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mid90s ミッドナインティーズ

カルチャーを体感するということ

『mid90s ミッドナインティーズ』

ポスター画像


映画『mid90s ミッドナインティーズ』特報!9月4日(金)公開!

ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督・脚本を手がけ、自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマ。

シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。

そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが……。

ルイスと不思議の時計」のサニー・スリッチが主演を務め、母を「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄を「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

青春時代のカルチャーへの憧れの抱き方やその階段の登り方みたいなものを思い出させてくれた作品でした。

冒頭から衝撃的な効果音と映像に始まり、どこかワクワクさせられるよなカメラワーク。やましい気持ちもありつつ、それでも興味を止められないといった雰囲気を表現するようなショットの数々に自分の青春時代を重ね合わせてみたりして。

カルチャーへの入口って単純にカッコイイと思えるかどうか。きっかけなんて本当にそれだけな気がしています。

そしてそのタイミングで人、モノ、場所、そういったあらゆる関係性を構築できるかというところにあると思っていて、とにかく自分にとってベストなタイミングで文字通り『いる』ということが重要。

本作の主人公であるスティーヴィーはまさにそのタイミングでそこに『いる』。

その高揚感たるやかなりエモーショナルだし、カルチャーへの世界が開けていく感覚は最高でした。そしてそれに伴う演出やストーリーテリングも素晴らしく、何かが起きるということ以上にそこにある時間を丁寧に描くことである種の現実味を帯びたストーリが生まれてくる。些細な会話であったり、繊細な心の動きであったり、たわいも無い時間だったり。

セックス、ドラッグ、カルチャーといった類の映画だとまず浮かぶのが『KIDS』だと思うけど、個人的には本作の方がよりカタルシスを内包したカルチャー作品だと思った。

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特にファッション面に関してのステップアップ感が分かりやすくて、最初はストリートファイターのTシャツに始まり、スケート系のTシャツにシフトしていく。キャップなんかもかぶり出すし、こなれた感も増していく。

カルチャーというフィルターを通してこなれてくる感じなんかは本当にグッとくるし、それでこその感性だったりファッションだと思うので、その辺の感覚は見事にハマった。

個人的に一番痺れたシーンがレイとの語りからのスケートシーン。

憧れだった人との言葉と行動を通したセッションをすることで紡がれ、消化される気持ちの拠り所みたいなものが良く表現されていたように思う。みんなで滑っていた時とは違う、語りを含ませた下り坂でのロングショットは映像的にも含みとしても憧れる人の背中を見て、成長する姿に自分を重ね合わせたりもした。

レイ役を演じたナケルスミスは実際のプロスケーターとのことで、それ故にオーラがあってあんなに上手いのかと思わされたが、そういった所も含めてのリアルというものを良く表現できている作品だなと思った。

撮影監督のクリストファーが言及していた、『追うというよりもそこにある』というのは良い得て的を得ているなと思わされたし、ジョナヒルが語っていた『静の美しさを大事にした』というのも良く表れていたように思う。

とにかく誰もが一度は経験するであろう思春期の憧れ的感情。この瑞々しさや生々しさを追体験するにはベストな選択肢かもしれない。