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デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人

痛く、儚く、生々しい。

『デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人』

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「トマホーク ガンマンvs食人族」のS・クレイグ・ザラー監督が、ビンス・ボーン主演で描くバイオレンススリラー。

失業してドラッグの運び屋になった元ボクサーのブラッドリーは、取引現場で警察との銃撃戦に巻き込まれ、逮捕されてしまう。

刑務所に送られた彼のもとにギャングの使いが面会に訪れ、取引失敗の代償として、レッドリーフ重刑務所に服役している男の殺害を命じる。

妊娠中の妻を人質に取られたブラッドリーは、レッドリーフ重刑務所への移送を狙って騒動を起こすが……。

主人公の妻を「エミリー・ローズ」のジェニファー・カーペンターレッドリーフ重刑務所の所長を「ジャンゴ 繋がれざる者」のドン・ジョンソンがそれぞれ演じる。

これまたエグかった。

最新作のブルータルジャスティス以後、クレイグザラー熱が収まらず、映像の痛々しい程の生々しさを追ってしまう自分がいます。

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本作もその暴力性とテンポの遅さは相変わらずで、終始突き刺さるような緊張感もさすがといったところ。

この監督は本当に日常だったり、本筋の見せ場だったりから逸れた展開が良い。良い意味でダラダラしているというか、今の映画にありがちな映画の情緒感みたいなものがそこに詰まっていて、観ていてすごくしっくりくるんですよね。

とはいえそのパートに関しても、いつ何が起きるのかわからないような妙な緊迫感があって、それが映画的といえば映画的なんですが、それも含めて妙に心地良い。

あと誰にでも当てはまるところがあるであろう感覚が根底には通っていて、本作でいうところの序盤での不条理の連続、それを言葉で言い表したのがミルクの下りのシーン。

端的に言ってしまえば人生は常に不条理に感じることの連続で、なんで自分だけがと思ってしまうようなことばかり。

そのカタルシスを主人公であるブラッドリーは自ら口にしつつ、それでもなお圧倒的な暴力で捻じ伏せ、消化していってしまう。

この過程にこそクレイグザラー監督の手腕であり、脚本諸々の冥利。

とにかく痛快で、ここまで衒い無く実行されてしまうと圧巻というか、潔良い。

それに加えて、ブルータルでもそうだったように、車中での音楽が最高。各所で登場する車中でのシーンなんですが、この時にかかっている楽曲が妙に作品と合うんですよね。

元々ヘビメタバンドを組んでいたりと音楽にも精通しており、その辺はなるほどといったところなんですが、映画のテイストに合わせた選曲が素晴らしいんですよね。ハマり過ぎるという所は避けつつ、ハマってしまうという絶妙なバランス感覚。この辺はザラー監督ならではといったところ。

出てくる人物たちの雑な所作や、適当に見えて実はこだわっているライフスタイルなんかも好きで、そういった映画全体の纏う雰囲気込みで好きな監督なのかもしれません。

本作はそういったベースはありつつも、ダンジョンを進んでいくようなドキドキ、わくわく感、それと反比例するように高まっていく緊張感、不安感。そうした圧倒的な暴力の元に、どういった結末が待っているのか。

説明不要な力で捻じ伏せられて欲しいと思います。