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隠し剣 鬼の爪

形式美とその残酷さ。

隠し剣 鬼の爪

ポスター画像


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人気時代小説作家、藤沢周平の剣豪小説「隠し剣」シリーズの「隠し剣鬼の爪」と、人情時代小説「雪明かり」を原作に、「たそがれ清兵衛」の山田洋次監督が映画化。

幕末の東北の小藩。秘剣を身につけた下級武士、片桐宗蔵は、かつて好意を抱いていた奉公人きえが病に倒れたと知って引き取り、心を通わせていくが、藩の江戸屋敷で謀反が発覚し、お家騒動に巻き込まれる。

共演は高島礼子小林稔侍、田中邦衛、倍償千恵子ら。

冒頭の画的なシーンに始まり、とにかく画が美しい。

なんで時代劇を見ていると美しいと思ってしまうのかと思う時が多々あるんですが、その一つに様式的な美しさが内包されているからかなと思っています。

本作でもそれはあって、昔の身分制度アイデンティティとしての存在、家の作りであったり、着るものであったりといった生活における様式。そういった様式的な美しさがあるからこそ画的にも美しく見える。まあ山田監督の画角へのこだわりも当然あるんでしょうけど。

特に作中での雪のシーンは美しかった。その時に存在していたであろう気持ち的な儚さと雪の降る情景が重なり、ただただ美しかった。

そしてそこにいた松たか子も美しかった。松たか子ってどことなく抜けているというか完全な美としてのイメージよりも、雰囲気としてのそれがある女優さんだと思っていたんですが、本作を観るとそれ以上に美しい。色の白さと着物の色味、そして古風な顔であったり、表情、それら全てを含めて絶対的に美しく見える。

最近時代劇を観ていて思ってきたことがあって、それは自分が時代劇に求めているもの。

『剣豪』と『儚さ』。

剣豪というのは今は無き、武芸でもって命を懸け、対峙し、誇りを持って生きるカッコ良さ。これって言い換えると自分の生き方に責任をもって生きることだと思っていて、一つ一つの判断や所作ということを意識しない現代において逆にカッコよく見えるというか、そういう生き方の方が美徳があるというか。そんな趣が武士にはある気がして、憧れてしまいます。

あと純粋に殺陣も含めたアクション的なカッコ良さがある。これも他の武器とは違っている気がしていて、なんというか個人としての研鑽や姿勢そのものが剣技に現れるというか。とにかくその人でなければ出来ない感が半端ない気がして、故にらしさが際立つ。そういった諸々を包括したカッコ良さがあるから惹かれる。

儚さというのもある意味似たところもあって、現代に無い、人間としての儚さそのものがある気がして、そこにも惹かれる。決して華がある映画でも無いし、娯楽作ではないけども風情ある感じ。

原作の藤沢周平作品にあるそういった感じは踏襲しつつ、結構いい感じに仕上がっている気がします。

では。