フィーリングは接点から生まれる。
『モンク&モンク・イン・ヨーロッパ』
その希有な才能とカリスマ性によって20世紀最高のジャズミュージシャンのひとりに挙げられるアメリカのピアニスト、セロニアス・モンクの円熟期の姿を収めた1968年製作のドキュメンタリー2部作の第1作。
ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」やコロムビアレコードのレコーディングスタジオで、モンクが自身のカルテットを率いてセッションを繰り広げる。
ステージでの激しいパフォーマンスのみならず、人懐っこい笑顔を浮かべて庇護者ニカ(パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター)らと会話に興じる姿など、ミステリアスな彼の素顔にも迫る。
20世紀最高のジャズミュージシャンのひとりに挙げられるアメリカのピアニスト、セロニアス・モンクの円熟期の姿を収めたドキュメンタリー2部作の第2作。
1968年のヨーロッパツアーを追い、ロンドン、ストックホルム、コペンハーゲン、ベルリン、マインツ、ロッテルダムでのステージを記録。唯一無二の圧倒的な演奏を繰り広げるモンクと、迫力たっぷりのパフォーマンスでそれに応える実力派ミュージシャンたちの姿など、ステージの熱気を余すところなく伝える。
さらに、モンクがホテルでくつろぐ様子や街を歩く姿など、プライベートな姿も映し出す。
モンクを知ったのは何かの雑誌を読んでいた時だったような。
存在感あるビジュアルだなというのが当初の印象で、そこから聴き出してみると驚きの演奏っぷり。
ピアノというと華麗にしっとりと弾くイメージが強かったんですが、モンクのそれは全く別物。まるでドラムを叩くかのようなグルーヴィーで粗野な感じ。
それでいて奏でるメロディには繊細さもあるし、可憐なタッチもある。何より、メロディのアンバランス感というか、一聴すると音楽になってるのかわからないし、雑音にすら聴こえかねない、音の連なりに聞こえることもあるかもしれない。
それでもセッションした時の抜群のフィーリングと、緻密に構成された音の塊に一気に気持ちを奪われた。
そこで本題の映画だけれど、モンクの動いている、弾いている、過ごしている、そんな日常や音楽との接点、人々との生活から見えてくるリアルが良く詰まっていると思う。
よく、奇行が目立つとか言われるけど、それはその通りかもしれないなと思うわけで、凄く変わっているというほどには見えないけれど、あれっ、と思うようなシーンは間々ある。
その行動の一つだと思うけど、演奏中にうろついたり、急に演奏を始めたりといったりもしばしば。これは驚かされましたね。
演奏に関しても音にハッとさせられるというか、音の繊細さと打感の抜けの良さが際立つ気がする。音に対して相当こだわりがあったようですが、その賜物がこのフィーリングなんだろうなと思うと、積み上げることは何事も重要だなと。
あと演奏で目に付いたのが足でリズムを刻むシーン。
これもやたらと出てきますがその刻み方が刻むレベルを超えている。まるでバスドラマでも踏むかのようなリズミカルな踏み込み。これを見て、手元アップのラフな弾き込みを見ると、それはまさに形を変えたドラムそのもの。
この辺のダイナミズムと繊細さのハーモニーはマジで見ていて心地良いですね。嫌いな人は嫌いかもしれませんが、好きな人には聴けば聴くほど良さが出てくる気がする。
『モンク』と『モンク・イン・ヨーロッパ』を続けて観たんですが、印象としては前者がモンク個人へのフォーカス、後者がその他メンバーとの関係性を含めた音楽性、そんな感じですかね。いずれにせよモンクに少しでも興味がある方は、観てみることで一層興味深く曲を聴けるかと思います。
では。