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ある子供という映画

 

ある子供 [DVD]

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20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。

   子どもが子どもを生んで、親になる。少女は母性に目覚め、かいがいしく面倒をみることでひとつ大人への階段を上るが、男は少年のまま、社会とかかわることもなく、その日暮らしで満足している。そんな主人公の人生の転機をドキュメンタリーのように淡々と追っていくのが本作。主人公が愛する人を失い、焦り、取り戻そうと必死に行動する姿をカメラはジッと映し出す。過剰な演出、説明的セリフはは一切ない。それゆえに、彼の変化、成長が心に染み渡るように伝わってくる。1999年『ロゼッタ』でカンヌ映画祭パルムドール大賞受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督は、2005年、本作で2度目のパルムドール大賞を受賞した。

 

★★★★★

 

ストーリーとしては若いカップルの間に子供ができ、その喜びに浸る彼女、それとは対照的に全く今までと変わらない彼氏。その彼氏がお金欲しさに子供を売ってしまい・・・というストーリー。

 

子供と親の境界線。

 

これは体験しないとわからないことだが、至極曖昧なものだと思う。

 

子供が産まれれば親になる。こういってしまえば当たり前のように聞こえるが、当人の意識が突然変わるわけもない、というのも事実である。

 

この映画では、その心理描写を適切かつ、リアルに描かれている。

 

その日暮らしで生活してきた、主人公にとって、全ての出来事は一過性のものに過ぎない。お金こそが全てであるが、それにでさえ、少しの価値も見出していない。

 

子供に対して、親自身が育ってきた環境を押し付けるということはしばしば起こりうる、これは当然の摂理なのかもしれない。

 

なぜなら、人は体験や経験からしか真には学べないから。

 

ただし学ぶ(体験や経験する)ことで、変化が生まれてくる。この映画はその過程と結果を上手く表現できていると思う。

 

これはベルギーとフランスの共作映画で、個人的にフランス映画があまり好きではないのだが、あっという間の映画だった。

 

終始BGM等の無い無音状態がストーリーへの没入に効果的だし、各シーンでの心情描写も素晴らしい。

 

久しぶりに映画としての映画を楽しめました。