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七人の侍~午前十時の映画祭10 編~

名作と言われる所以がわかる。

七人の侍~午前十時の映画祭10編~』

ポスター画像

数多くの傑出した黒澤監督作品の中でも、特に観客のみならず世界中の映画人に多大な影響を与えた代表作。

これ以降「荒野の七人」「宇宙の七人」など、この映画を手本とした作品が多く作られたのは周知の事実。

時は戦国時代のとある貧しい農村。農民たちは野盗と化した野武士たちの襲撃を恐れ、おののいていた。

そこで村を守るために用心棒を雇うことを決意、食うに窮する七人の侍を探し出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。

複数のカメラワークによる迫力ある立ち回りのシーンは見事。

以前から観よう観ようとは思っていたものの中々踏ん切りがつかず、今まで観れていませんでした。

それが映画館で観れるとなればきっかけとしては十分です。今回で終わってしまうのが残念でなりませんが、『午前十時の映画祭』、最高の企画でした。

映画館というそれしかない、集中できる環境で観れるということ、それを最高の映像で、最高の音響で観れるというのは本当に貴重だと思います。

映画は観るタイミングと心情と環境で決まると思っていますが、そういった意味でも良い体験でした。

本作は名作中の名作と名高く、観たことは無くてもタイトルを知っている人がほとんどなはず。

自分自身もその類で、様々な映画監督から名が挙がるので、そういった認識だけがある状況でしたが、予想に違わぬ、素晴らしい作品でした。

まず冒頭のクレジットロールの力強さ、この時点で風格を感じずにはいられません。

そしてそれが画作りに引き継がれているような画の強さ。これも序盤から終始感じましたし、特に果し合いや合戦といったアクションシーンではまさに泥臭いというか迫力以外の何物でもない力強さに溢れていました。

脚本も素晴らしく、物語がスッと入ってくる。昔の映画なので色々と理解できない言葉や、映像、状況などがあるはずなのにそれを全く感じさせない。そして何より演者のキャラも立っているし、その背景や気質、集団の中での役回りまで違和感なくすんなりと理解できる。

極めつけは合戦に向けての作戦のシーンですが、これまた地図を出して作戦を伝えることで視聴者の頭の中にも共通言語として映像が浮かび、RPGや冒険ものに近いライド感を味わうこともできました。

そして環境音の使い方。

当時の音響機材では演者の声を的確に拾うことも難しく、不鮮明なところがあったのは事実だと思います。それでもこの環境音が空気感まで閉じ込め、当時の原風景に近いところまで想像させるのは素晴らしいものだと感じました。これは機材というよりもその場の空気感がそうさせた結果なのかなと思っていたりもします。

映像的にもそうで、合戦シーンや炎が上がるシーン、雨天でのシーンなど、全てにおいてその空気感が纏う凄味が前面に出ていて、それが演者の空気感と混ざり合い、素晴らしい化学反応を起こしていたんじゃないでしょうか。

映画の本質はエモーションにある。

全ての芸術がそうだと思いますが、理屈や御託を並べるよりもまずその感覚的な刺激を受け、それに素直に答えることこそ必要な感覚なんじゃないかと、芸術の原点を見せられた作品でした。

本当に映画館で観れて良かったと思います。 これ以外の黒澤明監督作品も観たいと思います。

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