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ムーンフォール

タイトルの出オチ感、そして躍動するエメリッヒ感。

『ムーンフォール』

エメリッヒ最新SF超大作『ムーンフォール』7月29日よりPrime Videoで独占配信開始へ ─ 月が地球に激突?ハル・ベリー主演 | THE  RIVER


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インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」などのパニックアクション大作で知られるローランド・エメリッヒ監督が、月と地球の衝突という危機に立ち向かう人類の姿を描いたディザスタームービー。

原因不明の力によって月が本来の軌道から弾き出され、あと数週間で地球に激突するという驚くべき事実がNASAアメリカ航空宇宙局)にもたらされる。NASAは現地調査を試みようとするが、同時に組織内部で、とある情報が隠ぺいされていたことが発覚する。地球と月を救うため、NASA副長官のジョー・ファウラー、一流の宇宙飛行士だったブライアン・ハーパー、天文学博士を自称するKC・ハウスマンの3人が立ち上がり、未曽有の危機に立ち向かう。

NASAの幹部で元宇宙飛行士のジョーをハル・ベリー、ジョーのかつての友人でもあるブライアンをパトリック・ウィルソン、自称天文学者陰謀論者のKCを「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョン・ブラッドリーが演じた。そのほかの共演にマイケル・ペーニャ、チャーリー・プラマー、ドナルド・サザーランド

アルマゲドンの影響もありますが、エメリッヒの世界観も捨てたもんじゃない。

彼が描くディザスタームービーって好みもあるんだろうけど、スカッとしていて潔いんですよね。

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とはいえ、映画館で観たかった。やっぱり映画館向きなんですよ。

ストーリーとしてはやはりシンプル、月が地球に落ちてくる、さあどうしましょう。ただそれだけ。

映画って日常の機微だったり、繊細な心理描写だったりといった、細部にフォーカスを当て、その辺を丁寧に描いていく作品もあると思うんですが、こういうとんでもなくダイナミックな設定の映画も定期的に観たくなるんですよね。

毎回思うんですけど、展開が常に早いし、目的達成に対しての寄り道的なエピソードはほとんど皆無。

ディティールを見れば突っ込みどころも満載なんですが、観てる時の満足感と、時には涙してしまいそうな感傷的シーンもグッとくるから不思議です。

人って、何かのため、誰かのため、そういった利他の為に無意識的に、ある種直線的に頑張る姿って本能的に良いなと思わせる何かがあるんですかね。

どんな人間でもその姿勢を見れば、万事良しみたいな。

展開は相変わらずなぶっ飛び展開ですが、今回の『月が巨大建造物説』は意外にしっくりくるし、なるほどな世界観で興味深かった。

そして何と言ってもジョン・ブラッドリー演じるK・C・ハウスマン、彼が抜群に良かった。

単に自分の好みですが、こういうオタク気質な小太りキャラが主役級に活躍する映画って好きなんですよね。

彼が出てくるシーンだけでも観れると言いますか、彼が考える見解や、シチュエーション、部屋の雑多さや、コミカルなやり取りまで、とにかく何から何まで好き過ぎる。

ラストへかけての見せ場もそうですが、こういうキャラクターがヒーローになる瞬間っていうのも実にエモいですし、ビジュアル的なカッコ良さじゃない、本当の意味でのカッコ良さがあると思うし、こういう人になりたいと思わされる。

人を攻撃したり、誹謗中傷したり、卑屈になったり、そういう事じゃなくて、もっと真摯に自分が思う事へとフォーカスした生き方をしてみたい。シンプルに打ち込む姿は素敵です。

そんな主役級の活躍を見せた彼により、本作は100点ですよ。

あと映像的な高揚感もあって、まず、エメリッヒ十八番の飛行シーン。

建物の間だったり、表面だったり、ギリギリのところですり抜け、滑走する飛行シーンは本作にも健在ですし、そのスリル感はやっぱり楽しい。

月の内部でのそれは、正直どういった構造になっていて、どこを飛んでいるのか、途中から頭の中で、その整理が追い付かなくなってきてしまいますが、それでもただただ楽しい。もうそれだけで映画成立です。

映画ってやっぱり迫力だったり、凄味だったり、そういうダイナミックさだけで良いなと思う部分もあるわけで、その意味での本作は間違い無い仕事をしてくれています。

あとは、機材や乗り物といった美術関係。

機材は特にツボで、細かいディティールの作り込み、滑らかに動く電気系統の心地良さ、ハウスマンがいじるPCに始まり、宇宙船の基盤等、やたらと小気味良く感じてしまいました。

なんとなくオタク心をくすぐると言いますか、ハウスマンがそう思わせると言いますか。観ていて好きなテイストなんですよね。

未曾有優の危機に立ち向かっているのに、意外にあっさり進んでいくストーリーと対比されるような専門情報の説得力。内容の詳細は全くわかりませんが、何となくこのビジュアルで見せられると真実味があるように感じるような作りになっていると言いますか。

まあそれもハウスマンでしょうね。

とにかく本作では最初から最後までハウスマンの活躍が観れる。それだけでも最高な映画というわけです。

とはいえ、内容的にもしっかりとエメリッヒ印ですし、夏の灼熱に負けない、圧倒的映画然とした映画体験を涼しい場所で観るのも良いのかもしれません。

こういう映画の良いところですが、長編にも拘らず意外にライトに観れてしのでそれも含めて夏向きじゃないでしょうか。

では。