ある一言に驚愕する。
『十角館の殺人』
今まで読んだミステリー小説の中でもかなりハッとさせられた作品でした。
ミステリー物によくあるのが、複雑すぎて気付かないトリックとか登場人物がわからなくなるとか、途中でなんとなくわからなくなってしまう作品ってあると思うんですよね。
そんな中、本作はよく整理され、わかりやすく、面白い。
物語としては島と本島の話が並行して進んでいくんですが、そのテンポ感が非常に心地良い。
描写も鮮明にイメージできるし、あっという間に読めてしまいます。
そして何より驚かされたのが終盤でのある人物のある一言。
読んでいて違和感を感じつつ、少し経ってからふと思い返す。その時に繋がったはずの思考が一変し、一瞬にしてわからなくなる。
そこから頭の中で一つ一つ整理していった時にハッとさせられ、ラストへ一直線。
一回通り過ぎて、また戻り、アレッとなるその感覚は中々忘れられるものじゃない気がします。やはり名作と呼ばれるにふさわしい作品じゃないでしょうか。