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WAVES

色彩と音楽の美しさと裏腹なストーリーの重さ。

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ポスター画像

イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。

フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。

しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。

1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。

主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

やはりA24、映像の美しさが相変わらずでしたが、音楽もメチャクチャ良かった。

フランクオーシャンのアルバム、Blondeは自分の中でベスト級ですし、それ以外に使われているケンドリックラマー、テームインパラ、レディオヘッドカニエウエスト、どれをとっても最上級。

プレイリストムービーと銘打っているだけあって、監督は脚本段階で音楽をはめ込み、実際アーティストに楽曲使用をお願いしたとのこと。

作中で、個人的に一番グッときたのがH.E.R.のFocus。


H.E.R. - Focus (Official Video)

使われていた場面も印象的で、映画内で描かれている陰と陽の転換が、あの一場面にも展開され、すごく印象的だった。

正直なところ本作を観始めた最初の印象がとにかく最高過ぎてある意味不快。冒頭のハッピーな展開も、カメラワークや音楽の酩酊感から、どことなくクラクラするし、作り上げられた幸せ感が逆に目に付く。そこからの展開もどんどん重くなってきて、予告にあったようなあんな軽い雰囲気で観られない、というのが率直なところでした。

それでも後半に入り、前半と表裏一体な感じで話が進む中で、気付かされていく『愛と憎しみ』。

この愛と憎しみについて前半パートで教会で語られるのもかなり効いてくるし、本当にその通りだと思わされる場面も多かった。

全編を通して、色彩と音楽、画角によっても表現する演出は良く機能しているし、圧倒的に美しい。ただ冒頭でも書いたように、そんな軽いお話じゃないということもあって、体力があるときに観た方がいいと思う。ホント気力がすり減らされます。

作中でずっと描かれる『愛と憎しみ』『生きる』ということについて、考えさせられることが多分にあって、終盤でのルークと父親の場面での死についての話、さらっと出てきただけなのですが、「死への心構えが出来ていないから生きようと闘っている」この感じって凄い色々なことに当てはまるなと思って、人を好きになるのも、家族を思いやるのも、どう生きるかも、何をするかも、きっかけは突発的かもしれないけれど、その過程では絶対に『心構え』が求められてくる。それがものすごい重要で、意義がある考えなんだろうなと、シーンも併せて思わされグッと来た。

最後に映画音楽あるあるだけど、映画館で観ると観ないでは天と地ほど差が出ると思うので、是非劇場で観ることをオススメします。