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ストップ・メイキング・センス

原点であり至高の体験。

ストップ・メイキング・センス

ポスター画像


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アメリカの人気ロックバンド「トーキング・ヘッズ」が1983年12月にロサンゼルスで行なったライブの模様を、後に「羊たちの沈黙」などを手がけることになるジョナサン・デミ監督が収めたライブフィルム。

黒子をセット変えに起用するなどユニークなステージをシンプルにまとめ、人気を博した。99年にはドルビーデジタル音響のリマスター版が作られ、日本でもリバイバル公開されている。

2016年、デミ監督がロック歌手を主役に描いた「幸せをつかむ歌」の公開にあわせ、東京・Bunkamuraル・シネマで1週間限定上映。

相変わらず爆音上映はいいですね。特にコロナ禍にあってのこの状況は本当に相性が良い。さらに夏、音楽映画といえば悪いわけがない。

このように書いてしまうと映画自体の出来に関して身も蓋も無い話になってしまうんですが、映画自体の完成度も相当に高い。伊達に最高のライブ映画と呼ばれていません。

監督は羊たちの沈黙などで知られるジョナサンデミ。ライブ映画と聞くとまず、映画なのかと思われがちですが、映画が好きであれば好きであるほど気付いてしまう映画としてのディティール。それがあれば映画と呼べると思うし、空間や物語を切り取ればそれは映画というもの。

固定カメラで撮影し、加工無しに完成させれば映画とは呼べない気もしますが、本作は間違いなくそういう作品ではないわけでして。

冒頭から足元を抜いたカットや演出、ライブの高まりにも似た臨場感を感じつつ、観客の歓声と共に一気に引き込まれました。

なんなんですかね、ライブや映画における独特の緊張感って。音や光、映像の臨場感で別世界に連れていかれる感じがあって唯一無二な感覚。そのシーンで思わず泣きそうになる程の鳥肌と共に、音楽が好きで本当に良かったと心から思える。早くライブに行ける世界が戻ってきて欲しいと切に願いました。

アメリカンユートピアを先に観て、あまりに良かったためこちらも観たんですが、アメリカンユートピアに受け継がれている演出の部分や、ブラッシュアップされた音のタイトさといった様々な箇所からその余韻を感じました。

とはいえ、サウンドの本質的な部分、トーキンヘッズの音色の多様さやビートの豊富さは相変わらずですし、爆音故に更に心地よく響いてくる感じは至福のひと時。

文字通りストップメイキングセンスな映像体験をさせてもらいました。

個人的にはアメリカンユートピアもさることながら、こちらの作品の方がテンション爆上げで楽しませてもらいました。何がそうさせたのか考えてみると、映像の荒削りさというか、サウンドのいい意味でのごった煮感が身体的な感覚にダイレクトに響いてくるといいますか、とにかく止まっていられなくなる感覚。

音楽をお利口に聴いてるだけの楽しみにするなんて勿体無いし、聴き始めた時はそんなこと思ってなかったはずなわけで。アメリカンユートピアの方が、より洗練されてるし、演出の作り込みも大したもの。けれども、それだけでは語りきれない何かを感じてしまった。

ただ音に身を委ね、感じることが今の気分にマッチしていたといえばそういうことなのかもしれません。

現場でしか味わえない空気感、早くライブに行きたいです。