宮崎駿はやはりアニメーションの人
1979年に製作・公開された「ルパン三世」劇場用映画のシリーズ第2弾で、宮崎駿監督の劇場初監督作品として知られる名作アニメ。
盗み出した大金がゴート札と呼ばれる偽札であることに気づいたルパンと次元は、ゴート札の秘密を探るため、カリオストロ公国へやって来た。
そして謎の男たちに追われていた少女クラリスを助けるのだが……。クラリスの声を演じるのは、宮崎監督の「風の谷のナウシカ」でナウシカ役を務めた島本須美。
2014年に5.1chサラウンドにも対応させたデジタルリマスター版が劇場公開。2017年1月には体感型上映システム「MX4D」に対応したMX4D版が公開され、2019年11月には「MX4D」「4DX」の2タイプの体感上映システムに対応した4D版が公開。2021年10月には「ルパン三世」アニメ化50周年を記念して4K映像+7.1chサラウンドの特別仕様で公開(短編「ルパンは今も燃えているか?」と2本立て)。
個人的にルパン三世って思い入れのある作品で、漫画に始まりアニメ、映画と色々見てきた。
中でも本作は宮崎駿が監督していることもあり、名実ともによく知られているわけでして。そんなカリオストロの城なんですが、映画館で観たことが無かったのでこの機会に観に行ってきました。
個人的な感想は以前観た時と変わらずで、宮崎駿はアニメーションの人だと感じたということ。そして自分の考えるルパン三世のイメージとは少し違うということだった。
なんというかアニメーションの細部であったり、こだわりの部分はかなり感じられるし、映画としても純粋に面白いとは思うんです。
だけど、ことルパン三世となるとなんか違うんだよなと思ってしまうところがあって。
まあそれぞれが考えるルパン像は違うと思うし、実際のルパン像があるのかもわからない。けど自分が当時影響を受けた時に観たニヒルで洒落っ気があり、ハードボイルドな印象が強過ぎて。さらにそのルパンへの憧れがあり過ぎた為にそう思うのかもしれないんですが、とにかく大人になり、落ち着き、丸くなってしまったルパンというのがどうしても受け入れられなかったんだと思います。
実在する人間であればその深みや変化というのも受け入れられるのかもしれないけど、アニメの中の架空の人物となるとそういったアイコンとしてのイメージを変えるのは難しいのかもしれないと思ったり。
ただ逆に映画館で観たことで感じたのが、アニメーションとして素晴らしいということ。これはルパンのようなアイコン化されたキャラクターじゃなくても成立するだろうなと思わされるほど、世界観は宮崎駿だった。
観に行く前に岡田斗司夫のカリオストロの城特集を観てから行ったんだけど、そういった細部への気遣いやこだわりを知ってから行くと一層宮崎駿の映像に懸ける思いみたいなものが伝わってくるし、そういう意味での楽しみ方は存分に出来た気がする。
余談ですがその動画で紹介されていた、リトルニモという海外原作のプロット版アニメーションは岡田斗司夫さんが言っていた通り素晴らしく、震えるほど驚いた出来でした。これが当時望む形で公開されていたらと思うと、改めて宮崎駿のアニメーションは素晴らしいと感じざるを得ません。
話は戻りますが、その辺含めて考えると自分はルパンが好きで、宮崎駿も好きなんだけど、その化学反応を楽しむというよりも、別個での作品性が好きなんだという結論に至りました。
同時上映されていた『ルパンは今も燃えているか?』もその感はあって、試みは面白かった。実際に、このタイトル回以外の話も織り交ぜられていて、メチャクチャ端的に懐古できる。
ただこれも、映像が綺麗になり過ぎたというか、無理くり感があったというか、これも自分の受けたルパンへの情景がそうさせるのか、何とも言えない感情であったのは確かでした。
ルパンアニメ化50周年記念ということで地上波などでも色々公開されるそうなので、懐かしみつつ、色々と振り返って楽しもうと思います。