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ドリフト

ライフスタイルを根源としたカルチャーの広まり方が最高過ぎる。

『ドリフト』

ポスター画像


『ドリフト』予告

1970年代オーストラリアを舞台に、自宅ガレージでサーフショップを立ち上げ、夢に向かって歩んだ兄弟の実話を描いたドラマ。

海辺の街でサーフィンに親しみながら育ったアンディとジミーの兄弟は、キャンピングカーで自由に放浪しながら暮らすカメラマンのJBとハワイ人女性サーファーのラニと出会う。

彼らのライフスタイルに触発されたアンディは、自宅ガレージにサーフショップを開き、サーファーとしての視点から手がけたボードやウェットスーツがたちまち評判となる。しかし、一流ブランド品を扱う大手ショップが近くに進出してきたことをきっかけに、兄弟の未来にも暗雲が立ち込め……。

アバター」でブレイクしたサム・ワーシントンが、JB役で母国映画に出演している。 

ストーリーとしてはありきたりなものだし、実話ベース故に派手さもない。

なのにこれだけエモーショナルな作品に仕上がっているのはサーフィンというカルチャーや当時の空気感、人と人を繋ぐ物語がしっかりとあってこそだと思った。

冒頭のモノクロ映像から始まるところなんかは、同じ海を描いた作品のグランブルーを想起とするし、カラーに変わる演出なんかの場面選びも近い雰囲気。

改めて思ったのが『自然』を描くときにモノクロにすると余分なものが削ぎ落とされて、凄味だけが残る。本当に力強いし、怖さすら感じる。

そこからの展開は若干間延びするが、それも終盤へのカタルシスへの助走に過ぎない。

とにかく人生を描いているわけで、楽しいことは一時、不条理なことは多々訪れる。誰もが逆ならいいのにと思うんだけど、実際は楽しいことの方が少ないもの。ただ本作ではそのベースにサーフィンというライフスタイルであり、カルチャーが存在している。

やっぱりこういった何か生活を充足させるものがある人はカッコ良く映るし、芯が通って見えてしまう。

後半で家族同然に過ごしてきたガスがどうしようもなくなり、ボードで海へ出てくシーンは、涙無しには見られなかった。自分自身が行った行為が招いてしまった結果なのは重々承知している。でも、最後にみんなを守ろうとした姿勢であったり、最後は海に出たいという思いだったり、そうした繋がりというものに心打たれた。

同様にして、終盤の大会のシーン。ここでずっと一人で強がってやってきたアンディが初めてジミーに頼る。ここでも人との繋がり、そして立ち去ったと思っていたJBもジミーの雄姿を自分なりの餞として写真に収める。

それら全てが繋がって、立ち退く予定だった店に活気が満ち溢れる。

個人的にこのシーンが一番好きで、今のSNSなんかが無い時代、その時代のカルチャーが広がっていく熱量みたいなものや、本物の流行みたいなものが観れた気がして単純に凄く嬉しかった。

他にも店を開くために尽力してくれた同僚、母親、ラニ、様々な人との出会いや繋がりがレイヤー的に重なっていく。

やっぱりサーフィンはただのスポーツでなく、ライフスタイルそのものなんだなと心から思えた作品でした。

ドリフト 神がサーフする場所(ところ) [Blu-ray]

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