ゲームの世界に入り込む感覚。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
世界的人気の任天堂のアクションゲーム「スーパーマリオ」シリーズを、「怪盗グルー」「ミニオンズ」「SING シング」シリーズなどのヒット作を手がけるイルミネーション・スタジオと任天堂が共同でアニメーション映画化。イルミネーション創業者で「怪盗グルー」シリーズなどを送り出してきたプロデューサーのクリス・メレダンドリと、マリオの生みの親でもある任天堂の宮本茂が製作に名を連ねる。
ニューヨークで配管工を営む双子の兄弟マリオとルイージが、謎の土管を通じて魔法に満ちた世界に迷い込む。はなればなれになってしまった兄弟は、絆の力で世界の危機に立ち向かう。マリオとルイージに加え、ピーチ姫、クッパ、キノピオ、ドンキーコング、ヨッシーなど原作ゲームシリーズでおなじみのキャラクターが多数登場する。
監督は「ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー」でタッグを組んだアーロン・ホーバスとマイケル・ジェレニック、脚本は「ミニオンズ フィーバー」のマシュー・フォーゲル。オリジナル版の声の出演には、マリオにクリス・プラット、ピーチ姫にアニヤ・テイラー=ジョイ、ルイージにチャーリー・デイ、クッパにジャック・ブラックら。日本語版ではマリオを宮野真守、ピーチ姫を志田有彩、ルイージを畠中祐、クッパを三宅健太、キノピオを関智一が務める。
あまりこういった作品は観ないんですが、マリオといえばゲームの原点、個人的に始めたゲームもSFCのスーパーマリオワールドだったこともあり、とりあえず観てみることに。
結論から言うと、映画的に面白いかどうかは別として、ゲーム世界を体験できるという点において、非常に心躍る作品でした。
任天堂の宮本茂が携わっていることもあり、クオリティにはこだわりを感じました。
改めて観て思ったのが、以外にもゲームをプレイしていてもマリオの世界観って理解していなかったんですよね。
ピーチ姫をなぜ助けるのかとか、きのこの設定とか、配管工の経緯とか、マリオ兄弟の関係性とか。
この辺って極めて気付きやすそうなところのはずなのに全く疑問に思ってこなかったのが不思議なくらい。
その辺の疑問をスッと理解させてくれるようなストーリーテリング。映画内のテンポを考えると、決して長くは無い時間ながら、上手いこと大方の疑問を説明してくれちゃっているんですよ。
整合性が取れてるかとかを考えると、いまいちな部分も当然ありますが、それはゲームですから。設定云々とかよりも、ゲームとしての心地良さ、キャッチーさを鑑みれば、マリオの世界観には十分過ぎる情報量。
この作品を観ていて一番驚いたのが、自分がどれだけマリオで育ってきており、任天堂のゲームにどれほど好奇心をそそられてきたのかという事。
劇中でも、ドンキーコング、マリオカート、そういったマリオ周りのゲーム要素を感じさせるモチーフも多く、トータルでのマリオ世界を楽しめる作りになっているんですが、その気持ち良さが予想以上で。
まずサウンド、土管に入る音や、アイテムボックスを叩く音、きのこで成長するサウンドなんかもそう。
出てくる効果音やキャラクターの擬音なんかがやっぱり良いんですよ。よく言われるピコピコサウンドながら、あれだけ印象的で心躍るサウンドをよくぞ作れていたなと改めて当時を思い出しながら聞いていたり。
あとアクション的な心地良さですよね。
一つ一つのアクションが非常にシームレスでテンポよく、現代の映像クオリティと相まって、没入感がハンパ無い。
これもゲーム自体の持つ中毒性をよく表現できたところだよなと。
横スクロール、3Dを織り交ぜながら、ゲームとしてのクオリティを損なわないワクワク感や達成感が存分に盛り込まれている。
いちいちアクションとサウンドに圧倒され、ゲームをしていた時の心地良さが蘇ってくる作りが素晴らしいなと。
単純に映像としてのクオリティも高く、キャラクターの質感がメチャクチャリアルで驚いた。
毛並みや瞳の表現。アニメーションとしてもかなりのリアリティで、マリオの世界観がより質感を持って感じられたのはそういったディティールによるところが大きい気がする。
とにかく自分がどれだけゲームに救われ、マリオに楽しませてもらったのか。
それが知れただけでも大きな収穫だった気がします。
マリオ世代の方は一度観てみると、あの頃の感覚、ゲームに対する思い、蘇ってくる感覚とともに、これからのゲームとの付き合い方も何か気付きがあるかも知れませんよ。
とりあえず劇場で映画という名のゲーム世界に埋没する感覚を味わってみてください。
では。