適当に生きるというカッコよさ。
「ファーゴ」でアカデミー脚本賞を受賞したジョエル&イーサン・コーエン兄弟が監督・脚本を手がけ、同姓同名の富豪と間違えられて誘拐事件に巻き込まれた男の騒動を描いたコメディ。
1991年、ロサンゼルス。その日暮らしの気ままな生活を送る無職の中年男デュードは、同姓同名の富豪リボウスキと間違われ、2人組のチンピラから借金を返せと脅される。
腹を立てたデュードは、賠償を請求するべくリボウスキの豪邸に押しかけるが追い返されてしまう。
数日後、リボウスキに呼び出され再び彼のもとを訪れたデュードは、誘拐されたリボウスキの妻バニーの身代金の引き渡し役を依頼されるが……。
キャストには主演のジェフ・ブリッジスをはじめ、ジョン・グッドマン、スティーブ・ブシェーミら個性派が集結。
ネットフリックスにふと上がっており、かなり久々に観返したんですがホント気楽に観られる名作です。
コーエン兄弟の脚本や監督作品って絶対に何か変なところがあるところがツボなんですが、本作は終始変で、観終わっても一回で理解するのはほぼ不可能。というかそういうことが望まれている映画じゃないんだと思います。
世に言うカルト映画に分類させる作品だと思うんですが、学生の時に観た時に理解できなかった感覚的な知覚をかなり刺激されました。
とりあえず、ファッションがカッコいい。これも俗に言うカッコよさではないと思うんですが、こういうカッコ良さの方が個人的にはカッコいいと思う。
ブランドのsacaiとコラボしたのも記憶に新しいですが、ゆるいのにカッコいい。ラフなのにセンスある。生き方含めてカッコいい。こういったファッションとアイデンティティが一緒になったカッコ良さって唯一無二だし、それ故に惹かれるんだろうなと思ったりします。
冒頭のスーパーでのシーンはシーン的にも笑えるし、格好は個人的本作ベスト。やってることも誠実じゃないし、着ている服も小奇麗じゃないのになぜか惹かれる。
本作はコメディだけに、笑えるシーンが多いですが、そんな中でふと気づかされることもあるわけで、全てひっくるめて最高ってことです。
昨今はスピーディーな世の中になり、やりがいとか、正しさとか、情報とか、SNSとか、目的意識とか、社会貢献とか、そういった類の一般的な正しさみたいなものに縛られてる衒いがあると思うんですが、本作を観るとそんなことじゃないんじゃないかと改めて思わされます。
作中に出てくる主人公たちはボーリングが好きで、暇さえあればボーリング所にたむろする。どんなに嫌なことがあっても、死にそうな目にあってもボーリングする。
なぜって、楽しくて好きだから。
そういう色々なしがらみ抜きで、ルーズに楽に生きる。それ以上でも以下でも無い。そんな感じで生きてもいいんじゃないでしょうか。
何かくだらないことを考えるより、好きなことに時間を。ファッション含め今の気分にメチャクチャ刺さりました。