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映画的展開と異様な面白さ!『パンティストッキングのような空の下』の魅力

『パンティストッキングのような空の下』

全然知らずに読み始めたんですが、調べてみたらまさか『ダーウィン事変』の作者だったとは。

出会うところで出会うというのはこういうことなのかもしれないなと思わされます。

そんな『ダーウィン事変』に関しても知り合いからオススメされて読んでいた程度ではあったのですが、目の付け所と発想が見事な作品でして、テーマ含め、中々面白い作者の方だなと思っていたところでした。

それがこんな形で偶然に再会することになろうとは。

本作は恒例の中古Diggの際に見つけたんですが、表紙と帯の内容が強烈で、タイトルも『パンティストッキングのような空の下』ですからね。この時点でエッジ効き過ぎ。さらに読んでみたら面白さも異様な感じになっておりまして。

内容もぶっ飛んでいて、それでいてメチャクチャに面白い。面白いという表現があっているのかはわからないんですが、とにかく引き込まれるし考えさせられるんですよ。余韻も凄いですし。

この余韻の凄さっていうのは内容の強烈さや目の付け所の秀逸さからくるものだと思っていて、予想だにしない角度からの展開であったり、発想なんかから生じる部分だと思うんです。

なんか忖度が無いというか、とにかく色々な部分において待ったなしの強烈さ。別に展開自体が突飛というわけでも無く、ただただ、展開の仕方がそう見えるんですよ。

構成だったり構図だったりに関しても映画を感じさせる部分があって、特にタイトルを出すまでの流れと構図が最高で、完全に映画のタイトルのような雰囲気もあり、バチっと決まって気持ち良いんですよね。カッコ良くもあり、キャッチーでもあり。

人物や背景の描写に関しても映画的な部分があって、一枚絵というよりも連続性のある表現が際立っている気がするんです。

だからなのか画で語られる雰囲気と物語を進行する空気感がほどよい感じでブレンドされ、テンポ良くドライブしていく。

変わった考えや思考というのはあくまでもその人にしかなくて、それを知るのって意外に難しいと思うんですよ。

それを覗かせてもらっているよう感じと言えば分かり易いでしょうか。

一般的でないかもしれない、けれども少数派としては持ちうるような、少々変わった考え方というのは個人的にすごい好きなんですよね。

皆に好かれずとも好きな人には強烈に響く的な。

特に最後の話の「唯一者たち」が頭に残っていて、話としては正直ほとんどの人が共感出来ないし理解も出来ないと思うんですよ。

自分もそこまで共感できるかと言われればそうでも無いんですが、終盤で登場人物の女の子が言うセリフが凄く印象的で。

そうだよな、こういう思いって中々口にしないけど、思っていたり考えていたりする人は当然いるもんだよなと思えてくる。なんせ自分自身もわりにそういうことを思う方ですし。

結局この世界って、綺麗ごとや忖度ありきで動いていて、そうじゃない部分はたいがいが見落とされていることだと思うんですよ。見落とされているならまだしも、へたしたら見ないようにしている気すらするといいますか。

そんなマイノリティへのちょっとした視点をあくまでも冷静に、それでいて強烈な印象をもって表現されている短編集だなと。

日常へのありきたりな視点に飽き飽きしている方は是非この気付きを体感されると世界が変わるかもしれませんよ。

ちょっと改めて『ダーウィン事変』も読んでみようかと思います。

では。