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蜂蜜と遠雷

音の迫力とクラシックの凄み、それを奏でる天才と努力の賜物。

『蜂蜜と遠雷』

ポスター画像


映画『蜜蜂と遠雷』予告【10月4日(金)公開】

直木賞本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の同名小説を、松岡茉優松坂桃李、「レディ・プレイヤー1」の森崎ウィンら共演で実写映画化。ピアノの天才たちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選会に参加する若き4人のピアニストたち。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなったかつての天才少女・栄伝亜夜は、7年の時を経て再びコンクールへの出場を決意する。音大出身だが現在は楽器店で働くコンクール年齢制限ギリギリの高島明石は、家族の応援を背に最後の挑戦に臨む。名門ジュリアード音楽院在籍中で完璧な演奏技術と感性を併せ持つマサル・C・レビ=アナトールは、優勝候補として注目されている。そして、パリで行われたオーディションに突如現れた謎の少年・風間塵は、先ごろ亡くなった世界最高峰のピアニストからの「推薦状」を持っており、そのすさまじい演奏で見る者すべてを圧倒していく。熱い戦いの中で互いに刺激しあい、それぞれ葛藤しながらも成長していく4人だったが……。松岡が亜夜を演じるほか、松坂桃李が明石、森崎がマサルに扮し、映画初出演の新星・鈴鹿央士が塵に抜てきされた。監督・脚本は「愚行録」の石川慶。

 正直侮ってました。

恩田陸作品は描写が好きだったのでどんな仕上がりになっているのか気になり、劇場で観たいと思っていました。

扱われる題材はピアノを用いたクラシック音楽

今までも何度かクラシックにハマったことはありましたが、今回ほどクラシックに衝撃を受けたことは無かった気がします。それくらい、音の繊細さや表現の奥行、完成度に驚かされたことは無かった気がします。

ちなみにこの作品はそれぞれの演者の為に別の講師を用意し、徹底的に音楽指導したらしく、それをあそこまでの形にできる演者も素晴らしいなと思いました。

この映画の原作は上下巻で1000ページを超えており、2時間足らずの映画で全てを表現するのは間違いなく無理。それでいて、原作者の希望により、続編などは作らないでほしいとのこと。更に音楽を扱う映画での最大の焦点になるのがその表現。この辺を全てクリアし、見事に一本にまとまっているところがまず凄い。

監督を見てみると愚行録なんかを撮っている石川慶という監督でした。この監督は今後チェックしたいところです。

役者人も素晴らしく、松岡茉優を筆頭に松坂桃李森崎ウィン、そして一番驚いたのが新人の鈴鹿央士。新人とは思えない演技力で、つかみどころのない役どころがぴったりとハマっていたような気がします。

この鈴鹿央士演じる風間塵の天才性を中心に話が進んでいくんですが、それに共鳴する形でそれぞれがそれぞれのやり方で成長し、覚醒していく様はとにかく気持ちが良かったです。

指先だけで奏でるただの音のはずなのに、こんなにも奏者次第でニュアンスが変わるのか、モチベーションや感情でこんなにも音に迫力が加わるのか。とにかく音を出すということから音楽を奏でるということに関してのプロセスが圧巻でした。

音楽とイメージの関係性も面白く描かれていて、我々視聴者や劇中の観客というのはあくまでも「音楽→イメージ」を膨らませていく。対して奏者や音楽を作る側は「イメージ→音楽」を描いていく。

この辺が見事に描かれていて、脳内で音がイメージへと昇華された時のカタルシスが凄く、メチャクチャ感動しました。

この映画の終盤~ラストが特に好きで、天才と努力の人、それぞれに対していい結末を迎えるし、とにかくハッピー。そしてラストの終わり方がこれまたスカッとするのに余韻が残る。遠雷と拍手が頭の中でシンクロし、興奮もピークに達する。多くを語らず、それでいてあそこまで潔く終わる映画は珍しと思った。

とにかく劇場の音響で聴くと何割増しにもなる映画だと思うので是非劇場で観てほしいものです。

併せて原作も早く見たいところです。

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

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蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

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『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集+1(完全盤)(8CD)

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