熱さと生々しさとカッコ良さと。
『仁義なき戦い』
深作作品というと個人的な印象はとにかく『生々しい』。
何が生々しいのかと言われると色々な要因があるんだと思うけど、扱うテーマ、役者、構図、音楽、美術。とにかくどれをとっても生々しく感じてしまう。
恥ずかしながら本シリーズ、『仁義なき戦い』は名前こそ知っているものの初見だったんですが、これまた生々しく、とにかく衝撃的でした。
音楽や作名等は私世代でも色々な所で目にしているし、それこそパロディも多数出回っているので知らないということはあり得ない。
それでも観るとなるとどこから手を付けていいのか、どういったスタンスで観ればいいのか、作品自体の古さや役者人のラインナップにも躊躇してしまっていました。
それこそ何の気なしにネットフリックスで見つけ、観だしたら最後、メチャクチャ面白い。
単純に映画としてのクオリティもさることながら、役者人の演技が素晴らしく、あっという間に5作品とも観終えてしまいました。
漫画とかもそうですけど、男の性なのか、争いがあり、そこに色々なタイプの人間が出てくる時、それだけでワクワクするというか、自分は誰が好きなのかとか、誰に共感できるのかといったところが楽しい気がします。
本作の凄いところはそういった群像劇や抗争を中心としながらも、画作りに緊張感やリアリティがあって、それを盛り立てる意味での銃撃戦がえげつない。
本当の抗争ってこういう感じなんだろうなというくらい泥臭く、まさに死に物狂いといった印象の場面の数々。
脚本の素晴らしさがそう見させている部分もあるだろうし、実録というのも確実にあると思う。
オマージュやパロディがされるだけのことはあって、それこそ音楽、これは聴いた瞬間に任侠、仁義、ヤクザ、悪、抗争、そういった類のものを即座に連想させるし、要所要所で入るストップモーションを用いた演出も、仁義ならでは。あれを映像的に使いたくなってしまうところは本当に良くわかる、それくらい印象的だしカッコよく見える。
そして、かなり影響を受けたのが広島弁。広島弁自体に怖いイメージはあったしそのイメージもこういった作品からきていたのは間違いないかと思うけど、それを別の意味で覆すくらいにカッコよく、観たら絶対に使いたくなる。
挙げればキリがないくらい発見と驚きがある映画ですが、それを成り立たせているのは役者人あってこそ。役者それぞれの個性、演技、そういったものを観ているだけでも楽しめるかと思います。
個人的にはスタンスは松永、ビジュアルは武田が好みでした。
余談ですがネットフリックスでは何故か頂上作戦のみ無い状況。それだけはレンタルか他のストリーミングでみるしかないという謎の状況なのですが、これは何とかならないものか。