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葛城事件

とにかく始めから最後まで重々しい。軽いシーンなんて一つもない。何故かは分からないけど観終わってわかる気もした。

これ映画のすべてが人間の本質なのかもしれないと。

「葛城事件」


『葛城事件』 映画 予告編

親が始めた金物屋を引き継いだ葛城清は、美しい妻との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。
思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。
長男・保は、幼い頃から従順でよくできた子供だったが、
対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。
堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。
清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻・伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、
稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場・・・。葛城家は一気に崩壊へと向っていく-

とにかく見入ってしまった。そして考えさせられる映画だった。

人生の中で誰にでもある、「どこで間違ってしまったんだろう」という感覚。それが丁寧に描かれていた。

この葛城家の人々は皆、特段におかしいというわけではない。でも少しずつ、確実におかしくなってきているのが感じられる。それは時折入る過去のシーンからも明白だし、不自然なシーンがどんどん増えていき、最後にはそれ相応の形で着地することになる。

やたらと不快に感じるし嫌な気分にもなるのだが、惹きつけられたりもする。そこに本作の魅力があるように思った。

家族とは、ということについても非常に考えさせられた。

長男も次男父親を嫌ってはいるものの、似た言動や考え方があったりして、家族という絶対的な関係性を断ち切れないというところに怖さも感じたし。

家族と言えど思い描いた形にはならない。成長すればするほどそれぞれが意思を持ち、意図しない行動も出てくる。

つまるところ「家族=個の集合体」という当たり前の考えに行きつくことになる。

個の意思はその個人の意思無くして変えることは出来ないわけで、それに気づくと家族でもかと絶望しかない。

カットに関しても独特で、家を斜めから正面に捉えたカットが度々登場し、そのたびにどこにでもある一軒家だよな。と感じさせられ、狂気は表面から見えない内面に、当たり前に潜んでいることに気付かされる。

隙間から覗いているかのようなカットも度々登場し、これも絵画的でいて、感情を感じさせない感覚を受ける。とにかく不気味の一言。

最後のシーンで田中麗奈三浦友和に対して言うセリフ「あなたはそれでも人間ですか」。あのシーンでそう言われたら普通はそれに賛同するのだろうけど、これを聞いて私は違うことを考えていた。

人間の本質って一体何なんだろうということ。それを決めるのも個々人の感覚な気がするし、だとしたら田中麗奈は何を守ろうとしてたのか、結局はそれぞれの感覚で良いように解釈してるんじゃないか、そんなことを考えておりました。

あなたにとっての家族とは人生とは人とは。ゆっくり考えてみるのもいいかもしれません。

とにかく誰かと共有したくなる映画でした。

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写真家 ソール・ライター展

先日行ってきました。

www.bunkamura.co.jp

もうこの写真の時点で行くことは決定していたんですが、予想通り良かったです。

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展示会に行って気付いたんですが、ソールライターの写真が自分好みな理由もよくわかりました。

というのも彼は絵画もやっていて、写真も絵画的に、カラーバランスやトーンを意識して撮っているというところが惹きつけられる理由だったように感じました。

モノクロ写真に絵具で着色し、絵画的な脚色を加える。このアイデアも非常に興味深かったし、モノクロからカラーへの変遷もハッとさせられました。

「ソールライター 写真 絵具」の画像検索結果

しかも驚いたのがほとんどの写真は近所で撮影されたものということ。

被写体に頼るのでなく、切り取るアイデアに重きを置く、これって人生にも似ている気がして非常に感慨深かったです。

無いものを欲するのではなく、在るものに満足する。

いい刺激になりました。6月末まで開催しているので興味がある方は是非。

「ソールライターてん」の画像検索結果

「ソールライター」の画像検索結果

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All about Saul Leiter  ソール・ライターのすべて

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裁かれるは善人のみ

なんか人生ってやるせないな。わかってはいるけど誰もが蓋をしているところを深くエグってくる作品でした。

「裁かれるは善人のみ」


映画「裁かれるは善人のみ」予告編

実在の事件、数々の書物を基に力強い筆致で描かれる、
世界中の映画祭を席巻し、圧倒し、叩きのめした善と悪の物語!

ロシア北部の小さな街で妻子と暮らす自動車修理工のコーリャ。強欲な市長のヴァディムは、彼らの土地を買収しようと企む。自分の人生の全てともいえる場所を失うことが耐えられないコーリャは、強硬策に抗うべく、友人の弁護士ディーマをモスクワから呼び寄せる……。

とにかく冒頭から大自然の描き方に圧倒される。

今思えば、この「圧倒的な自然=圧倒的な権力の象徴」として描かれていることに気付いてくるのだが。

音楽も最低限に抑えられていて、作品の内容自体に没頭し易かった。逆に言えばそれによって否応なしに残酷な現実と向き合っていくことになるんだけど。

結論から申しますと、本作には夢も希望もありません。ただ描かれているのは我々にも起きうる、もしくは起きている現実だということ。

大自然に対して人が無力なように、巨大な権力に対して個人もまた無力。ここでいう権力は国家権力だったり、宗教だったりするので身近ではないかもしれないけど、誰もが組織であったり、上司、親、社会的地位といった何かしらの権力に抑圧されていると思う。

 その現実の救いの無さを極限まで圧縮した作品になっている気がした。

主人公は徐々に酒びたりになっていくし、段々と覇気も無くなってくる。人って希望があるから頑張れるわけで、それが失われたら何も残らない。それを端的に表現していた気がする。

本作では絶望を感じさせるシーンが何度も登場するが、それも直接的な暴力やグロさといったフィジカルな絶望では無くて、心をエグるようなもっと深い絶望に打ちのめされた。

主人公の収容所に連れて行かれシャッターが閉まるシーンもあそこまでシャッターの重厚さを感じたことは無かったし。

主人公の家が重機で破壊されるシーンなんかも家の中から正面で破壊されていくところなんか、カメラワークも相まって、力への絶望しか感じなかった。

 ラストに近い教会のシーンでしきりにに出てきていた「真実」という言葉。これ自体も真実がどういう事なのかは関係なく、権力があればそれすらも捻じ曲げることが可能なんだと言っているようにしか受け取れなかったわけで。

タイトルは「裁かれるは善人のみ」ということだけど、個人的には裁かれるのは善人とか悪人とか全く関係なくて、属するコミュニティでの権力の無い者、そういうことなんじゃないかと感じた。

中盤で主人公が牧師に投げかけていた通り、「人はなぜ生きるのか」そう思わずにはいられない作品でした。

裁かれるは善人のみ [DVD]

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コップカー

 始まりは爽やか、終わりはダーク。そんな映画です。

「コップ・カー」

『COP CAR/コップ・カー』予告編

家出中の少年ふたりが、荒野で偶然みつけた一台のパトカー。悪戯に車を走らせはしゃぐふたりだが、
それは絶対に手を出してはいけないパトカーだった……。彼らがトランクの中身に気づいたとき、
謎の悪徳保安官(ケヴィン・ベーコン)による恐ろしい追跡劇が幕を開ける!

 ストーリーだけ見て鑑賞しました。

子供と言っても高校生か大学生くらいを想像していたのですが10歳前後の子供が主人公と、意表を突かれました。

本編もカーチェイスのようなものを想像していたものの、そういったものはほとんどありません。終始何となく危険が迫っているような緊迫感が尽きない、けれどそれもなぜかはわからない。そういった印象で気付いたら終わっていました。

 とにかく、子供が何をするかわからないということがここまでスリリングなのかと手に汗握るシーンがいくつもありましたし、こういった種類のスリリングな映画は初めてだったので逆に新鮮に観れました。

 悪人に関しても明確な答えは無く、解釈は観る者に委ねられ、ただただ疑問しか残らない映画でした。

ただ観終わってふと、「大人が考えるほど、子供がすることに意味なんてないよね」と思い、それこそ本作のテーマのような気がしています。

そしてケヴィンベーコン、やっぱいいっすね。憎めない感じが好きです。

COP CAR/コップ・カー [Blu-ray]

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mizotabiⅢ~ふらっと群馬編~

少し間が空きましたがそれもわたくし。

今回はこちら

「熊ノ平変電所」

前回のトンネルを抜けた先に現れた廃墟。正直行き当たりばったりで入ったのですがかなり当たりでした。

中の退廃した色味がとにかく好みで、来てよかったです。

では行ってみましょう。

まずは入口から。

廃墟って入る箇所が非常に重要な気がするんですよね。異界への入口のような感覚がして。そんな入口からスタート。

弾丸かよ。と突っ込みたくなる割れっぷり。

配色のバランスが廃墟ならでは。退廃してきた色が良い感じなんですよね。

映画に出てきそうな様相。

壁面のサインも雰囲気出てます。

ありのままを撮る。

次回「熊ノ平変電所」完結です。

もっと早く更新せねば。

コダック 35mmカラーネガフィルム ULTRAMAX 400 36枚撮 20本

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Nikon NewFM2 ブラック

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セトウツミ

これは映画じゃなくてもいい。でも映画でもいい。とにかく力の抜ける異色青春ムービーでした。

「セトウツミ」


映画『セトウツミ』予告

高校二年生の内海想(池松壮亮)と瀬戸小吉(菅田将暉)は、内海が塾に行くまでの放課後を、いつも河原でダラダラと喋りながら一緒に過ごす。
クールでインテリの内海と元サッカー部でお調子者の瀬戸。
真逆のような二人だが、くだらない言葉遊びで盛り上がったり、好きな女の子に送るメールの文面で真剣に悩んだり、ときにはちょっと深いことも語り合ったり……
二人でいれば中身があるようでないような話も尽きない。
そんな二人を影ながら見守っているのは同級生の樫村一期(中条あやみ)だ。
瀬戸が好きなのは樫村だが、樫村は内海が気になっており、内海はそんな樫村につれない素振り。
さらに瀬戸と内海の先輩であるヤンキーの鳴山(成田瑛基)やバルーンアーティスト(宇野祥平)、離婚問題に揺れる瀬戸の両親なども、二人の日常にちょっとした波風を立てていく。
まったりと流れる時間の中で移り行く季節。変わったもの、変わらないもの。
二人の未来は、そして樫村との三角関係の行方は……?

1時間ちょっとの作品と映画としてはかなりコンパクトな印象。本編もいくつかの話で構成されていて、正直ドラマでいいじゃんといったところ。

本編自体は高校生2人がただダラダラと喋るだけというくだらない内容。にも拘らず、池松壮亮菅田将暉の存在感、学生時代のあるある、といった内容がくだらなくも非常に痛快でした。

なんか学生時代ってこういう時間あったよな、と思わずにはいられない感じ。大人になると何に追われているのかわからないけど徐々に失っていくこの感じが懐かしく感じられました。

常に「面白さ」や「ウケ」を狙っていたあの頃、というかそれ以外考えていなかったのか思っていなかったのか。そういったところが見事に表現されていて、要所要所で笑えます。

大人にもこういう時間ってあってもいいんじゃない。そう思わせてくれる作品でした。原作の漫画も読んでみたいところです。 

セトウツミ [DVD]

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セトウツミ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

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mizotabiⅡ~ふらっと群馬編~

前回の途中でフィルム交換したので別フィルムでの写真もあがってきたので。

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その後眼鏡橋を目指します。歩いても行けそうでしたが数時間はかかりそうなので車で向かうことに。

正直、橋自体は面白味も無かったので撮影せず。

何故か木でできた階段を登ったり。

途中の森で地面に飲み込まれているような光景を見たり

眼鏡橋への道中でいくつもトンネルを通ったり

その先に廃墟を見つけるという。旅をしていると予想外のよくある展開へ。

フィルムなので更新遅めですいません。

使用した機材。 

Nikon NewFM2 ブラック

Nikon NewFM2 ブラック