楽を聴きたいから聴いて熱狂した」というのは今の時代に失われてしまった過去の特権だったのかもしれない。

充実と目的を履き違えた現代と過去への自分に対する戒めとして、オアシスがあの時の感動や経験をノスタルジーとしてではなく、喚起させてくれたことはとても身に沁みた。

欲を言えば、楽曲演奏時だけでも爆音で聴ければもっとその熱狂が伝わってきたとは思う。ただあれだけ楽曲が演奏され、当時の空気感を感じられただけでも満足度はかなり高いんじゃないでしょうか。

それにしても当時のリアムのカッコ良さとロックアイコンとしての存在感は尋常じゃないですし、とにかく声が良い。声もスタイルも確実に絶頂期だったことを感じさせる神のような佇まいにただただ見とれました。

同じくノエルの楽曲センスとスキルも今見ても変わらずに凄いの一言。

そのオアシス誕生の地が団地で生まれた労働者階級から生まれたということも含めて考えると、文字通りロックンロールスターだったと言わざるを得ない。

「観客が一緒に歌うことでライブが成立する」というメンバーの発言も踏まえると、やはり唯一無二のロックバンドとして君臨している理由なのかもしれない。

観終わった後の音楽最高だよ、マジで楽しそう、最高の体験だったと思えることこそ、音楽を楽しむ純粋な理由になるんじゃないでしょうか。

リアム曰く「人生は短い、だから楽しめ」それを体現する良い映画体験でした。

そういえばラストのロックンロールスターのくだりはイギリス的な洒落っ気が効いていたのも良かったなあ。こんなことを書いていたらライブに行きたくてたまらなくなってきました。早く気軽にライブに行ける環境が戻ってきてほしいものです。