のんきっていい言葉だ。
「横道世之介」
いい奴ってこういう人のことを言うんだろうなって心から思う。
高良健吾って顔は良いのに刺々しくなさそうだし、本当はオシャレなのにそうじゃない感じもあって、世之介にぴったりな配役だった気がする。吉高由里子の役も彼女じゃないと務まらないだろうし、その他の配役も適材適所だった。
世之介はこういう人が一人は周りに欲しいなってことを体現しているような人で、とにかく悲観的に落ち込んでいるところが無いところがいい。純粋で真っ直ぐで、攻撃性が無くて。優しいのとはまた違うところが良くて、序盤のダブルデート的なところでハンバーガーを食べる時、自分でケチャップやらマスタードやらを先に使っちゃう所なんかを観てもそれとは違うことがわかる気がする。でもそこが本当に良くて、いい人なんて大勢いる中で、いい奴になれる人ってそんないない気がするから面白い。
作中に出てきた「のんき」って言葉がそれを一言で表していて、聞きようによっては間抜けとかとろいとか思われそうだけど、それ以上にいい言葉な気がして、心が洗われた気がする。
映画自体が長いし、無駄に感じる部分も多少あるように感じたけど、それも含めての世之介。せかせか生きたり、苛立ったり、無駄を省くことって有意義なようで無意味なのかもって思わせてくれるところに本作の良さが詰まっていた気がします。
気温が下がり始めセンチになりそうな夜に観ると元気がもらえる。そんな作品のような気がします。
そしてやっぱり高良健吾好きです。
エンドロールで流れるアジカンの「今を生きて」が映画を観終わった自分には少し特別に聞こえたことも今を生きている証拠なのかもしれないと感じたりします。
ASIAN KUNG-FU GENERATION 「今を生きて」