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フリー・ガイ

この夏一番の大穴だったかもしれない。

『フリー・ガイ』

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ナイト ミュージアム」のショーン・レビ監督が「デッドプール」のライアン・レイノルズとタッグを組み、何でもありのゲームの世界を舞台に、平凡なモブキャラが世界の危機を救うべく戦う姿を描いたアドベンチャーアクション。

ルール無用のオンライン参加型アクションゲーム「フリー・シティ」。銀行の窓口係として強盗に襲われる毎日を繰り返していたガイは、謎の女性モロトフ・ガールとの出会いをきっかけに、退屈な日常に疑問を抱きはじめる。

ついに強盗に反撃した彼は、この世界はビデオゲームの中で、自分はそのモブキャラだと気づく。新しい自分に生まれ変わることを決意したガイは、ゲーム内のプログラムや設定を無視して勝手に平和を守り始める。

共演にテレビドラマ「キリング・イヴ」のジョディ・カマー、「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ

予告を観ても、宣伝を耳にしても、特段気に止めることのなかった本作。

なのに意外にも評判が高く、夏の開放感がそうさせるのか、不意にフリーガイになりたくなり観てきましたが、これまた予想以上に良作でした。

所詮モブキャラの話でしょ、とかゲーム要素のある娯楽作品でしょと思うなかれ、意外にもしっかりとしたカタルシスもありますし、何より今を生きる自分自身が鼓舞される。観たら何も考えずに生きることなんて出来なくなってしまうんじゃないかと思うほどに刺さってくる。

誰もが自分の人生において、意識的だろうが無意識的だろうが、主役になりたい願望は秘めているんだと思う。それなのに社会や環境のせいにし、枠組みを決め、半ば諦めた形で日々を過ごしてしまう。

作品内でも出てくるけど『自分の人生を生きる』ということに関して自覚的になるというのは本当に重要な観点なんだと思う。

そういう意味で本作の主人公ガイは決して諦めない。無理してるわけでもなく純粋に思っているからこその行動は見習うべき所があるなと思う。

物語的にも大筋の展開は見えているものの、いちいちわからなくなってくる。その仕掛けの多さがが飽きさせないし、多重構造になっているところも面白いギミックかと。

後半での友人警備員との会話にある、「何がリアルかはわからないけど、俺が今友人を助けたいという気持ちはリアルなんじゃないか」というセリフは実社会での色々に気付かされ、ハッとした。何がリアルかでは無く、今思っていることそのものがリアル。カッコ良過ぎでしょ。

メガネの使い方も気が利いていて、自由の媒介としての存在は中々面白かったし、終盤でのその使い方を見せられた時、全ての伏線が回収されて、嬉しいやらなんやらで只々アガった。

実際、何をするかは自分で決めれるし、何をするのも自分で決めている。制約や、義務感でやっていることでもそれをやると決めているのは自分なわけで、そういう中にあって、何を選んでいくのか、その真の部分に気付かせてくれたという意味でも本作の良さがあったんじゃないでしょうか。

アーセナルvsチェルシー

道半ば。

アーセナルvsチェルシー

What's gone wrong at Arsenal and could it get worse? | コール

久々の観客入りホーム戦だったんですが、残念でした。

正直相手が強過ぎた。なんであんなに修正、修正と見事にハメてくることが出来るのかわからず、それにプラスしてのルカク無双。今のチーム状況では到底太刀打ち出来ずという状況でした。

序盤から相手チームのジョルジーニョとコヴァチッチに翻弄され、そこからの配球にいなされていた印象。

スミスロウがケアしつつもどちらかにボールが入った瞬間に、他の選手が連動しスペースを作り、受け手を作る。その動きと連動がとにかく秀逸でした。現段階であの完成度なのは今後がさらに恐ろしい。

さらに最前線にはルカクというドリブル良し、フィニッシュ良し、フィジカル良しな選手が入ったことにより、内外両側からの脅威にさらされることに。

個人的にはアロンソがやはり良いなといった印象。気が利いたプレーが出来ているし、攻守の切り替えや判断が良い。あの手の選手ってなんか好きなんですよね。

そんなこんなで追い込まれていたわけで、中でもCBコンビのホールディングとマリが要因なところもあったかと思いますが、相手が上手過ぎたのが正直なところ。

それでも、出来たこともあっただろうと思った中で、今回一番気になったのがプレス強度の部分。

個の選手における力量差は別にして、プレスが甘く感じた。後半こそアルテタの指示なのか、スタジアムの歓声なのか、強度はそこそこ上がったものの、それでもいまいち。

ホームゲームかつ相手の方が強いわけで、プレスに脅威が無ければ取れるものも取れません。

色々と見えていない要因もあると思うので一概には言えないんですが、せめてそこだけは気概を見せてほしかった。

まあ前節よりは意図は汲み取れましたし、各ポジションでの主要メンバーを欠く状況でもあったので、そこはポジティブに捉えようと思いますが、このままでは本当に危険な状況もあり得るだけに気が気でない。

良かった点としてはスミスロウの顔出しの多さと引き出し方。シーンによっては色々と出来そうな片鱗を見せていたところも期待は持てそう。

あとはロコンガ、2試合目にしてやはりフィットネスは良さそうだし、かなり見えている気がした。守備面で引きずられるような場面もあったものの、まだプレミア2試合目。序盤からここまでやれそうだと感じられたのは収穫じゃないでしょうか。

次節はウーデゴールも出れそうですし、他の選手も数名は戻れるかもしれないとのことで、その辺を期待しつつ、是非勝利を。

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

予想外の連続とただ楽しいという感覚。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』

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バットマン」や「スーパーマン」を生んだDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う姿を描いたアクションエンタテインメント。

デビッド・エアー監督により映画化された「スーサイド・スクワッド」を、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで大きな成功を収めたジャームズ・ガン監督が新たに描く。

ジョーカーと別れて彼氏募集中の身になり、ますますクレイジーになったハーレイ・クインを筆頭に、最強スナイパーのブラッドスポート、敵をチーズに変えてしまう能力を持つポルカドットマン、平和のためには暴力もいとわないという矛盾な生き様のピース・メイカー、ネズミを操って戦うラットキャッチャー2、そして食欲意外に興味のないキング・シャークという、いずれも強烈な個性をもった悪党たちが、減刑と引き換えに、危険な独裁国家から世界を救うという決死のミッションに挑む。

出演は、前作に続いてハーレイ・クイン役を演じるマーゴット・ロビーほか、イドリス・エルバジョン・シナジョエル・キナマンら。キング・シャーク役はシルベスター・スタローンが担当した。

面白かった。

正直前作の影響もあってか観る気はあまり無かった(ちなみに前作で良かったのはハーレークインくらい)んですが、ジェームズガンが監督したこと、評判がかなり良かったこともあり、観てきました。

結果、メチャクチャ楽しかった。

序盤からテンポの良さ、曲の入れ方などで気分が高まる中、あのどんでん返し。その後の展開もそうなんですが、ジェームズガンは本当に映画が好きなんだなと伝わってきた。

まさかの展開に次ぐまさかの展開でとアクション、ギャグ、そういったことを雪だるま式に増幅させ、ライド感満載の楽しさ全開。

映画の一要素として、『単純に観ていて楽しい』というのもあると思っていて、本作はまさにそれ。さらにプラスして細部にも映画愛を感じる作りだから、映画好きが楽しめるのは当然なのかもしれない。

マーベルやDC系の映画はそこまで観ないものの、前作のガーディアンズオブギャラクシーはDCの中ではかなり好きな方だし、それも単純に楽しかったから。

こういう映画を夏に観れるのはマジで楽しかった。

同時に脚本の素晴らしさも感じていて、あれだけ展開が変わっていき、文字通り色んなところに着地させられるのはしっかりとした脚本があってこそだと思う。冒頭の展開も、各キャラの設定も、作戦自体の内容も。それが前作に欠けていた所だと思うし、映画の本質はやはりそこにあるんだと思わされる。

あとは純粋にセンスがある。選曲だったり、色使い、カットの割り方だったりギャグセンス。特撮であったりポップカルチャーが好きなのが色濃く反映された作品作りが随所に垣間見え、愛があるからこそ、伝わる人にはグサッと刺さる。画面上のモノを利用したグラフィカルな演出も作品にハマっていて、その辺もセンスあるなと感じさせられたり。

タランティーノもそうですが、愛を中心に全てを繋げる監督が、これだ、とハマる作品を作ると良作が出来るんだなと改めて再確認しつつ他のジェームズガン監督作品を観返してみようかなと思います。

胸騒ぎのシチリア

空気感のパッケージが本当にピカイチ。

『胸騒ぎのシチリア

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ミラノ、愛に生きる」のルカ・グァダニーノ監督が同作に続き、ティルダ・スウィントンとタッグを組んだ人間ドラマ。

1968年製作のアラン・ドロン主演、ジャック・ドレー監督によるフランス映画「太陽が知っている」をリメイクした。

世界的ロックスターのマリアンは、痛めた声帯を癒すため、年下の恋人のポールとシチリアのパンテッレリーア島で静かな時間を過ごしていた。しかし、マリアンの元彼でカリスマ音楽プロデューサーのハリーが、セクシーな娘ペンを連れて、マリアンのもとへ押しかけてくる。ハリーは、マリアンとの復縁を目論み、一方のペンはポールへの好奇心を募らせる。さらに、バカンスが台無しになったマリアンの身に思いもよらない事件が待ち受けていた。

主人公マリアン役をスウィントンが演じ、レイフ・ファインズ、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のダコタ・ジョンソン、「君と歩く世界」のマティアス・スーナールツが共演。

夏までとっておいた甲斐がありました。

この作品は絶対に夏の日中に観たいなと思っており、ついに先日タイミングが合い、視聴しました。

舞台はシチリア、グァダニーノ監督が空気感を切り取ると、こうも上手く切り取れるのかと改めて驚かされることに。

まるでその場にいるような高揚感と温度感。町の喧騒感や風までも感じるような画作り。色のトーンなんかも自然で、メリハリのある濃淡も見事。小物使いや美術含め、とにかくその画作りに感服しました。まぁ個人的に好きな画作りなのかもしれませんが。

とはいえ、コロナ禍で旅行などに行けない状況において、この映画を観ればその感も少しは和らぐことでしょう。というか自分はかなり和らぎました。

テーマ自体も非常に興味深く、『欲望』というものに対してフォーカスされている。

バカンスと男女、それに最高のロケーションが揃えば、それは何か起こるよね、と言わんばかりのシチュエーション。

海は綺麗だし、陽の光もそう、町並みもこれぞ地中海という雰囲気で、食べ物やお酒も美味しそう。もうこれは疑似旅行ムービーと言っても過言ではないかと。

ただ本作の魅力はそういったところ以外にも確実にあって、起きていること自体そのものよりも、表面化されない内なる衝動であったり、ロードムービー的に過ぎていく時間の経過そのものにある気がする。

非日常を日常的に切り取ることで浮き彫りにされる欲求そのものが面白いし、儚く、よりリアルに感じられる。どうしても日常だと当たり前に消化されたりがちだったり、日常に忙殺され通り過ぎていく事象。それが非日常になったとたんに目の前にそれ単体で現れてくる。その感覚が観ていて歯痒いし、憧れたりもする。

そんな旅行にまつわるあれこれが起きるのを時にスリリングに、時にハイテンションに、時にナチュラルに見せることで、本当に優雅な時間を過ごしている錯覚を受ける印象がある。

なんとなく観ていて心地良いなと思うだけでも十分だし、細部に気を留めて観ればそれはそれで発見がある。

作品内で一貫して精通している『欲望』というものが存在しているから成せることだと思うし、それは誰にでも内包している感覚だからだとも思う。欲望そのものの個々人の評価軸が異なり、果ては人生というものをどう捉えるかによっても変わってくるのが、この『欲望』というもの。

何を選び、何を我慢し、何に従うのか、ほんのちょっとの違いやシーンの違いでも捉え方や状況が変わってくるところが厄介だし、それも含めて選んでいるから結果が変わってくるとも言えるのかもしれない。

映画も何をいつ観るのかで見え方が大きく変わるように、本作も人間の抱える人間の内面の葛藤みたいなものを知るきっかけとして観るのは面白いと思う。

単に映像的に美しいのもかなりアドバンテージとしてあると思うので、この夏に昼間っから酒でも飲みつつ、涼しい部屋で観たら最高じゃないでしょうか。

漫画なのに映画的~ルックバック編~

 こんなにも読切で引き込まれるなんて思わなかった。

『漫画なのに映画的~ルックバック編~』

ルックバック

学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられるが…!?

チェンソーマンもそうでしたが、藤本先生の作品は本当に映画的だし、引用やオマージュの仕方が素晴らしいと思う。

個人的に特に好きなのが、カット割りと細部の丁寧さ。

本作もやはりコマ割りは映画的で、カメラワークにも似た自然さで感情を刺激してくる。漫画にはそこまで空気感とかは無いと思っていたけど、思い返せば好きな漫画や小説にもそういった空気感というのは必須な気がする。

ただこの藤本先生の作品は喜怒哀楽の表現や動きの表現、はたまた静的な表現まででさえもコマで語ってしまうところが恐ろしい。

背中だけで語りかけてくるようなコマ表現も本当に見事だし、なんなら吹き出しで語る以上に語られている気がしてくるくらい。人は背中で語るを体現し、表現しうるのは並みの表現では難しいと思うことを、いとも簡単にやってしまっている。

それが見ていて心地良いし、テンポ良く読めてしまうのかもしれない。本作も143ページと決して短くないものの、すぐに読めてしまうし、読む手を止められない。

映画を途中で止め無いように、この漫画もそういった意図があるのかもしれないという所も含めて映画との関係性が深く伺える。

細部の丁寧さに関してもそう。

冒頭と末尾での含みであったり、出てくる本やDVDもそう、とにかく色々な含みや表現込が作品内に散りばめられており、何度見ても新しい発見や気付きがある。

そういうところと物語の骨格って相反する部分だと思っていて、内容が骨太だったり、精緻だったりするとどうしても重くなりがちで、手に取るのにためらいが生じたりもするもの。なのに藤本先生の作品はどれもそういったことを感じさせず、むしろ気軽に読めてしまう。

難しいものを難しく語るのは簡単だし、それはある種やりやすいのかもしれない。ただ本作のようにそういったディティールに目配せしつつ、ストーリーにも余白と含みを持たせる。その辺のバランス感覚と描き方がとにかく心地良く、何度も読み返させてしまうところなんだろうなと思う。

自分自身、何度も漫画を読み返すタイプでは無いにもかかわらず、未だに何度も読んでしまっていることを考えても本作がいかに魅力的であるかわかる気がした。

9月には単行本でも発売されるらしいので紙で読む、スマホで受ける感覚との違いも確認しつつ、まだまだ楽しめそうです。

とりあえず映画好きで漫画も好きなら絶対に読んだ方が良い作品なのは間違いないかと。これが無料で読めるなんて奇跡的です。

では。  

アーセナルvsブレントフォード

お帰りと素直に言いたかった。

アーセナルvsブレントフォード

Nightmare start for Arsenal as Brentford expose familiar failings for Mikel  Arteta | Evening Standard

ようやく帰ってきました。

移籍動向やユーロの情報など、シーズンオフは色々と気になるところでした。

プレシーズンマッチもハイライトなどで観ていましたが正直、不安は拭えなかった。

ただ同時に期待感もあったわけですが、どうやら不安な面が出てしまったようです。

仕方がないことなんでしょうが、やはり若いチームには経験が不足している。その感を露呈したのは否めません。

攻撃時にはフィニッシュの部分といいますか、ボックス内での展開があまりに不足しているし、守備時にはある程度までは良いもののある一定ラインを超えると押し込まれ、抑え込めない。

どちらも経験や統率を通して得られる、見地みたいなものが不足しており、故に起こることな気がしてなりませんでした。

そんな中、可もなく不可も無くではありますが、ジャカは数シーンを除き良かった。良かったというかその落ち着きと視野、気を使えるようなプレーが随所に見え、その経験の差を感じさせてくれました。実際何度かのチャンスはジャガからのパスによるもので、ティアニーとの関係性も悪くなかった。前線や後方にこういったプレーヤーがいるとまた違った戦いが出来るのかなとも思ったりしつつ、不安なところもあったり。

それでも収穫もかなりあって、まずロコンガ、予想以上の落ち着きと顔の出し方やポジショニングも中々。ジャカとの関係性も含め、プレミアへの適応は早いんじゃないでしょうか。まだプレシーズンと本節だけなので言及は出来ませんが、伸び代や期待感の片鱗は見せていた気がします。

昨シーズンに引き続き、相変わらず良かったのはサカ、スミスロウ、ティアニー。もうこの三人はレギュラー定着で良いんじゃないでしょうか。プレーの質も申し分ないですし、展開によっては期待しかない。ただそこにもう少しスパイスといいますか、全員を纏め上げられるような調整役がいればなお良し。

ただブレントフォード自体も昇格組ですし、若手が中心のチームということを考えるとそんなことも言ってられないところ。

次節からはチェルシー、シティと続く中で本節の修正をどれだけできるのか。あと一歩の部分も多いと思うのでそれをどうハメ込み機能させることができるか。まずは期待して待ちたいと思います。

これが序盤に抜け出せないようだといい加減待てなくなるような気もしてしまいますが。

何はともあれ次節もすぐなので楽しみが戻ってきたのも事実です。

それにしても守備面での高さは不安視してましたが、セットプレー含め空中戦をどうにかしないとプレシーズンや今節の様なことになってしまう気がしているのは私だけでしょうか。

では。

悪人伝

マ・ドンソクによる最高の暴力ショー。

『悪人伝』

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「新感染 ファイナル・エクスプレス」で一躍トップスターとなり、マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)作品「エターナルズ」でハリウッド進出を果たすマ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。

凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスが、ある夜何者かによってめった刺しにされた。奇跡的に一命をとりとめたドンスは、対立する組織の犯行を疑い、犯人捜しに動き出す。

一方、警察サイドで捜査にあたるチョン刑事は暴力的な手段も辞さない荒くれ者として、署内でも問題刑事として知られていた。まだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼がこの事件の犯人であると確信したチョン刑事は、その手がかりを求めてドンスにつきまとう。

ドンスとチョン刑事は互いに敵意をむき出しにするが、狡猾な殺人鬼を突き止めるには互いの情報が必要であると悟り、共闘して犯人を追い詰めてゆく。

2019年・第32回東京国際映画祭の「シン・ファンタ/復活!?東京国際ファンタスティック映画祭ナイト」(19年11月2日)で上映。

やはりこの男が出てると面白いですね。

悪役なのにどことなく愛嬌があってチャーミング。とはいえ、本作かなりバイオレンスに寄せた演出が多く、カッコいいとすら思わされてしまいます。

普通こんな風貌だったらそうは思わないだろうというような感情を抱かされてしまうからドンソクは不思議なものです。

冒頭から空撮の様なカットと街のネオンの雰囲気が絶妙なバランスを保っており、わくわく感を創出させるようなカメラワーク。ノワールと現代的な部分が見事にマッチしたカラーリングじゃないでしょうか。

そこからかなりテンポ良い感じで物語は進んでいき、あっという間に終わっていました。

暴力と捜索とスリリングさ。物語のエンジンに成り得る要素が多分にあって、とにかく観ていて飽きない。

本作を観ていて特に驚いたのがマ・ドンソク演じるドンスの振舞いのナチュラルさ。

点で切り取ればかなり狂気的だし、超人的過ぎる。なのに他のこういった作品と違って、なんというか振舞いの緩急が自然かつエグイ気がした。普通だったら怒鳴りそうな場面や、啖呵を切りそうな場面でもほとんどそれをしない。逆にやる時は突然だったり、徹底的にやる。その緩急がドンソクの人柄と相まって妙な親密さを覚えさせるからまたまた不思議である。

こんなボスだったらついていきたいと思ってしまうんだろうなと思わせる懐の深さも随所に出ていて、一様のバディを組んでいたチョン刑事でもそのように感じているんだろうなと感じさせるシーンがいくつかあった。特にあの酒のシーンは痺れましたね。

アクションシーンや会話シーンといった人の絡みがあるシーンはただただ面白く、やはりその塩梅も見事の一言。

個人的に一番笑えたのが終盤のとあるシーン。

ある人物とカットを割りながら徐々に顔にショットが移っていき、ドンスが笑顔でこちらを観ているというシーン。

あれは色んな意味で震えましたね。そこまでの過程があったからこそですが、その過程を経てのあの顔はとにかく笑えるし、震える。

この意味を確認するためだけに観ても良い作品だと言えるほどによくまとまっていました。

断片的に聞くと重い、怖い、グロイみたいなヘビー級映画に聞こえそうですが、意外にも全体の仕上がりはカラッとしていて、夏に観るには最高のエンターテイメントじゃないでしょうか。

悪人伝(字幕版)

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