Blcrackreverse

Diggin LIFE 掘って掘って掘りまくれ!

Blcrackreverse

リトル・ミス・サンシャイン

結局家族は家族なんだということ。

リトル・ミス・サンシャイン

ポスター画像


www.youtube.com

サンダンス映画祭で絶賛され、第19回東京国際映画祭でも最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞など最多3部門を受賞したロードムービー

アリゾナからカリフォルニアまでのバス旅行を通じて、崩壊寸前だった家族の再生を描く。

監督はこれまでジャネット・ジャクソンやREMなどのPVを手がけ、本作で劇場映画デビューを飾ったジョナサン・デイトンとバレリー・フェリス夫妻。

元気が出て、笑える、100分という時間も丁度良く、年始の何とも言えない気持ちを吹き飛ばしてくれます。

この映画の何が良いって、『全く忖度が無いこと』。

これに尽きるなと思っていて、冒頭からラストまで、とにかくノンストップの珍道中。

序盤から色々と衝撃的と言いますか、これってOKなの?と思ってしまうくらいブラックな感じが漂っているんだけど、これこそ紛れ無き現実なんだと思うと、やっぱり人生そんなに甘くは無いわけで。

そんな生きるということにおける、目を背けたくなるようなことから全く目を逸らさせてくれないキャラクターたちも賑やかで実に楽しい。

それが家族というのもポイントで、確かに家族って一番近い共同体、のはずなんですが、近年では年齢や核家族化によって、壁、というか逆に家族だから(ある意味でよそよそしい)といったような空気が蔓延していると思うんですよね。

それを一切取っ払って、まあそういう空気感も一掃するような潔さ。この辺に意外な発見や気付き、そうだよな、といったような諸々を考えさせられる。

スマホやTV、パソコンやゲームといったものの存在も大きいと思いますが、そういったものによる個で楽しめることが増えてしまったから生じる自分時間というなの贅沢時間。

それが一時であれば良いのかもしれませんが、正直蔓延しきって、全てがそういう時間と言う人も多いんじゃないでしょうか。それは大人子供問わず。そんな家族であって、同居人の様な空気感が本作には皆無なんです。

ガンガン踏み込んでくるし、パーソナルスペースなんて無い様なもの。でもそれを半強制的に強いられることでこそ見えてくる否応無さ、そして知らされる家族はどこまでいっても家族なのだということ。

そんな当たり前のことを痛快に、かなりブラックに切り込んでくるから面白いんですよね。

しかも、その中で描かれる家族が全員何か闇を抱えているというのもポイントで、これも普通に考えれば当たり前の事なんですよ。

だって、家族だって突き詰めれば個人なわけで、だからこそ個々の悩みや葛藤、言えない事や思っていることは当然あって然るべきですし。

ただし、それらの見せ方と言うか、アプローチに関しても一切遠慮無し。

冒頭から叔父は自殺未遂、母親はタバコ吸いながら病院に向かい、父は騙し、騙され、口も悪過ぎ、じいさんはヘロイン吸って、兄貴はしゃべらない。唯一真面目に映るのがオリーブただ一人。

この設定も終盤に効いてくるんですが、オリーブの純粋無垢な感じが意図せずとも、この難あり家族の中で良い緩衝材として機能してくるんですよ。何より癒される。とにかくこのオリーブがいるからこそ、雰囲気が担保されているというか。

終盤のコンテストに出る、出ない話の時のオリーブの演技とその局面をどう展開するかは泣けてすらきますよ。

体裁を気にすることに終始し、気付かないうちに悲観的なループにハマっていく大人になってしまった。これって誰でも心当たりがあるところだと思いますが、それは結局自分で自分に枷を課しているいるだけで、本当はそんな枷は存在しないし、したとしても、わかってくれる人は必ずいる。それを忘れ、控えめな行動に終始してしまう恐ろしさ。これがむしろ逆効果なのはわかっているはずなのに、どんどん思いきれなくなってしまうんですよね。そんな当たり前のことを教えてくれるオリーブに感謝。

みんな口では好きなこと言うんですよ。「人生一度きり」とか「後悔しないように生きろ」とか。そんなことは皆わかっていて、自分で色々な言い訳を用意しブレーキをかけている。それが今の自分なわけですよ。

じゃなくて、実際必要なのはオリーブを見て気付くような、『シンプルに自分に嘘無く過ごすこと』、これが最重要課題であって、ただそれだけなんじゃないかとすら思えてくる。

そう思ってこの作品を観ると、他の家族もそれが出来ているんですよ。

好転しているかどうかは別として、それをするからこそ、真に分かりあえる可能性があるし、それを家族という最少フォーマットで行うからこそ意義がある。少なくともこの映画では。

正直、アウトな行動の連続ですよ。でも、この家族を見ていると、結果的に、良い家族だなと思ってしまうんですよ。

誰にも言えないような事でも、家族だから言えてしまう。時には感情が爆発して喧嘩になることもあるかもしれないけど、それも社会で生活する上でのガス抜きになるとしたら、それもそれなのかなと。

とにかくこの作品を観たら素直に生きよう、そう思わずにいられない要素が詰まっているんじゃないでしょうか。

では。