スタイルを持つということ。
『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』
謎に包まれた天才デザイナー、マルタン・マルジェラに迫ったドキュメンタリー。
これまで公の場に一切登場せず、あらゆる取材や撮影を断わり続けてきたマルジェラが、「このドキュメンタリーのためだけ」「顔は映さない」という条件のもと制作に協力。
初公開のドローイングや膨大な量のメモ、幼少時に作ったバービー人形の服などのプライベートな記録を見せながら、ドレスメーカーだった祖母からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、エルメスのデザイナーへの就任、そして51歳での突然の引退など、キャリアやクリエイティビティについてマルジェラ本人が語る。
監督は「マグナム・フォト 世界を変える写真家たち」「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」などで知られるドキュメンタリーの名手ライナー・ホルツェマー。
やっぱりマルジェラは特別でしたね。
洋服に興味を持った時にメゾンブランドで着たいと思った初めてのブランドはマルジェラでした。
それもあってか思い入れもあり、そんなマルジェラ映画とういことで行ってきました。
本作は以前にあった作品と違って実際にマルジェラが製作に関わっているとのこと。
まさか顔出しするのかと思われましたが、それは無く、それでも実際のインタビューや工房の様子も見られました。
年を追って解説していく感じのドキュメンタリーだったんですが、見れば見るほど年代ごとの作品のコンセプトやイメージが異なる。
それまでは白であったりタグであったりといったイメージが強く、そういった一貫性の中で感じるものがマルジェラだと思っていたのかもしれません。
それが実際は色々な試行錯誤や経験を経てそのらしさを確固たるものにしていったんだなと思うと非常に感慨深い。
コレクションの様子とかも挿入されていたんですが、音楽の感じはマルジェラらしい選曲でしたし、あの辺は映画館で観れて良かったなと。
工房のシーンで印象的だったのが自分で制作したものや転機になったものをアーカイブしているということ。意外にこういうものを残してるんだなと思うものが多かったし、そうしたものからインスピレーションを得ることもあるんだろうなとも思った。
映画としてよりもやはりドキュメンタリーとしての性質の方が強い作品ですが、年代ごとの語られてこなかった様々な気付きや発見があって面白かった。
洋服って着る人もそうですが、作る人の世界観あってのものでもあるなと改めて思ったし、そういうことも含めてやっぱりマルジェラカッコいいなと思わされました。
いやぁ、やっぱりマルジェラ好きですね。