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アメリカン・スリープオーバー

ホントにいい夢を見た気分だ。

アメリカン・スリープオーバー』

ポスター画像


アメリカン・スリープオーバー(予告編)

長編第2作「イット・フォローズ」で注目されたデビッド・ロバート・ミッチェル監督が、2010年に発表した長編監督デビュー作。

アメリカ、デトロイトの郊外を舞台に、夏休み最後の一週間の「Sleep Over(お泊まり会)」を通して、一目ぼれした女性を探す少年や、双子の姉妹の間で揺れる大学生、「楽しいなにか」を求める少女など、それぞれの青春を追いかける思春期の少年少女たちが、精神的に成熟していく過程をみずみずしく描いた。

カンヌ国際映画祭の批評家週間などで上映された。

ずっと観たかったけど観れていなかった作品。

イットフォローズ、アンダーザシルバーレイクと食らってきた中で、この監督のどことなく不安定でふわっとした人間模様、それでいて探検や冒険にも似た感覚を味わせてくれる謎解き感が何となく好みだった。

そんな気分を確信に変えてくれることになったのが本作。といってもこれが長編初期作なわけなんで、監督的にはこれが始まりに当たるわけですが。

それでも、映画は気付いた時、観たい時が自分自身のベストなタイミングだと思っているので、今が自分のタイミングなんだと。

そんな持論もそこそこに、とにかくメチャクチャ楽しめました。

まず何がいいって描いているのがスリープオーバー。翻訳するとお泊まり会。その一夜だけなんです。それをここまでエモーショナルに仕上げるなんて、恐れ入ります。

いつまでしていたのか、いつからしなくなったのか、そんな青春の甘酸っぱさや大人への憧れが詰まりまくったテーマになっていました。

今だからわかることもあるわけだし、今だから忘れたことに気付くこともあるわけで、そのバランス感やテンポ感が抜群でした。

音楽の使い方は相変わらずで、選曲、タイミング、どれもが最高。相変わらず謎解きや対比構造も健在で、今回は赤と青、火と水といった感じ。

特に水の使い方はしずる感があり、その構造以上に良く、抜群にセンスを感じました。

この監督の映画で海とかプールとかが出てくると良い意味で生々しいというか、とにかく空気感まで感じられるんですよね。

それとカメラワークやショット。これらも独特な湿度を纏っているというか、ホント良い温度感なんです。そう、カメラワークやショットに心地良い温度感を感じるっていうのが面白いんですよ。

どことなく不可解なストーリーも相まってクセになります。

中盤で話す水際のシーン。「子供の頃は早く大人になりたいとか今してることをくだらない子供っぽいことだと思うかもしれないけど、それがそうじゃ無い、かけがえのないものなんだと気付く時がくる」みたいなことを話すシーンがあるんですが、アレにはグッと来ました。会話のタイミング、水辺の効果、ショット、2人の距離感、それら全て込みでのあのシーンだったように思います。

ラストへのもっていき方や終わり方なんかも余韻が心地よく、画のトーンも淡い感じがとてもマッチしており、お泊まり会後の心地良さそのものを表現しているようにすら感じてしまいました。

忘れていた感覚を取り戻すということ。取り戻すことは出来ないかもしれないけれど、それらに触れることで気付くことはあるし、それが人生の深みに繋がる糧になるんじゃないかと思わされた良作でした。

今後もこの監督は要チェックしていきたいところです。

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