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ザ・ピーナッツバター・ファルコン

本物の同志に出会える幸せ。

ザ・ピーナッツバター・ファルコン』

ポスター画像


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ツキに見放された漁師と施設から脱走したダウン症の青年、施設の看護師の3人による青年の夢をかなえるための冒険の旅を描いたヒューマンドラマ。

養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。

兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。

そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう。

タイラー役をシャイア・ラブーフ、エレノア役をダコタ・ジョンソン、ザック役を作品製作のきっかけとなったザック・ゴッツァーゲンが演じ、ジョン・ホークストーマス・ヘイデン・チャーチらが脇を固める。

監督は本作が長編初監督作となるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。

ポスタービジュアルしかり、予告しかり、観た瞬間に無性に惹かれる作品ってあると思うんですよね。

まさに本作は自分にとってのそういった作品で、観始めた瞬間に好きだと確信。

公開当時劇場に観に行きたかったもののタイミングが合わず、その時から気になっていたのも何かの運命なのかもしれません。

横長のスコープサイズで若干グリーンとグレーがかった色味。どこか懐かしさを感じさせるトーンに、カントリー調のサントラが良く合います。

子供時代のひと夏の冒険や甘酸っぱい青春っていうのはよくあるとおもうんですが、20歳を超えたダウン症の主人公と中年の男のそれっていうのは珍しい。

というか社会的弱者がそういった常道をひっくり返すような作品って好きで、ある種の卑屈さというか不条理というか、そういった自分が抱える負の感情を捉え方次第でどうとでもなると見せてくれるところにわくわくする。

強い人や権力がる人、才能がある人ばかりにフォーカスが当たる社会において、そうじゃない、立ち上がる気になれば、それを共有できる相手がいれば、見える世界は変わるんだという感じにこそグッとくる。

『仲間の大切さ』と『世界の見方』これらがたっぷり詰まった本作は本当の意味で大切なことに気付かせてくれる作品だと思う。

序盤での施設でのやり取りも笑えてほっこりするし、同室の老人とのやり取りもやさしさに溢れてる。そこでの会話に出てくる「友達は自分で選べる家族だ」というセリフは本当に好きで、決められてしまっていると思われている枠組みも実は自分次第なんじゃないかと思うし、そうじゃないにしても、選べる自由もあるんだと考えると希望しかない。

画角も要所要所で効いていて、度々出てくる引きのショットが何とも言えない空間の広さを感じさせてくれますし、それが世界の広さに感じる心地良さ。

ロケーションもそうで、海だったり、川だったり、荒野だったりと広さを感じさせる場面で横長の画角が生きてくる。

クラシカルな印象もそれらに一助していて、良きノスタルジー感に浸れる気がする。

あと単純にエレノア演じるダコタジョンソンが可愛すぎる。本作での役柄は彼女の良さを一番発揮している気がします。強さと可愛らしさのバランスも見事ですし、後半での愛敬ある仕草は抜群の可愛さでした。

とにかく全編を通して、間延びせず、冒険にワクワクしながら成長を感じられるロードムービーで、なによりタイトルからして最高じゃないですか。

人生という旅を悲観したくないものです。

では。