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海辺のエトランゼ

作画の心地良さが際立つ。

『海辺のエトランゼ』


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 紀伊カンナの同名BLコミックを原作に、沖縄の離島で出会った小説家の卵と少年の初々しい恋を描いた劇場アニメ。

小説家の卵・橋本駿は、ある事情で実家を飛び出し、離島の民宿に身を寄せている。

ある日、海辺で物憂げに佇む少年・知花実央のことが気になった彼は、軽い気持ちで声をかける。

若くして両親を亡くし親戚の家に預けられていた実央は、ひとりの人間としての自分を見つめてくれる駿に好意を抱いていく。

2016年発売のドラマCD版に続き、駿役を村田太志、実央役を松岡禎丞が担当。原作者の紀伊カンナが自ら監修とキャラクターデザインを手がける。BLアニメレーベル「BLUE LYNX」の1作。

以前からプライムで気になっていた作品ではあったんですが、何も調べず観たらBLものだったんですね。

映画や小説なんかでのBLものはちょいちょい目にしてましたが、今までそういったアニメや漫画は見たこと無かったんですよね。

原作ありの映画化ということで、時間は1時間弱と非常に観易い感じ。

まずこの作品の目に留まったところというか、肝と言いますか、サムネイルから感じたていたこと、そう、とにかく作画と描写が美しい。

夏のような気候になってきたこともあり、水辺と青空、これだけでも非常に心洗われる映像なわけでして、とにかく季節と併せて相性が抜群に良い。

今のアニメーションと比較してもその美しさは目を見張るものがありますし、瑞々しい人間関係も含め、とにかくシズル感があって心も和む。

個人的にBLものってそこまで得意じゃなくて、生々しさがあればあるほど敬遠してしまうところがあったんですよね。

とはいえ一物語として観れば名作も多々ありますし、共感性が無いわけでも無い。ただ作品的な親和性が自分とは合い辛いと言うだけの事であってという程度のこと。

ですが、なぜかこの作品には不思議と惹かれてしまった。

作品自体のテーマ性もそういった不思議と惹かれる関係性が描かれていますが、本当に出会いとはそういうものだし、人生で感じる機微ときっかけというのもこういった直観によるものが大きいのかもしれません。

あと、上映時間が短いということもライトに観れるという意味で、ちょうど良かったのかもしれません。

とはいえBL要素はかなりありましたし、リアルな描写もあるのは事実。それでもその状況含め、何だかスッと観れてしまいましたし、気持ちがわかる部分もあったしで、そんな自分に驚きすらあったくらい。

結局人が考える嫌悪感とかってあくまでもその人自身が考え、育まれてきた擦り込みみたいなものであって、本質的にどう思っているかということはわからないんだろうなと思う。

逆にそういった許容度が低い人というのは周りとの上っ面の調和だけを求め、器の小ささを表出させてしまっているだけ。本当に選ぶべき選択は自分にしかわからないし、それが導いてくれた縁というのはかけがえのないものなんだと思えてくる。

作中に出てくる他の人間模様に関してもそうしたことを感じさせてくれるし、関係性の余白を残してあるからこそな部分も丁度良く、雰囲気に浸れる。

誰と時間を過ごし、誰を思い、何を思ってきたのか、バックボーンをカットバックで見せる演出にもグッとくるところがあったし、ちらちらと垣間見えるそれぞれの過去の雰囲気も空気感を感じられて良かった。

個人的に一番良かったのが終盤での帽子が飛ばされ、被せてあげるシーン。

帽子が飛ばされるということの意味、それを被せてあげるということ、爽やかに吹き抜ける風を感じながら、過去の記憶と未来が繋がっていく。

そして何より感じた『帽子を被せる』という行為そのものが持つ不思議な魅力。

何なんでしょうね、この帽子を被せるシーン。好きとか可愛いとか、そういった感情を通り越して、愛おしいと思ってしまった。

意外にこの行為って誰にでもやるものじゃなくて、限られた場面でしかやらない行為なんだなと思いつつ、その偶然性と必然性、あのシチュエーション込みの全てに胸が熱くなりました。

被せる相手を真に思うというか、相手の事を本当に考えているんだなということが、ひしひしと伝わってきますし、些細な行為ながら優しさや愛情、そういった気持ちが含まれてしまう無意識の表現が出てしまうからこそ、ハッとさせられるのかもしれません。

そんな感情を誰もが持てるよう、誰かと比較した価値観の迎合で無く、自分オリジナルの価値観をもう少し大事にしてもいいのかもしれませんね。

では。

 

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