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ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド

音楽好きは皆仲間。

『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』

ポスター画像


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1980年代後半のアメリカを舞台に、イギリスのロックバンド「ザ・スミス」の名曲の数々と貴重なインタビュー映像を全編に散りばめながら描いた青春音楽映画。

「WE ARE X」などの音楽ドキュメンタリーで知られるスティーブン・キジャクが監督・脚本を手がけ、長年語り継がれてきた「ザ・スミスファンのラジオ局ジャック事件」に着想を得て描いた。

1987年、コロラド州デンバー。スーパーで働くクレオは、大好きな「ザ・スミス」解散のニュースにショックを受け、レコードショップの店員ディーンに「この町の連中に一大事だと分からせたい」と訴える。

ディーンはクレオをデートに誘うが、彼女は仲間たちとパーティへ出かけてしまう。1人になったディーンは地元のヘビメタ専門ラジオ局を訪れ、DJに銃を突きつけて「ザ・スミス」の曲を流すよう脅す。

一方、クレオと3人の仲間たちはパーティでバカ騒ぎをしながらも、それぞれ悩みを抱えていた。ディーン役に「6才のボクが、大人になるまで。」のエラー・コルトレーン

スミスを最初に聴いたのは大学生の時だっただろうか。

当時パンクであるとかUKロックであるとかを聴いていた中で掘れば必ずぶち当たるであろうアーティストの一つ『ザ・スミス』。

自分自身も多分に漏れずで、まずそのジャケットのカッコ良さとカラーリングに目を引かれたのがファーストインプレッション。楽曲に関してはなよっとしたボーカルに心地良くまとわりつくようなメロディ。キラキラしたサウンドとキャッチーさが相まって、青春を感じたのを覚えている。

そんなスミス解散を受けての作品が本作となるわけだが、正直脚本的なとか、映画的なとかそういったことは少々愚問なのかもしれない。

当然そういったこと込みで悪くはない作品だとは思うけど、純粋な映画としてどうかといわれると5/10くらい。

ただ、このコロナ禍にやはり音楽は最良の救いになってくれると共に、当時の空気感や音楽の存在を知ることで、やっぱり音楽っていいなと思わせてくれるという意味で良かった。

そういうモチベーションが大切で、愛おしいと言える作品。

冒頭からこれでもかというくらいスミスの楽曲が出てくるし、小物やファッション、美術に至るまで、とにかくスミス一色。やっぱりスミスってアートワークとかアイコンとしてのカッコ良さが抜きん出てる気がするんですよね。カラーリングのシンプルな潔さが特にカッコ良い。

音楽映画の中でもドキュメンタリーを除いて、ここまで単一アーティストにフォーカスし、劇中で楽曲を登場させる作品も珍しいんじゃないでしょうか。

そんなこんなで、恋愛模様や青春群像劇、果ては犯罪に至るまで、スミスの如く疾走します。

個人的にはディーンが立てこもるラジオDJとのやり取りであるとか、その場の空気感が好きで、「そう、音楽が好きなら本質的にはわかりあえるよね」といった理想かもしれないけど、至って真面目にそれを描くところに熱い音楽愛を感じた。

さながらMVのような作品を観つつ、画面内に出てくる歌詞の和訳なんかを見ていると、詩的な歌詞の力であるとか、問いみたいなものも感じる。そしてそれらが映像とリンクし、ビシビシと伝わってくるし、音楽というものをただ楽しむ感覚も蘇ってくる点で最高。

劇中のライブ映像でモリッシーが言う「問題提起が無い曲などクソだ」といったようなセリフもまさにその通りだと思う。

別に問題提起が無い曲でもいい曲はあると思うし、そこにこだわっているわけでは無くて、大局でいうところの、意味のない空っぽな曲は意味が無いと捉えることで、今の商業的なヒット曲とかは見習うべき姿勢だと思ってしまう。やっぱり何事も信念が無いと。

実際過去の名曲にはそういった思想や提起、葛藤や願望みたいなものが内包されているからこそ今でも響くんだろうし、そういったことは過去未来問わず必要な要素なんだと思う。

そんな音楽の根幹的な気付きを再度与えてくれたと考えるだけでも本作は十分な作品だと思うし、単純に爆音でスミスの楽曲を心置きなく聴けたというだけでも十分過ぎる映像体験になっているんじゃないでしょうか。

今のご時世だからこそ、ぜひ劇場で。

では。