そもそもお笑い芸人の頃から好きだったのですが、独特な感性、シュールさ、物事の視点何かが変わっている人って好きなんですよね。
そして今何故か又吉さん関連のものをYouTubeなどで見漁っているところではあるんですが、本作もそんな折に手にした一冊。
『夜を乗り越える』
この本自体は新書となっており、主に読書や文学についての必要性みたいなものが書かれているんですよね。
エッセイ的な側面もありで、その独特の語り口や例え話がいちいち面白く、シチュエーションが目に浮かぶようなディティールもしっくりくる。
個人的にも色々と考えるたちでは有って、だからこそわかるような、共感できるような示唆に富んでいる。
自分でも悩み過ぎなのかなと思う部分は感じつつ、でも、別にネガティブに悩んでいるんじゃなくて、むしろポジティブに悩んでいるんだよなとすら思っている。
周りから見れば一緒なのかもしれないけど、別に否定的に悩んでいるわけじゃなく、どうすればより楽しく、より納得感を持って生活できるのかと。だからこそ悩むわけであって、その辺のあるあるが又吉さんにもある気がして一層理解が深まりました。
映画であったり小説、アニメといったものに惹かれる理由を考えたとき、”物語”というものに惹かれていることが多いんですが、そうした物語って多岐にわたるわけじゃないですか、だからこそ面白い。
本著でも書かれていたんですが、共感できないから面白くなかったというのはまさにと思う部分で、共感出来ようが出来まいが惹かれるものがあったり、何か感じるものがあればそれだけで興味があるんだと思うんですよ。
それが時間をかけて醸造され、自分にとってかけがえないものになる可能性だってある。そう考えると共感は絶対条件では無い気がするんです。
ようは何かが自分に引っ掛かるか。
それはすぐにかもしれない何十年後かもしれない。でも、引っ掛かった時点で唯一無二になるわけですよね。自分の中では。
話は逸れましたが、では本の中ではどうなのか。
誰かからの紹介や、好きな著者、たまたま手にとってなど様々なシチュエーションがある中、読んでいく物語を通して絶対的な何かを得る時があるんですよ。
この”読んでいく物語を通して”という部分が非常に重要だと思っていて、点で見ても駄目なんです。
又吉さんも書かれていましたが、あくまでも前後の文脈や文体、そこまでの流れがあってのカタルシスがあるからかけがえのないものになる。
自分にとってのその体験は他の人には追体験出来ないですからね。
そうした体験を通して鼓舞されることも、救われることも、奮起することもあり浄化されていく。
本ならではのペースコントロールが出来るからこそ自分のペースで摂取できるというのも良いところなんでしょう。
タイトルに有る「夜を乗り越える」。文字通りそんな一助としての読書体験を通して一日一日を過ごして行ければ自分なりの幸せにも近づけるのかもしれないですね。
では。
130人が情報に流されやすい
132現状に満足している人間より
137生きていくことは面倒
169虚構を足すことによって
188優しい人はおもしろい
214「ボケ」はその人が
229慢性的に憂鬱な状態
257「井の中の蛙」という言葉