この映画はずっと観たいと思っていたんですが、中々観る機会が無く、今更ながら視聴しました。
公開時から絶賛されていましたが、噂通り期待を裏切らない作品で、視聴後もかなり考えさせられ、誰かと語りたくなる映画でした。そういう映画はやっぱりいいものです。
学園ものはちょっと、と敬遠する方もいるかもしれませんが、この映画に関して言うと、単純な青春学園ものではないです。
とは言うものの、描かれている学園生活部分に関しては非常にリアルですし、その部分だけでも十分楽しめます。むしろリアル過ぎて、自分自身の学生時代を見せられているような感覚に囚われます。
とりわけ目に見えない点ですが、クラス内、学園内で、どのグループに属するかという点の重要性(学園内においての)は非常に忠実に描かれており、こんな感覚あったなと思わされます。ですが、それ以上にこの映画で素晴らしかったのは、あらゆる場面で含みを持たせ、学生でない視聴者にも自分達が今生きている世界に置き換え、考えさせられる構成になっている点です。
これは映画の節々に空洞のような間が存在し、考える余地が残されているということで、その間のバランス感覚が絶妙で、見事に考えさせられます。
その考えさせられる要素の一つに、階層があります。今それぞれが生きている社会にも必ず存在する、ある種独特な階層。
どういった世界に属していても、生きている限り、何かしらのコミュニティがあり、階層が存在するという事実。これは当たり前のようで、その階層から逃れることはある意味不可能です。
その中でどう生きるかということは結局、自分自身の判断や振る舞いであり、廻りの他者とは関係ないのだと改めて気づかされます。
自分だったからこの映画でどの階層に属しているかということを意識して観ると、一層深く入り込めるかもしれません。
また、この映画では学園外での出来事はほとんど省略されています。それは世界の縮図が学園生活にあることを暗示しているかのようで観ていて不思議な感覚でした。
また原作とは異なる点として、演者たちの心情を言葉やテロップ等で直接表現するのでなく、仕草や雰囲気等、細かい描写で描き、表現しているところも素晴らしいと思います。これもある種の含みを持たせている点に通じるものがあるように思います。
学園生活を振り返ると、社会人には無い、独特の世界観があったなと感じさせられると同時に、縛りが無いようで、他者に最も縛られていた時期だったのかもしれないと思います。
それぞれが悪ぶったり、趣味に奔ったり、女に奔ったりしても、結局それらは自分の判断だけで動いているように見えて、実は他人を気にしてすべてを行わされていた。という結論に至りました。
とにかく含みの部分が多く、対象も学園生活の為、誰しも経験があり、入り込みやすいテイストなので、1度は観ることをおススメします。
ちなみに本題の桐島は本編には登場しませんので悪しからず。
その辺も本編のポイントになってくるんですけどね。それは観てからのお楽しみということで。
では。
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