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九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

作画から表出する空気感と質感。

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)』

前代未聞の漫画ここにあり! 2年の沈黙を破って、九井諒子ワールドの幕がふたたび開く。

竜と人、人魚と野球少年、神様と小学生――それぞれの絆を題材とした過去の6作品に加え、全38ページの新作描き下ろし作品を収録。

笑いあり、涙あり、きっとあなたが忘れていた、親と子の絆を思い出す7つ物語。収録作品:『竜の小塔』『人魚禁漁区』『わたしのかみさま』『狼は嘘をつかない』『金なし白祿』『子がかわいいと竜は鳴く』『犬谷家の人々』

ダンジョン飯を描いている作者ということで作者の名前が頭にあり、手に取った一冊。

正直、ダンジョン飯に関しては途中で読むのをやめてしまっていたんですが、この作品は、やはりというか、短編ということもあって、作者自身のチャレンジ含めた実験性を感じます。

どの作品にも、関係性であったりを重視したようなテーマを感じ、表現としての空気感を纏った作画が良いなと。

コマ割りなどからもその空気感を感じますし、何より温度感のようなものも感じるような作画。

どれも短いエピソードながら、それぞれに独特な視点が面白い。

繋がりがあるのかなと思うようなところもありつつ、実際は全然繋がっていないような世界観で、なんでそう思うのかと考えると、多分すべてに一貫したテーマみたいなものが潜んでいるからなのかなと。

ほっこりするとか人間味があるとも違う、コミュニケーションから生まれるようなある種のグルーブ感がどの作品にもある気がする。

コマ割に独特の間が与えられている感じがするし、そのコマの積み上げみたいなものがちょっとずつ話への感情を高めているような感覚。

ワンカットでのハッとするようなコマも多くて、なんか感情に訴えてくるんですよね。

中でもこのカットは好きで、構図もシンプルですし、描かれている描写もシンプルながら何故か気になってしまう。物語の始まりでこのワンカットというのが逆に興味を持つところではありますし。

墨を磨るだけなのにこのワンカットから出てくる雰囲気。まあ実際にその良さというか空気感を感じるには紙の方が良いというのはあるんですけど。

そんなエピソードが集積した短編集。なんとなく感情に訴えてくる物語が欲しい時に。

では。