Blcrackreverse

Diggin LIFE 掘って掘って掘りまくれ!

CURE

普通だと思っている人間ほど怖いのかもしれない。

「CURE」


「CURE」予告

奇妙な殺人事件が立て続けに発生していた。それぞれの事件の犯人につながりはないが、犠牲者の首から胸にかけてがX字型に切り裂かれていること、いずれの加害者も事件直後に犯行現場付近で逮捕されること、そして犯行の直前まで犯人に明確な殺意がなかったことが共通していた。

やがて、一連の事件に関連のある人物として記憶喪失の放浪者、間宮が浮かび上がる。マインドコントロールによる猟奇殺人を描くサイコサスペンス。

 この狂気じみた空気感はどこから来るのか。黒沢清監督作品の特長だと思われる「なんとなく不穏な感じ」。本作はその真骨頂といえるべきところがあって、ゆえに名作とよばれているんだと改めて感じた。

普通の人間が内包する、善と悪、この映画を通して感じるのが異常と正常、主観と客観、幸せと不幸、といった相反する二元論を独特な切り口で見せている点が非常に面白い。

人の色々な境界線って、意外にあいまいだし、それが人間である気もする。本作で間宮が度々問いかけてくる「あんた誰?」という問いに明確な答えが見出せない作中の人々がおり、同時に自分自身で自問自答してもその答えがわからないといった作りもある種の恐怖を抱かせる。

視覚的、聴覚的に不安を煽る手法は黒沢監督の十八番だと思うが、本作でも存分に、いや充分過ぎるほどに堪能できる。

本作の「CURE(癒し)=解放」と捉えられる構図も面白くて、自我を抑え、社会に適応しようとした結果、殺人を起こし、社会不適合という結果に陥ってしまうくだり。

先ほどの相反する二元論の話じゃないけど、人間心理って全てにおいて振り子のような構造をしていて、抑え込まれた感情はいずれ形は違えど噴出するという、怖いようでいて誰しも無意識にやってしまっている行動を淡々と見せる演出にどぎまぎする。

中盤の食事シーンが最も印象的で、不安や焦り等の感情から食事が全く手につかない、それがラストでの食事シーンでは見事に間食し、コーヒーまでもらってしまう。表情も穏やかになっている気がするので、一見するとまともな感覚を取り戻したように思えてしまうんだけど、それ自体がサイコパス

サイコキラーを描いたサスペンスものと捉えてしまうとそれまでだけど、それ以上に日常に潜む正常と言う名の異常性こそが最大のサスペンスな気がする。

CURE [DVD]

CURE [DVD]

 
CURE キュア [DVD]

CURE キュア [DVD]