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カサヴェテス作、”アメリカの影”の魅力─黒の深さとネオンの輝きが醸す独特な雰囲気

ストーリーは正直・・・でも雰囲気は抜群。

『カサヴェテス作、”アメリカの影”の魅力─黒の深さとネオンの輝きが醸す独特な雰囲気』

アメリカの影

ローズマリーの赤ちゃん」などの個性派俳優として知られ、後に「ニューヨーク・インディペンデント映画の父」と称され多くの映画作家たちに影響を及ぼすことになるジョン・カサベテスの記念すべき監督第1作。

マンハッタンで暮らす白人と黒人の血を引く3兄弟が、白人社会の中でそれぞれ葛藤を抱えながら日常を生きる姿を描く。オールロケと台本なしの即興演出で俳優たちの揺れ動く感情やリアルな表情を捉え、映画の新しい方向性を示した。

音楽は大のジャズ好きだったカサベテスが依頼した、ジャズミュージシャンのチャールズ・ミンガスの即興演奏による。

ふとツイッターで流れてきたオダギリジョーのコメント投稿。

これを見て、そういえば気になっていたけどカサヴェテス作品って見たことなかったなと思いまして、初鑑賞。

モノクロだから雰囲気が出る。そういう作品もある中、本作はそれ以上にバチバチに決まった色彩コントロール、特に濃淡ですよね。この使い分けとデザインされた構図の味付けがキマっている。

黒が沈み込むほどの黒さで、ディティールが破綻しているんじゃないかと思うほどに黒い。その黒さが作品のテイストと妙に合ってるんですよね。

街並みのネオンなんかも良くて、現代と全く異なる華やかさ。1960年代だからこその絢爛さ全振り感がお見事。

沈み込んだ黒と、対照的過ぎるネオンの白さ。人物とネオンの対比が印象的ではありますが、これが収まっている構図というのも巧みでして。

臨場感もあり、生々しさもあるフレーミングが当時のストリート感を感じさせる。

表情の捉え方も上手いんですよね。同一フレームに何人かを配置したり、一人にクローズしたり。アドリブが多いからこそ表情の変化が良く目に出ており、それを的確に捉えている。

書き忘れましたが、本作はシナリオ無しの即興演出で撮られていて、ラストにその注釈が付くんですよね。どういう状況?と思う部分もあるんですが観るとその辺はなんとなくわかるような。

まあ、だからこそストーリー的な固さが無いとも言えますが、核となる部分は抑えられているからなのか、そこまでチグハグでもない。

要所要所で見ると辻褄の合わなさだったり、意味が取りづらかったりといった部分はあるんですけどね。それらも具体的にというより、体感的な”あれっ”と思うような飛躍があったりして。

まあ初作でここまで作家性を演出するだけでも十分なんですが。

あと音楽も抜群に凝ってますよね。これが個人的に一番衝撃を受けたところではあるんですが、ジャズ好きだったカサヴェテスのセンスを感じるというか、染み出ている。

チャールズ・ミンガスに即興をいらいしたそうですが、音のハメ込み方がカッコ良過ぎます。

半端なタイミングで入ったり消えたり。ジャズに感じる要素があり、タイム感がジャズっぽいんですよね。ノリというかフィーリングというか。とにかく映像込みでやたらとクールに見せる。この辺のバランス感覚はさすがですよね。

どうやらカサヴェテスの企画もやるようなので気になる方は是非。

www.zaziefilms.com

こういう作品は家で観るよりも、映画館での方が没頭できるところがありますからね。

では。