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『セレステ∞ジェシー』: 無限の関係、終わりの始まり

「『セレステジェシー』: 無限の関係、終わりの始まり」

ポスター画像


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クインシー・ジョーンズの娘としても知られる女優でモデルのラシダ・ジョーンズが主演するラブストーリー。

ジョーンズが自身の体験をもとに脚本も手がけ、自分らしさに自信をもって生きてきたがために、本当に大切なものを見失ってしまった女性が、仕事や恋愛に揺れながらも自分を見つめ直していく姿を描く。

学生時代に恋に落ち、そのまま結婚したセレステジェシーは、誰もがうらやむ理想的なカップルだった。しかし、セレステの提案で「永遠に親友でいられるように」と30歳を機に離婚する。離婚後も隣同士の家で毎日顔をあわせ、親友関係を満喫していた2人だったが、ある出来事がきっかけで毎日会うことができなくなってしまう。そうなって初めて、セレステジェシーの存在の大きさに気がつくが……。

ジェシー役のアンディ・サムバーグほか、イライジャ・ウッドエマ・ロバーツらが共演。

やっぱり違うんだよな。そう思わされるのが本作、「セレステジェシー」。

誰もが一度は思うであろう「恋人と親友における距離感の違い」というもの。もっと大きい枠組みで言うところの恋人か友人かってことですかね。

前情報無しで観たので、冒頭からどういう展開なのか分からず、ただカップルないし、夫婦の関係性なんだろうな程度に観ていたんですが、それがちょっと思ってたのと違う。そして友人たちカップルとの食事で知る事実にはちょっと驚きましたね。

まぁ、それを聞いても「あぁ、こういう関係性のカップルや夫婦もいるよな」とは思うんですが、それが徐々にズレていってしまうんですよね。

好きかどうかって突き詰めて考えてしまうと、個人的には「どれくらい一緒にいたいか」だと思っていて、それは時間的にも空間的にも。単にそれだけで決めてしまっても良い気がするくらい、そこの部分って重要だろうなと。

気が合うとか、波長が合うとか、ビジュアルがとか、性格的に、趣味が、年齢が、といった色々な要素を加味した上でどれだけ一緒にいたいのかという視点。

その意味でいうと本作のセレステジェシーは絶対に一緒にいるべき相手だったと思うんですよね。

ただ、その関係性においてもう一つ重要なファクターがあると思っていて、それは「タイミング」。

これが合わないと全ては当然のように噛み合わなくなってしまうわけで、ホントちょっとのことなのに難しいなと思わされます。

この辺の見せ方や描き方が本作の肝だと思っていて、本質的には合っているのにちょっとずつズレてしまうもどかしさがあるような演出や構成も見事。

そのズレも含めての相性といえばそれもそうなんですが、こう一連で見せられると、自分自身に置き換えた時にもこういったズレで噛み合わなかった関係性があったんだろうなという、自分自身のたらればさえ浮かんでくる。

人生ってホント運にも左右されるし、相手合っての状況なんだなと思うと、この映画内におけるセレステジェシー以外の人間模様や出来事も面白く見えてくる。

学生時代に付き合っていたからこその、大人になってからの関係性も。いがみ合っていた相手との和解も。アクシデントと思っていた出来事も。ふとしたことがきっかけが予想外の関係が実ることも。

どれもがタイミングと人における巡り合わせ。

それをあくまでもポジティブに、でも少し立ち止まって悩んでもいいじゃないかと思わせてくれるところに魅力がある気がします。

終盤でセレステからジェシーに対して「愛があるなら戦う価値があるかもしれない」というセリフを聞いた時、それまでのジェシーとの関係性を踏まえた、これからの相手と自分に対する鼓舞だと思えてきて、そう思うと人生捨てたもんじゃないと感じてくる。

適度に挟まれるコメディ要素も非常に効果的で、単なる物語上の緩急以上に、二人の関係性における感情の一致みたいな真相心理をくすぐられるから面白い。

後悔してもしきれないこともあるし、選択が間違っていたと気付くこともあるでしょう。けれども、そこで絶望を感じたとしても常に始まりの道も開けているはず。

そんなどうしようもないやるせなさと希望に満ちた良い恋愛映画だったんじゃないでしょうか。

あっ、今タイトルを打っていて思ったんですが、このセレステジェシーの間にある”∞”、これって二人の関係性は無限であり永遠ということなんでしょうかね。

一度は実り、最善の形を模索し、ダメになり、また少しだけ良好になる。その後のことはわからないけど、あながち一度作り上げてきた関係性というのはそう簡単には崩れないものなのかもしれません。人間関係って始まりは一瞬かもしれないけど、繋がりは深みを持っていくものだと思いますからね。

では。