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オーディション

表現がいちいち怖い。

『オーディション』

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映画のオーディションにやってきた女性の中から再婚相手を探そうとした中年男性が辿る、恐怖の体験を描いたサイコ・ホラー。

監督は「DOA〈DEAD OR ALIVE 犯罪者〉」の三池崇史

村上龍による同名小説を、「BLOOD〈狼血〉」の天願大介が脚色。撮影を「DOA」の山本英夫が担当している。主演は、「冷たい血 AN OBSESSION」の石橋凌と「DOG―FOOD」の椎名英姫

第29回ロッテルダム国際映画祭国際批評家連盟賞、同オランダ批評家連盟賞受賞作品。

今でこそ大作を撮るイメージがある三池監督ですが、初期の頃のエロ、グロ盛り沢山な方が個人的に好きでして。

そんな中でも本作はマジで怖い一作。

基本的なショットは固定カメラでの撮影によるもの。その固定のカットが逆に不穏さを際立たせるといいますか、とにかくなんか嫌な感じ、Jホラーのそれとも違う嫌な感じは本当に独特なもの。

当時のフィルムの質感も相まって、見れば見るほど、後半に行けば行くほどゾッとする展開が待ち受けています。

時代背景もあると思いますが、当時の男性優位的な価値観やライフスタイルなんかも今見ると違和感しかない。

違和感と納得感が共存している所なんかも面白くて、変わらない部分と変わった価値観ってやっぱりあるんだなと思ったり。

個人的に生きることを正、死ぬことを誤とする考えって前からしっくりきていなくて、その意味で本作の本質な状況は多少なりとも理解できてしまう。

なぜ生きるのが良いことなのか、「生きてれば良いことあるよ」などと言えてしまうのは不自由なく生きてきた人のセリフだと思うし、作中で麻美に言っている事もまさにそう。

本当に辛い思いをしてきた人にとっては気休め程度にしかならず何も響かない。根底にそうした価値観を持つことは大切かもしれないけど、広い視野を持った可能性を考えないところにこそ落とし穴がある。

そして本作でのその落とし穴は想像することができないほどに恐ろしく深かった。そう考えると本作の展開は納得しかない。

それにしてもこの作品内にはゾッとする場面が多過ぎで、心底驚かされる。

静と動の演出が絶妙で、切り替えが唐突だからこそハッとする。構成上のズレや挿入もサイケな感じで好きだし、人の中にあるドロドロしたものをそのまま見せられている感じすらする。

実際終盤に出てくる食べ物なんかも文字通りのドロドロ。あれは食べ物と呼べるのか、思い出しただけでも気持ち悪くなってくる。

終盤の展開も考えるとグロ、ゴア表現が苦手な人は控えた方がいいと思いますが、そんなに嫌な印象を受けないのが本作の変な所かと。

日常と非日常は紙一重だし、何かしらそういった黒い部分に心当たりがあるからこそ、そこまで嫌さを感じないのかもしれません。

とはいえかなりハードですし、ラストもあの後どうなるのか、想像するだけで恐ろしいところです。