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大和(カリフォルニア)

反発は自分自身の定まらない距離感。

大和(カリフォルニア)


宮崎大祐監督『大和(カリフォルニア)』

「夜が終わる場所」の宮崎大祐監督、「霊的ボリシェヴィキ」「たとえば檸檬」の韓英恵主演による、神奈川県大和市を舞台にした音楽青春映画。

厚木基地の住所はカリフォルニア州に属しているという都市伝説がまことしやかに囁かれている神奈川県大和市

十代のラッパー・長嶋サクラは米軍基地とともに発展をしてきたこの町で、日本人の母と兄、そして母の恋人で米兵のアビーに囲まれて暮らしている。アメリカのラッパーに憧れるサクラは、ラップの練習とケンカに明け暮れる毎日を送っていたが、そんなある日、カリフォルニアからアビーの娘レイがやってきた。レイとサクラは大好きな音楽の話をきっかけに徐々に距離を縮めていくが……。

冒頭から物々しい幕開け、この時点で何が起きるかわからないけど不穏な空気感だけで間違いないと思わされる。それに冒頭のこの挿入、なんかすごい良かった。

とにかく生々しい音作りと、暴力シーン。要所要所に挿入される飛行機音などが映像のエッジとして鋭く迫ってくる。

この作品は個人的に「距離感」と「慣れ」の話だと思っていて、その辺が見事に表現されている気がする。

サクラは周りの人との距離感がわからないが故に反発や暴力的な行動に出るわけだし、音楽との距離感がわからないから上手く歌えない。

慣れている生活だから疑問も抱かないし、次第に周りのことに慣れていく。

それでも色々と葛藤や憧れはあるんだけど、距離感がわからないから結局見失う。

そうやって色々な人と出会い、理解し、分かりあいながら自分らしさみたいなものを見つけていくところに凄く共感できる。

その辺の演技についてサクラを演じている韓英恵は見事だと思うし、最後の子供と話すシーンなんかは距離感を自分なりに消化した姿が表情に出ていて、かなり良かった。

その他のキャストも絶妙にハマっていて、とにかく飽きない。

距離感に対しての反発としてヒップホップをメインに据え、実質的距離感としてアメリカを引き合いに出す。そこに日常という慣れが加わった時、見えてくるものが明確になって、ホント上手くできていると思う。

地元に近い大和市ということもあって、非常に親近感が湧いたし、単純に映画としてメチャメチャ面白かった。それに出てくる音源も良くて、ホントいい映画体験でした。

映画館のリアルな音響で聴くことをおススメします。これほど生々しいのは久しぶりです。そして痛い。