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ラスベガスをやっつけろ

カオス過ぎる、ドラッギーな世界観は唯一無二。

ラスベガスをやっつけろ


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アメリカのジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンが1971年に発表した同名小説を、「未来世紀ブラジル」の鬼才テリー・ギリアムが映像化した異色ロードムービー

71年、ジャーナリストのラウル・デュークと弁護士ドクター・ゴンゾーはバギーレースを取材するため、真っ赤なスポーツカーに大量のドラッグを詰めこんでラスベガスへと向かう。しかし、ドラッグまみれの2人は行く先々で騒動を巻き起こし……。

やっぱりテリー・ギリアムは狂ってる。そう思わずにいられないほど映像的ぶっ飛び度が半端無い。

学生の頃に観た記憶しかなかったのですが、あの時感じた衝撃以上に今観た衝撃が大き過ぎる。

1960年代の狂乱の時代から歯車が狂いだした70年代初頭。事象と言うのは波打つように繰り返されるもので、その寄り戻しが襲ってきたことから、あのようなクレイジーな世界が広がっていたのかもしれない。

あれが全てだとは思わないけど、実際にムーブメントの弊害としてああいった世界があったのも事実なんだなと改めて。

本作はジャーナリストである、ハンター・S・トンプソンの同名小説を映像化したものなのですが、映像化不可能と言われていたのも見れば納得の仕上がり。

なにせ物語はあって無いようなものだし、常にキマってるし、グロテスクで、エグい表現が満載。

それだけ書くと、そんな映像誰が観るんだ、というか観ていて面白いのか、となるんですが、カルト作品と言われる所以はあるわけで、ハマる人にはそりゃ中毒的にハマるわけです。

そんな私自身も、最高のドラッグ映画として惹かれてしまうのは事実なわけで、ここまで観るドラッグを表現できているのも素晴らしい。

映画を観る上で、『絶対に実人生で体験しえない事を体感してみたい』という欲望は常にあるわけですが、そんな望みをここまで体験できるという作品もある意味で珍しいんじゃないでしょうか。

その意味で価値ある作品ですし、意外に世界観に浸れちゃうんですよね。

皮肉の利いた演出や時代考証も然ることながら、映像的なアグレッシブさもかなりぶっ飛んでおり、とにかく最初から最後までぶっ飛びっぱなし。

映像的なセンスも申し分なく、抜けの良い荒野を走る映像は大好物ですし、魚眼なのか、クローズアップレンズなのか、変に歪んでアップで撮られる映像もある種のドぎつさがあり、非常に効果的で不気味さが際立つ。

物語が無いといったものの、ストーリー上の設定はある程度存在している。ただ、映画として描かれるのはカオスな道中と夢現な回想シーンの連続。要するに何が起きているかがわからないわけですよ。

その中でも画面が歪曲したり、床のパターンが歪んだり、ぼやけたり、明るくなったり。ドラッグを使用したことは無いですが、使用したらこんな感じになるのかというような演出の数々がとにかく凄い。

何かで読んだ時に、ドラッグ表現の最高峰作品で、常習者から聞いた体験に一番近いと書かれていたのも頷けます。

これも鬼才テリー・ギリアムだから成し遂げられたといっても過言でないくらい。

出ている演者もそうそうたる狂いっぷりで、ジョニー・デップベニチオ・デル・トロは特にヤバい。

マジもんで常習者なんじゃないかと思ってしまうほど狂っているし、自然過ぎる。

それもそのはずで、ジョニー・デップなどは実際にこの原作者、ハンタートンプソンに付いて行動していたとのこと。トンプソン自体がニュージャーナリズムの旗手的な人物で、客観的なジャーナリズムで無く、実際に現場に行くことで主観的に体感するジャーナリズムというのを体現した人物。

故にその精神は骨の髄までジョニー・デップやデル・トロに沁みついているわけです。

ジョニー・デップはトンプソンに寄せて髪を禿に剃り上げてますし、デル・トロも体重を20kgも増量。

役者魂と監督の異才、原作のぶっ飛び具合も相まって非常に稀な作品に仕上がっているかと思います。

ファッション的な側面からもかなりエッジが効いている。

個人的に変わったファッションは以前から好きなんですが、この作品に出てくるファッションはその世界観を見事に反映していると言いますか、年代を反映していると言いますか、とにかくサイケな感じが前面に出ている。

ジョニー・デップ演じるデュークはとにかく奇天烈なファッション。それが見ているうちにカッコ良く見えてくる感があって、カラーリングや組み合わせがかなりPOPで奇抜過ぎ、なのに何となく随所に拘りが見え、それがカッコよく映るんですよね。まあジョニー・デップだからというのもあるのかもしれませんが。

音楽的な側面からもサントラ的にかなり秀逸で、乾いたラスベガスの空気感と夜のネオンに包まれた妖艶なサウンド。この辺が見事にシャッフルされた選曲で、冒頭からラストまで映像と良く合います。

最近はBDなども再販され、配信などでも見やすくなっていますが、いつ観れなくなってもおかしくないほどクレイジーな作品なので、観れるうちに是非。

ちなみに、体調が良い時に観ることをオススメします。

では。