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ジュリアン

 未だかつてない圧倒的な緊張感。

「ジュリアン」

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映画『ジュリアン』1/25(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開!予告編

本作が長編デビューとなるフランスの新鋭グザビエ・ルグランが、第74回ベネチア国際映画祭で最優秀監督賞を受賞したヒューマンドラマ。

離婚したブレッソン夫妻は11歳になる息子のジュリアンの親権をめぐって争っていた。ミリアムは夫のアントワーヌに子どもを近づけたくはなかったが、裁判所はアントワーヌに隔週の週末ごとにジュリアンへの面会の権利を与える。アントワーヌはジュリアンに、共同親権を盾にミリアムの連絡先を聞き出そうとするが、ジュリアンは母を守るために必死で嘘をつき続けていた。アントワーヌの不満は徐々に蓄積されていき、やがてジュリアンの嘘を見破るが……。

とにかく場面から伝わってくる無言、無音の圧力が凄まじい。

今まで色々な映画を観てきましたが、この意緊張感は初体験。全体を通して音楽が使われておらず、環境音のみで構成されていて、その環境音でさえヒリヒリするし、観ていて痛々しさすら感じてしまう。

カメラワークも静と動が巧みに使い分けられていて、特に静のショットが非常に効果的に緊張感を高めている気がする。

足元だけを映すショットや風景を切り取ったショットなど、どれもその背景に何かあるんじゃないかと思わされる作りで、観ていて良い意味で気持ち悪い。

脚本も見事で、それぞれの前提条件みたいなものをぼかし、真実自体をぼかすあたりも秀逸。観終わった後の後味の悪さと考えさせられる余白が多く残されている点も非常に良かった。

各ショットから見えるそれぞれの視点が見つめる先は結局主観的な視点であって、それはつまり自分本位であるということ。人って家族であろうが、恋人であろうが、友人であろうが、結局は自分を中心に考えていて、それは年齢と共に確実に進行していく。

家族とは、愛とは、生きるとは。そんな誰にでもある日常について実にソリッドに切り込んだ作品だったような気がする。

とにかく作品を通してのソリッドな緊張感。あくまでも日常というフィルターを通しての緊張感をここまで鋭利的に表現しているところが素晴らしい作品だと思う。

それほどに実は現代の日常はヒリついてしまっている。そんな中で今の子供は正しく成長できるのか。ホント深い社会の闇だなと思う。