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紙の動物園

SFとファンタジー、そのバランスと現実感が絶妙。

『紙の動物園』

中国SFが注目されてそこそこ経ちますが、全然手を付けられておらず。

そんな時にたまたま古本屋にて、覚えていた本作を発見。

とりあえず表題の作品を読んだところ、面白い。アジア圏の名前や固有名詞って映画なんかを観ていても中々頭に入ってこない印象があって、若干敬遠していたところもあったんですが、やっぱり面白いものは面白いし、そういうことだと入ってくるもんですね。

翻訳の良さもあるのかもしれませんが、馴染みある表現がほとんどで、その中に文化や物質的な違いが入ってくるだけ。

逆にその部分の違いは懐かしさにも似た心地よさを感じますし、なんとなく人の本質に迫るような場面が多い気がします。それでいて、SF要素もかなり練られており、科学に寄り過ぎていないところが刺さります。

人や文明、そういったつながりや伝統みたいなものを疎かにせず、それが逆に良いフックアップになったSF感。同居し得ないものが混在するような独特の心地良さは新鮮な体験でした。

これは短編集になっているので読み易く、寝る前のひと時などにも最適な夜の夢を見るツールになるんじゃないでしょうか。忘れていたものと忘れちゃいけないもの、自分の体験全てに繋がる経験になるのではないでしょうか。

たまたまですが少し前にケンリュウ原作のアークも映画化されてますのでそちらも興味があれば。長編も読んでみたいのでチェックしてみようかと思います。個人的には折りたたみ北京が以前から気になっているのでとりあえずそちらを読んでみたいと思います。