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パターソン

幸せの基準は自分で決めるもの
「パターソン」

ポスター画像


『パターソン』本予告 8/26(土)公開

ジム・ジャームッシュが「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」以来4年ぶりに手がけた長編劇映画で、「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー扮するバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取った人間ドラマ。

ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。そんな彼が過ごす7日間を、ジャームッシュ監督ならではの絶妙な間と飄々とした語り口で描く。「ミステリー・トレイン」でもジャームッシュ監督と組んだ永瀬正敏が、作品のラストでパターソンと出会う日本人詩人役を演じた。

いい映画でした。ホントいい気分にさせてくれる映画でしたよ。

何かが起こるわけでもないし、ありふれた日常を切り取った単調なストーリーでしたけど、それがいいんです。ジムジャームッシュの作品って一貫して日常を切り取っている監督だなぁと改めて思わされたり。

本作はそうした感覚がとりわけ強い映画なのかもしれませんが。

退屈に感じる日常も受け取り方で感じ方でここまで幸せに見える。忘れかけている何かを刺激されている感じがして非常に心地良かったです。

忙しなく生きる現代人にとって忘れかけている余白のような余裕。何のために生き、何に心の充足を感じるのか。そういった当たり前なんだけど、忘れがちな感覚に改めて向き合わせてくれました。その提示の仕方もさり気ないし、実に自然で、非常に良かったです。

キャストも最高で、主演のアダムドライバーは見事な演技でしたし、妻のゴルシフテファラハニも美人で御茶目な感じが非常に良い夫婦像のように思えました。

どのシーンのカットも美しいし、シーンの切り替えの暗転フェードアウトも余韻があって良かったですし、セリフや仕草、行動なんかも機微に富んでいてハッとさせられました。とにかく抜かりないなぁといったところ。

音楽も非常に心地良く、刺激的な日常と対極的な、ゆっくりとした時間の流れを感じられる選曲でこれまた見事。

とにかく「日常に余白」を持ちたい。そう思わせてくれる作品でした。

演出、演者、音楽、カット、構成、全てが心地よく過ぎてゆき映画館を出た後は少しだけ解放され、いつもの日常が違って見えてくる映画でした。

久々DVDで欲しい作品かもしれません。とりあえずもう一回観ようかな。

余談ですが先着で配布していた劇中で出てくるマッチ箱と同デザインのノートも良かったです。なぜだか詩を書いてみようかなと思わされたり。