「奇想天外、爆笑、からの予想外の収束感『外天楼』」
外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。
エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……?
謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜場冴子は自分勝手な捜査を開始する。“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!?
奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!
あっという間でした。
読みだして最初は、短編のギャグ漫画なのかと思いつつ、単に笑える小話程度に読んでいたんですが、読み進めて行くうちにその様相が徐々に変わってくるんですよね。
一巻でこの構成っていうのは中々良くできているなと思うんですが、読み始めと読み終わってからの感想が全然違うんですよ。
個人的に第四話がツボだったんですが、ギャグ以外の何物でも無いし、それは無いでしょと思わせるような内容しかない。なんですけど、テンポが良過ぎるのと、出てくるキャラクターのやり取りがスムーズ過ぎて逆にすんなり受け入れらちゃう。
まあこのタイトルにもなっている外天楼という場所自体が何でもありのちょっとした治外法権的エリアの話というのもあると思うんですが。
だからということもあるかもしれませんが、とにかく笑える出来事ばかり。
この話くらいから、あれっ、と思わされるような伏線が増えてきて、意外や意外、全てが繋がって収束していくもんだから、軽い気持ちで読んでると、いつの間にか深い所へと連れて行かれる。
とはいえ、一巻で完結しているので、読み返しやすいですし、何となく謎解きだったり、体験型アトラクション的だったりといった感覚もあるので非常に読み易い。
笑いのツボって人それぞれだよなと思う中で、爆笑では無いものの、ここまでシュールにスッと入ってくるところはツボが合っている証拠なのかもしれません。
キャラクターたちの個性豊かなところであったり、飄々としたセリフのやり取り、文字数も少なくないものの、読むのが全く苦にならず、すんなりと読み進められるところも含めて非常に面白い作品でした。
今まで読んできた漫画の中でもテンポの緩急はかなり独特な部類かと。ハマる人にはハマる漫画なんじゃないでしょうか。
では。