『エイリアン コヴェナント』
リドリー・スコット監督が自身の傑作SF「エイリアン」の前日譚を描いた「プロメテウス」の続編。
新たな主人公となる女性ダニエルズを、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で注目されたキャサリン・ウォーターストンが演じ、「プロメテウス」でアンドロイドのデヴィッド役を演じたマイケル・ファスベンダーが続投。前作に続いてスコット監督がメガホンをとった。
滅びゆく地球から脱出し、人類移住計画を託された宇宙船コヴェナント号には、カップルで構成された乗組員が搭乗していた。やがて人類の新たな楽園となるであろう未知の惑星にたどり着いたコヴェナント号だったが、そこには想像を絶する脅威が存在していた。その恐怖を目の当たりにした乗組員たちは、命からがら星からの脱出を試みるのだが……。
前作プロメテウスを未見ながらなぜかこちらを先に見てしまったわけですが、エイリアンもついに神々の領域へ。
そんなわけで、前作との繋がりが見えずらい部分もあったものの、わりとすんなり理解はできました。
ただし、物語や設定がどデカくなり過ぎてる感もあり、こんな壮大な話に変遷しているのかと、正直驚きの部分も大きいかと。
伏線の張り方も、回収を前提としていた事柄も、謎は一層深まるばかり。
突っ込みどころも多いながら、映像としてのクオリティというのは満足度の高い仕上がりだったように思います。
単純に圧倒的に綺麗なんですよね。
エイリアンの始祖であるリドリー・スコット御大が関わっていることもあり、美術や造形へのこだわりがビンビンに伝わってくる画作り。
時代によるテクノロジーの進化もありますが、それを鑑みても想像物の具現化という能力に非常に長けている監督だなと。
特に操縦席の中心にある立体3Dホログラムのクオリティには痺れましたね。
美しい。
表示される様もそうだし、計器類の発光もそうだしメカとして、テクノロジーとしての美しさに目を奪われる。
未来はこんな感じで情報が表示されるんだなという妙な納得感もあり、細かいディティールとかにもついつい見入ってしまいます。
その意味ではマシンや惑星といったフィールドの美しさはやっぱりリドリー・スコットだなと言えるほどに素晴らしいんですよ。
惑星に降り立った時の音像表現にしても全く生物が存在しないということが体感として伝わってくる静けさ。
静謐としたオープニングでの湖畔のシーンなんかもそのルックだけでこれぞSFという醍醐味を感じる近未来感に溢れている。
ただですよ、物語としての強度としては突っ込みどころが満載なわけですよ。
船長到着前に死亡、その後の船長頼り無い、安易に目的地を変更しちゃう、その新惑星に上陸する時軽装過ぎ、自由に動き案の定トラブル発生、銃乱射して乗ってきた船破壊しちゃうし、迎えに来てもらう時もマザー警告を無視、それで突入しても意外に無傷。
とまあ挙げ出したらキリがないくらいに突っ込めるわけですが、逆にそう思ってみると全然楽しめるんですよ。
映像により担保された圧倒的世界観。
『ブレードランナー2049』はのれなかった私ですが、この感じはありなんですよね。
新味は無くともディティールへの説得力とエイリアンという圧倒的な存在があるという事実。
オリジネーターが関わっているというのも結局は強みになるわけで、続編が中止になってしまったこともあり、全く伏線が回収されないという状況で終了してしまったのは残念ですが、それもまた続編映画の宿命なわけです。
とまあシリーズ初見で観るのはためらわれるかもしれませんが、見るべき作品ではあるかと思います。
個人的にはルック等、わりと好きな作品になりましたし。
では。